インフレ加速の折、ガソリン暫定税率の廃止がようやく与野党で合意された。参院選挙での石破政権の過半数割れが、Too little too lateの 自公政権に風穴を開けた。きょう中に与野党による協議会が設置され、年内の早い段階での実施に向けて議論を開始する。このテーマを昨日、TBSの「ひるおび」が扱っていた。たまたまそのシーンをみていたのだが、出席していたコメンテーターの田崎史郎氏の発言に驚いた。与野党合意の廃棄に向けた雰囲気作りを行なっているのだ。これは明らかにジャーナリズムの矩を超えている。世間ではこのところTBSの報道姿勢に対する“疑念”が強まっている。田崎発言もその一つだろう。同氏は野党に財源確保の難しさを諭したつもりだろうが、自民党税調会長の宮沢洋一氏を称賛するあまりに、暫定税率を廃止すれば「増税になる」と恫喝する始末。政治の新たな潮流に乗り遅れたジャーナリスト、そろそろ引退した方がいい。
「ひるおび」を見なかった人のために、田崎発言の概要をスポニチから引用する。ちなみに主要メディアには該当する記事が見当たらなかった。少し長めの引用になるがご理解を。「協議会に誰が出席するか、なんですよ。立憲民主、日本維新の会、国民民主は政調会長が出席するんですね。重徳さんとか青柳さんとか浜口さん。一方、自民党は、党の税制調査会長の宮沢洋一さんが出席するんですよ。この人は税制の本当のプロ中のプロなんですよ。(宮沢氏は)ガソリン税の暫定税率を廃止する代わりに1・5兆円をどこかから持ってこなきゃいけないでしょと。そういう議論にどんどん引き込んでいっちゃうんですよ。もうレベルが違いますから、税制に関する。悪いけど、宮沢さんの方がはるかに上なんですよ。宮沢さんがいろいろレクチャーしながらやっていくと、それはそうだねって、論理の世界だから税は。それで、減税だったのに最後になってみたら増税も結構あるねっていうことになるんじゃないかと思うんですよ。
例えば法人税上げますとか。ガソリン税の暫定税率はなくなるけれども新たな税金つくっちゃうとか。素直に1・5兆円分を生み出すってのは増税以外にないと思いますよ」、野党を見下すような目線で自信たっぷりに述べていた。宮沢氏を称賛するのは税知識のない田崎氏のコンプレックスだろう。野党政治家をコケにして、かえす刀で増税へと誘導する。細かいことに法人税だと示唆している。想像するに宮沢氏のレクを受けたのだろう。「五公五民」とか「百姓一揆」は教科書の定番。与野党を問わず政治家というのは税の専門家である。政治とは煎じ詰めれば税なのだ。宮沢氏というのは税の専門家だろうが、税に詳しい政治家は国会議員の中にも五万といる。だが、肝心の民意は野党の政治家に比べるとまったく理解していない。世襲議員なるが故の欠落。そんな人を称賛するジャーナリストがいる。メディアもメディア、世も末だ。
