Magdalena Del Valle

Shoppers in a supermarket in Buenos Aires.
Shoppers in a supermarket in Buenos Aires. Photographer: Erica Canepa/Bloomberg

2024年に世界の飢餓人口は減少したことが、国連が28日に発表した報告書で明らかになった。アフリカでは栄養不足に陥る人が増えたものの、アジアおよび南米での状況改善が奏功した格好。

  国連食糧農業機関(FAO)のリポートによれば、十分な食料を確保できなかった人の割合は、2023年の8.5%から2024年には8.2%に低下。東南アジア、南アジア、南米における食料安全保障の改善が、世界全体の比率低下を後押しした。

  今回の改善は、2020年以降に食品価格の上昇が総合インフレ率を上回る経済環境の中で実現した。食品価格上昇は、新型コロナウイルス禍やロシアによるウクライナ侵攻、気候変動などによってもたらされた。

  こうした価格上昇の影響を最も大きく受けたのは貧困国。アフリカでは健康的な食事をとれない人の数が2023年の8億6400万人から増加し、2024年には10億人を超えたという。

  また同リポートによれば、肥満と女性の貧血はいずれも増加傾向にある。さらに、子どもの栄養不良は食品価格の上昇によって悪化する恐れがあると同リポートは指摘している。

原題:World Hunger Easing Despite Rise in Food Prices, UN Report Says(抜粋)

▽世界の24年の飢餓人口は6.7億人、3年連続で減少=国連報告<ロイター日本語版>2025年7月29日午後 1:11 GMT+9

Dawit Endeshaw

世界の24年の飢餓人口は6.7億人、3年連続で減少=国連報告

[アジスアベバ 28日 ロイター] – 国連食糧農業機関(FAO)など5つの国連機関が28日発表した報告書によると、世界で飢餓に苦しんでいる人口は2024年に約6億7300万人と世界人口の8.2%となり、3年連続で減った。前年は8.5%だった。

新型コロナウイルス流行期の急増からの減少が続いたものの、コロナ禍前の19年の7.5%を引き続き上回った。南米と南アジアで改善した一方、アフリカの大部分と西アジアで紛争と気候変動の影響によって栄養失調がより深刻化した。

FAOのチーフエコノミスト、マキシモ・トーレロ氏はエチオピア・アジスアベバで開催された国連食料システムサミットでロイターに対し、南米とインドでの食料入手の改善が全体の飢餓人口を押し下げたと説明。一方、アフリカや中東などでの紛争や他の要因がリスクになっているとして「紛争が拡大し、脆弱性も広がり続け、債務圧力が増加し続ければ、(飢餓人口の)数値は再び増加に転じかねない」と指摘した。

国連のグテレス事務総長はサミットに寄せた動画で「紛争はガザからスーダン、およびそれを超えて飢餓を拡大させ続けている」とし、「飢餓は将来の不安定性をさらに助長し、平和を損なう」と問題視した。

報告書「世界の食料安全保障と栄養の現状」は、慢性的で長期的な飢餓に焦点を当てている。イスラエルによるイスラム組織ハマスへの攻撃を受けたパレスチナ自治区ガザなどの一部の紛争地域の状況は完全に反映できていないと説明した。

南米で24年に飢餓状態だった人の割合は3.8%と、前年の4.2%から低下。南アジアでも24年は11%と、前年の12.2%から下がった。

トーレロ氏は、南米では農業生産性の向上と学校給食などの社会制度が下支えしたと指摘。南アジアでの改善は、インドでより健康的な食事を入手できる人が増加したことが主因だった。

一方、アフリカでは人口の5分の1超に当たる3億700万人が慢性的な栄養不足に陥っており、20年前より飢餓が拡大したことを示した。

報告書は、30年までにはアフリカの飢餓人口が世界の飢餓人口の6割近くを占めるとの見通しを示した。