▽米下院、ステーブルコイン規制法案を可決-トランプ大統領に送付へ

Yash Roy、Olga Kharif、Emily Mason

  • 仮想通貨業界の大きな勝利、ステーブルコイン活用広がる可能性
  • 連邦ないし州によるステーブルコインの監督を義務づけ

米下院は17日、ステーブルコイン規制法案を可決した。暗号資産(仮想通貨)業界にとって大きな勝利となった。

  上院で可決済みの同法案はトランプ大統領の署名を経て成立する見通しだ。成立すれば、ステーブルコインの活用が日常的な金融取引に広がる可能性がある。

  ステーブルコインは法定通貨などを裏付けに発行されるデジタル資産。トランプ氏と共和党指導部が後押ししてきた同法案は、連邦ないし州によるステーブルコインの監督を義務づけ、24時間対応の越境送金を可能にする枠組みを整備する内容となっている。

  採決結果は賛成308、反対122だった。

  法案の支持者らは、成立すれば決済の高速化や低コスト化につながるほか、2650億ドル(約39兆4000億円)規模のステーブルコイン市場に制度的裏付けを与えるものだと主張してきた。シティグループは、2030年までにこの市場が3兆7000億ドル規模に拡大する可能性があると予測している。

  今回の可決は、約3年前に暗号資産(仮想通貨)交換業者FTXの経営破綻によって信頼を失った仮想通貨業界にとって、政治的な認知を得る象徴的な転機となった。同業界は親仮想通貨派の議員を議会に送り込もうと、昨年の選挙に巨額の政治資金を投じた。

  今回のステーブルコイン規制法案は、トランプ氏が「クリプトウィーク(暗号資産週間)」と称して後押しする一連の法整備の中心と位置づけられる。下院はこの日、より包括的な仮想通貨市場構造法案も可決したが、同法案は今後上院での審議が必要となる。

  一方、民主党のウォーレン上院議員やウォーターズ下院議員らは、今回のステーブルコイン規制の内容が消費者保護の面で不十分であり、ステーブルコイン発行体が破綻した場合に政府に対して救済圧力が高まる恐れがあると警告している。

原題:Crypto Market Gets Major Win as Congress Passes Stablecoin Bill(抜粋)