▽米貿易赤字、6月は16%減の602億ドル 対中赤字21年ぶり低水準

[5日 ロイター] – 米商務省が5日発表した6月の貿易赤字は、前月比16.0%減の602億ドルだった。消費財の輸入が急減したことで縮小。対中貿易赤字は2004年2月以来、約21年ぶりの低水準となり、トランプ米大統領が輸入品に課した関税が貿易に与えている影響が浮き彫りになった。
モノとサービスの輸出は2773億ドルと、前月の2780億ドル超から減少。輸入は3375億ドルと、3503億ドルから減った。消費財と産業用資材の輸入はいずれも新型コロナウイルスによるパンデミック期の中頃以来の低水準となった一方、資本財の輸出は過去最高を記録。先週発表された6月の財(モノ)の貿易赤字は前月から10.8%減少し、2023年9月以来の低水準となっていた。
トランプ氏は先週、多数の貿易相手国・地域からの輸入品への新たな関税率10─41%を示し、8月7日に発動すると表明。ネーションワイドの金融市場エコノミスト、オレン・クラチキン氏は「先週の貿易に関する発表で政策の不確実性は軽減されたものの、関税は単なる脅しにすぎないと予想していた企業は、関税措置は恒久的なものだという現実に適応しなければならない」と指摘。「高関税によるマイナスの影響は、政策の不確実性の緩和によるいかなる恩恵をも上回る」と述べた。
<対中貿易赤字、約21年ぶりの低水準>
対中貿易赤字は前月比30%強減少し、約21年ぶりの低水準となる95億ドル。5カ月連続の減少で、同期間に計222億ドル(70%)減少した計算。中国からの輸入額は189億ドルに減少し、09年以来の低水準となった。
米国の貿易赤字は中国だけでなく、貿易協議のこう着が続いているカナダに対しても縮小。6月の対カナダ貿易赤字は13億ドルと、約5年ぶりの水準に縮小した。ドイツに対する貿易赤字も縮小し、38億ドルと5年ぶりの低水準。一方、アジアの主要貿易相手国・地域である台湾とベトナムに対しては貿易黒字がいずれも過去最高となった。
米国の貿易赤字の縮小は25年第2・四半期(4─6月)の国内総生産(GDP)の回復に大きく寄与。先週発表された第2・四半期のGDP速報値は年率換算で前期比3.0%増となり、第1・四半期の0.5%減からプラスに回復した。関税措置を見据えて第1・四半期には輸入が急増していたが、第2・四半期はその反動が見られた。
イェール大学予算研究所の推計によると、米全体の平均関税率は18.3%に上昇し、1934年以来の高水準となる。トランプ氏が今年1月に返り咲く前は2─3%だった。

