日米関税交渉は今朝、劇的な展開を迎えたようだ。トランプ大統領がSNSに「日本に対する相互関税は15%」と投稿した。同大統領は4月2日に24%(一律分10%、上乗せ分14%)を日本からの輸入品に課すと発表した。今月7日には25%とにすると書簡で脅しをかけた。15%は一律分を含むのか、いまのところはっきりしない。含むとは思うが、詳細の発表を待つ必要がる。それにしても土壇場での合意だ。裏に何があったのかわからないが、政権の一部が評価する「粘り強い交渉の結果」と喜ぶ気にはなれない。大統領は「日本は自動車やコメなど市場を開放する。それが最も重要なことだ」と強調する。さらに、「日本はアメリカに対し、5500億ドル(約80兆円)を投資する」と説明する。そして「この取り引きは数十万人の雇用を創出するだろう」と。日本国民に対する減税は断固阻止するくせに、なぜか「米国には気前がいい」。米国に服従する隷属国家のせいか。
一連の動きは明らかに米国人ファーストだろう。どうして参院選の投票日前にこの事実を公表しなかったのか。おそらくコメの市場開放が含まれているからだ。農業も米国人ファーストなのだ。参政党のキャッチコピーが思わず頭をよぎる。対米貿易黒字を考えれば「それが国民のため」。米国人を手厚く処遇すること、それが石破総理の日本人ファーストということだろう。詭弁だ。そんなことを考えているうちに、最近YouTubeでみた国際政治アナリスト・伊藤貫氏の声が蘇ってきた。同氏は日本という国には「最も基本的な国家戦略」がないと分析する。その上で「驚くべきことに日本の外務省も防衛省も自衛隊も官邸も財務省も、アメリカにしがみついてればいいんだと考えている。他力本願で奴隷根性丸出し。すごく危ない生き方をしてるという認識さえない。これが日本のいわゆるエリートなんです」、思わず「そうだ」と叫びたくなった。
関税交渉の妥結を受けて今後の政局はどう動くのだろう。この間の動きを整理すると以下のようになる。参院選の投開票の翌日、赤沢氏が8回目の訪米に向けて出発。翌日、ベッセント財務長官やラトクリフ商務長官と会談。「有意義な会談だった」と、判で押したようないつものコメント。そして今日未明、赤沢氏はトランプ大統領と会談した。この間日本では石破総理が続投宣言。自民党内で反対論が広がるのを待っていたかのように、関税合意の発表。きょう石破氏は麻生、菅、岸田前元総理との会談をセットしている。参院選惨敗後に自民党内では河野太郎氏が選対委員長代行を引責辞任。その上で森山幹事長の辞任を要求。5人の有力議員が「この際自民党は下野すべき」と幹事長に申し入れている。いずれにしても関税合意を花道に石破総理が辞意を表明する。これは憲政の常道。続投を強行すれば、泥沼。常識のかけらもない石破総理の決断はどっち・・・。
