▽少数与党の臨時国会閉幕 自民内で「石破降ろし」くすぶり、野党に足元見透かされる首相

参院予算委員会で答弁する石破茂首相=5日午前、国会内(春名中撮影)
参院予算委員会で答弁する石破茂首相=5日午前、国会内(春名中撮影)

7月の参院選を受けた臨時国会は5日、5日間の会期を終えて閉幕した。石破茂首相(自民党総裁)にとっては衆参両院で少数与党に転落して初の国会論戦となり、野党の要求に前向きな姿勢を示す場面が幾度となく見られた。政策の推進には連立政権の枠組み拡大を含め野党との連携が欠かせないためだが、自民内で「石破降ろし」がくすぶる中、野党側からも足元を見透かされている。

5日の参院予算委員会では、国民民主党の浜口誠政調会長が与野党協議が始まったガソリンの暫定税率廃止について11月からの実施を主張した。さらに「年収の壁」の178万円への引き上げに関し、「(自民、公明両党との)3党間の約束だ。しっかりやっていくと首相の言葉で確認させてほしい」と要求した。

これに対し、首相は政府として与野党協議の結果を尊重する考えを表明するとともに、年収の壁についても「(3党で)合意がみられた場合、適切に対応するのは当然だ」と応じた。

異例の予算委集中審議

参院選後の臨時国会は人事などの手続きにとどまるのが慣例だ。だが、今国会は野党の求めに与党が応じ、衆参両院で首相が出席する予算委員会の集中審議が開かれる異例の展開となった。少数与党となり、法案や予算の成立には野党の協力が不可欠だからだ。

4日の衆院予算委でも、立憲民主党の野田佳彦代表が企業・団体献金の規制強化を巡る協議を呼びかけた。首相は応じたが、自民内には「聞いていない」などの不満が広がった。

今のところ、野党の足並みはそろっていないが、首相としては内閣不信任決議案が可決される懸念は付きまとう。野党もそうした首相の足元を見ながら要求をエスカレートさせている。

自民内からも「新しい総裁の下で新しい連立を追求することが日本のためにはベストだ」(斎藤健前経済産業相)との声が上がり始めた。首相は当面続投する意向を示しているものの、石破降ろしがやむ気配はなく、孤立は深まる。

ある閣僚経験者はポスト石破を見据え、「次に自民党総裁になる人は第3党と話をつける力がないと務まらない」と語った。(今仲信博)