▽トランプ氏、韓国輸出品への15%関税で合意-3500億ドル対米投資へ<bloomberg日本語版>2025年7月31日 7:23 JST

Heesu Lee、Soo-Hyang Choi、Jennifer A Dlouhy

トランプ米大統領は、韓国と貿易合意に達したと発表した。韓国からの輸出品に15%の関税を課す一方、韓国側が米国に対して総額3500億ドル(約52兆3000億円)の投資を行うことで合意したと述べた。

  トランプ氏は30日、自身のソーシャルメディアへの投稿で「韓国は米国との貿易に対して完全にオープンとなり、自動車やトラック、農産物など米国の製品を受け入れることにも合意した」と指摘。「われわれは韓国に対する15%の関税で合意した。米国に関税は課されない」とした。

  さらに、韓国が米国から液化天然ガス(LNG)などのエネルギー製品を1000億ドル分購入することにも同意したと明かした。

  米韓は25日、関税交渉の期限が8月1日に迫る中で、互恵的な通商協定を目指すという方針を再確認していた。

関連記事:米韓が関税協議、互恵的な合意目指す方針確認-8月1日の期限迫る

原題:Trump Says US to Impose 15% Tariff on South Korean Goods in Deal(抜粋)

▽トランプ氏、対インド25%の関税発表-ロシア巡り追加措置を示唆<bloomberg日本語版>2025年7月30日 21:41 JST

Shruti Srivastava

  • 8月1日導入、「インドはどの国よりも厄介で醜悪な非関税障壁」
  • 「公平でバランスの取れた、互恵的な」合意に努める-インド政府
Workers in front of a gantry crane at the Vizhinjam transshipment container port
Workers in front of a gantry crane at the Vizhinjam transshipment container port Photographer: Bloomberg/Bloomberg

トランプ米大統領はインドからの輸入品に対し、8月1日から25%の関税を賦課すると表明した。同国がロシアから軍装備品やエネルギーを購入していることを問題視し、追加のペナルティーを課す考えも示した。

  トランプ氏は30日、インドの関税は「世界で最も高い部類に入る。インドはどの国よりも厄介で醜悪な非関税障壁がある」と、自身のソーシャルメディアであるトゥルース・ソーシャルに投稿した。

  「また、世界中がロシアにウクライナでの殺りくをやめさせたいと考えている時に、インドは大半の軍装備品を常にロシアから購入し、中国と並んでロシア産エネルギーの最大の買い手となっている」とも指摘。

  「従って、インドは8月1日から25%の関税と、上記の理由によるペナルティーを支払うことになる」と続けた。

  今回の発表により、アジア地域の中で優遇的な扱いを受けるとのインドの期待は打ち砕かれた。これまで米国と合意したアジア諸国・地域の関税率は15-20%となっている。2月にはモディ首相が訪米するなど、インドは早い段階から米国との協議に乗り出していた。

  インドは当初は融和的な姿勢をとり、4月のバンス副大統領による訪問に合わせ、2国間貿易協定の交渉枠組みで最終合意した。だが、農業などの対立点で交渉が行き詰まる中、足元では強硬姿勢に傾斜。インドと「大きな」合意の発表間近だと示唆していたトランプ氏も態度を変え、29日にはインドからの輸入品に対して20-25%の関税を課す可能性があると述べた。ロシア産原油を購入しているインドや中国などの国々に対し、「二次制裁」を科す構えも見せていた。

  インド政府は声明を発表し、「公平でバランスの取れた、互恵的な」米国との合意成立に引き続き努めていると説明。農家や起業家、中小企業を保護する必要があると強調し、最近締結した英国との自由貿易協定など他の合意でもそうだったように、「政府は国益を守るため、あらゆる必要な措置を講じる」と続けた。

  トランプ氏の発表を受け、インド・ルピーと株式先物は下落した。グジャラート国際金融テックシティー(GIFTシティー)で取引されているニフティ50指数先物は上げを消し、一時0.5%安。オフショアで取引されるルピーはドルに対して0.8%安となり、オンショア取引のルピーは5カ月ぶりの安値を付けた。

  エムケイ・グローバル・ファイナンシャル・サービシズのエコノミスト、マダビ・アローラ氏は「貿易交渉が物別れに終わり、米国がインドにペナルティーを科す格好だが、長引く交渉や合意を巡る駆け引きがこれで終わったとは限らない」と指摘。「この貿易交渉には純粋に経済的な側面だけではなく、世界の地政学的な側面もある」との見方を示した。

  今回の発表を受けて、米印関係が一段と緊張する可能性がある。トランプ氏は5月に発生したインドとパキスタンの武力衝突について、貿易を通じた仲介によって終結させたと繰り返し主張しているが、モディ首相を含むインド政府高官はこれを強く否定している。

  米国の歴代政権は中国に対抗する戦略的パートナーとしてインドを重視してきたが、長年の取り組みを損なう恐れもある。

  インドにとって、米国は最大の貿易相手国であり、主要な輸出市場でもある。

  だが、ハセット米国家経済会議(NEC)委員長は30日、CNBCとのインタビューで「極めて非対称的な状況だ。インドが米国に市場を開放してくれることをわれわれは期待している」と発言。欧州連合(EU)や日本との合意同様に、米国の企業や農家がインド市場にアクセスできるようになることを望んでいると語った。

  さらに、「インドでそれが実現できるなら、世界経済にとって間違いなくゲームチェンジャーになる。インド経済は非常に大きく、成長を続けているからだ」とも述べた。

原題:Trump Hits India With 25% Tariff, Threatens More Over Russia (3)(抜粋)

▽トランプ氏、半完成の銅製品に50%関税-精錬銅は除外で先物急落<bloomberg日本語版>2025年7月31日 3:49 JST

Joe Deaux

  • 適用範囲は予想ほど広範ではなく、国内産業の大半はコスト増回避へ
  • ニューヨーク銅先物相場は一時18%急落、その後は下げ縮める

トランプ米大統領は30日、銅輸入品に対する新たな関税を定める布告に署名した。布告では全ての半製品に対して一律50%の関税を課す一方、精錬銅への適用は見送った。

  銅関税の適用範囲は多くの市場関係者が予想していたほど広範ではなく、国内産業の大部分はコスト上昇の影響を免れる格好となった。

  ホワイトハウスのファクトシートによると、新たな関税は8月1日から発効する。

  これを受けて、ニューヨーク商品取引所(COMEX)の銅先物が一時18%急落。その後はやや下げ幅を縮めた。

  市場では、住宅や建設、自動車産業などで広く使われる配線などの主要原料である粗銅に対し、一定の関税が課されるとの見方が広がっていた。

  通商拡大法232条に基づく今回の銅関税は、すでに導入されている自動車関税と重複で適用されることはないとホワイトハウスは説明している。

  当該製品が自動車関税の対象であれば、そちらの税率が適用され、銅関税は課されないという。

  トランプ氏はまた、国家安全保障において重要な素材の生産拡大を産業界に指示できる「国防生産法(DPA)」を発動する異例の措置に踏み切った。これにより、米国内で生産された高品質の銅スクラップや粗銅の25%を国内で販売することを義務付けた。

  一部の粗銅原料に義務づけられる国内販売の比率は、段階的に引き上げられ、2028年に30%、2029年には40%に達する見通し。ホワイトハウスはこの措置について「国内精製業者が事業を拡大し、低コストの原料を確保することで米国の精製能力を強化する」ために必要だと説明した。

原題:Trump Spares Copper Market From Worst With 50% Duty on Products(抜粋)

▽トランプ氏、ブラジルへの50%関税を1週間延期-輸出品の一部を除外<bloomberg日本語版>2025年7月31日 6:55 JST

Walter Brandimarte、Rachel Gamarski

  • ブラジル政府の政策が米国家安全保障への脅威と説明-大統領令
  • 除外措置を受けブラジル・レアルと一部の大手輸出企業の株価が上昇

トランプ米大統領は30日、ブラジルからの輸入品に対する50%の関税発動を7日間延期すると共に多くの品目を対象から除外する大統領令に署名した。これを受けてブラジル・レアルと一部の大手輸出企業の株価が上昇した。

  大統領令では関税について、ブラジル政府によって講じられた政策および措置が米国の国家安全保障への脅威となっていると説明。またブラジルのルラ大統領に対するクーデター未遂への関与を巡って裁判にかけられているボルソナロ前大統領を「政治的動機に基づく迫害」の被害者としている。

  トランプ氏の決定には、オレンジジュースや航空機・部品など多数の品目が関税対象から外れる除外リストが含まれた。

  除外措置が発表されると、対ドルで約1%下落していたブラジル・レアルが切り返し、一時0.6%高と、ほとんどの新興国通貨をアウトパフォームした。

  ブラジルの輸出企業の株価も上昇。最も恩恵が大きいとみられるブラジルの航空機メーカー、エンブラエルはサンパウロ市場で一時11.5%高となった。

President Trump Returns To White House From Scotland
トランプ大統領Photographer: Bonnie Cash/UPI/Bloomberg

原題:Trump Delays 50% Brazil Levy, Excludes Orange Juice, Embraer (2)(抜粋)

▽トランプ氏、少額輸入品に対する関税免除措置「デミニミス」廃止<bloomberg日本語版>2025年7月31日 3:27 JST

  • SHEINやTemuなど中国系通販業者にとってデミニミスは追い風だった
  • 従来は免税対象だった800ドル以下の輸入品、8月29日から関税適用

トランプ米大統領は30日、少額輸入品に対する関税免除措置、いわゆる「デミニミス」を停止する大統領令に署名した。

  ホワイトハウスの発表によると、8月29日以降、従来は免税対象となっていた800ドル以下のすべての輸入品に関税が適用される。

  今回の大統領令により、米国の消費者に商品を直接配送する小売業者に対して、新たな関税が課されることになる。これまで「デミニミス」は、中国系オンライン格安通販のSHEIN(シーイン)やTemu(テム)など、国外ディスカウント小売業者にとって大きな追い風となっていた。

  ホワイトハウスによれば、米国人旅行者が最大200ドル相当の個人使用物品を持ち帰ることを認める措置や、個人による100ドル以下の「贈答品」受け取りを非課税とする制度など、一部の例外措置は維持されるという。

  ホワイトハウスは今回の措置について「関税逃れや、致死性の合成オピオイドなど安全性に問題がある製品や不当廉売品などの流入に悪用されてきた深刻な抜け穴」をふさぐものだとの認識を示した。トランプ政権は、中国企業が関税免除制度を悪用し、違法な合成オピオイドやその原料となる化学物質を米国に流入させているとして非難してきた。

原題:Trump Ends De Minimis Tariff Exemption for Low-Value Goods (1)(抜粋)