ベッセント財務長官は23日、FOXニュースのインタビューで次のように語った。「日本の履行状況を四半期ごとに精査する方針だ。トランプ大統領が(履行状況に)不満を持つようなら、自動車や他の日本製品全般への関税率は25%に逆戻りする」と。読売新聞が今朝のWeb版に掲載した。トランプ氏が日米合意をSNSに投稿したのが22日(現地時間)の未明。日本中、いや、世界中が突然のサプライズ合意に沸いた。その翌日にベッセント氏はテレビで、日本に対する警告を発していたのである。24日に帰国した赤沢担当大臣は空港で記者から、「新しい税率の適用日はいつか」と聞かれ、「1日だろう」と答えた。「だろう」である。担当大臣は新税率の発効日すら確認していなかった。本日付(25日)の日経新聞を見てさらに驚いた。「日米関税合意、投資枠組みに食い違い 適用日は不明」とある。なんだこりゃ!!!
メディアの報道を参考に今回の合意の問題点は昨日、この欄で指摘した。今回の合意について一部の政治家や御用学者、主要メディア(主にテレビ局)のコメンテーターなどが、絶賛している様子を目にし耳にした。その都度、個人的には「本当にそうなの?」。疑問というか猜疑心のような感情が沸々と沸き起こった。米政府はすでに今回の交渉に関する「合意概要」なる文書を公表している。これまでの口頭説明をなぞった程度の内容に過ぎない。だが、日経新聞によると新税率の「適用日に関する記載はない」。日本が全額負担する5500億ドル(約80兆円)の投資ファンドについては、当初4000億ドルだったものがトランプ氏の一言で1500億ドル上乗せされた。WHのレビット報道官もこの事実を確認している。要するに大統領の舌先三寸ですべてのものごとが決まっているわけだ。
米側文書にコメ輸入は「直ちに75%増える」と記載されている。小泉農林水産大臣は「M A(ミニマムアクセス)の枠内で米国の輸入を増やす」と説明、枠自体に変更はないと。防衛関連装備品の輸入についてはもっと微妙だ。米側文書には「米国の防衛装備品を毎年数十億ドル追加購入する」とある。これに対して赤沢氏は「合意には防衛費に関する内容は含まれていない」(22日、現地)と答えている。当初石破氏も「防衛と貿易は別」との交渉方針を示していた。日本の税収を上回る80兆円については、合意があるかどうかさえ判然としない。米側文書は「投資ビークル」と表現し、投資利益の90%を米国が得るとある。これに対して日本側は「政府系金融機関の出資・融資・融資保証の枠を指す」(日経新聞)と説明。「企業が対米投資に踏み切らなければ使われない可能性もある」というのだ。総理続投に固執する石破氏に聞いてみたい、「合意内容はなに?」。
