▽赤沢亮正氏、日米関税合意の実施要求 商務長官と協議 自動車関税引き下げなど不透明<産経ニュース>2025/8/7 07:11

赤沢経済再生相=ワシントン近郊(共同)
赤沢経済再生相=ワシントン近郊(共同)

赤沢亮正経済再生担当相は6日、米ワシントンで米国の関税措置を巡ってラトニック商務長官と約90分間協議した。日本政府によると、赤沢氏は「相互関税」の合意内容を確認し、直ちに実施するよう求めた。日米間では関税率について食い違いが生じている。ラトニック氏の反応は明らかにしていない。

日米は、トランプ大統領が25%と宣言していた相互関税の税率を15%に下げることで合意。日本政府は、既存関税が15%未満の品目は一律15%となり、15%以上の品目は上乗せされないとしているが、ホワイトハウスは既存関税に15%を上乗せすると説明した。

日本車への関税は、追加分を半減させて全体で15%とすることで合意したが、実施時期が固まっていない。日本政府は協議について「合意を速やかに実施するために必要な措置を取るよう求めた」と説明。自動車関税の引き下げに関する文書への署名などが念頭にあるとみられる。(共同)

▽米、日本に15%追加関税 政府説明の合意より高水準 新「相互」適用開始<産経ニュース>2025/8/7 06:58

トランプ米大統領=ワシントン(ロイター)
トランプ米大統領=ワシントン(ロイター)

ホワイトハウス関係者は6日、7日未明(日本時間7日午後)に適用を始める各国・地域への新たな「相互関税」に関し、日本には15%の追加関税を課すと明らかにした。日本政府が説明した合意内容と食い違い、より高水準の税率となる。日本経済への打撃が強まることは避けられない。

野党は、関税交渉の合意文書を作成しなかった点を「口約束だ」と追及しており、日米間の認識の違いが明らかになったことで、石破茂首相は詳しい説明を求められることになる。

日本政府は、既存の関税率が15%未満の品目は一律15%になり、牛肉など15%以上の場合は上乗せされずに従来の税率が維持されると説明していた。だが米政府によると、日本からの輸入品は既存の税率に関係なく、15%の関税が上乗せされることになる。(共同)

▽きょう一律関税発動、赤沢再生相はラトニック長官に合意履行を要求<bloomberg日本語版>2025年8月7日 3:09 JST

梅川崇、松井玲

  • 自動車関税の引き下げなど合意実施に必要な措置を求めた-内閣官房
  • 日本への15%は追加関税とホワイトハウス関係者-共同通信

日本からの輸入品に一律にかかる米国の関税措置が7日、発動する。税率は15%で、自動車や鉄鋼、アルミニウムなど個別に関税がかけられている以外の品目が対象となる。

  対米交渉を担ってきた赤沢亮正経済再生相は5日から9日の日程で訪米している。6日にはラトニック商務長官と会談。上乗せ関税について赤沢氏から、合意内容をあらためて確認した上で直ちに内容を実施するよう求めた。内閣官房が声明で発表した。

  赤沢氏はまた、自動車・同部品に関する関税の引き下げなど、合意内容を速やかに実施するために必要な措置を講じるよう求めたという。

  声明によれば、両者は日米両国の利益となるような取り組みを着実に実施していくことの重要性を確認。日本政府として引き続き、さまざまなレベルで米国側との意思疎通を続けるとしている。会談はおよそ90分間に及んだという。

  一律関税を巡っては、日米間で認識がずれているとの懸念も浮上している。日本側は、既存の関税率が15%未満の品目が対象で、15%以上の品目には上乗せされないとの認識だが、米国で発出された大統領令にはそうした記述がない。

  共同通信によると、ホワイトハウス関係者は6日、日本には15%の追加関税を課すと明らかにした。日本側が説明した合意内容と異なり、より高水準の税率になると共同は伝えている。

  赤沢氏は5日、記者団に対し「齟齬(そご)はないことは確認済みだ」と述べ、「現場で混乱を招かないよう、合意が実現されるよう米側と意思疎通をしていきたい」としていた。

  4日には、既に15%以上の関税率が課されている品目については15%の一律関税が付加されないよう「ピン留めをしていきたい」と参院予算委員会で語った。

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▽トランプ政権「相互関税」特例で日本は対象外、15%上乗せの可能性…赤沢氏が修正要求へ<読売新聞オンライン>2025/08/07 00:00

米国のトランプ大統領(5日)=AP

木瀬武、小林泰裕

 【ワシントン=木瀬武、ニューヨーク=小林泰裕】米国のトランプ政権は6日、「相互関税」に関する文書を連邦官報に掲載し、新たに設ける特例措置を欧州連合(EU)のみに適用すると説明した。日本を含めた他の国・地域はその対象に含まれておらず、新しい関税率が発動される今月7日以降、品目によっては日米両政府が合意した「15%」よりも高い税率が課される可能性が出てきた。

【一覧】相互関税の税率の変化

米国のトランプ大統領(5日)=AP

 これまでの日本側の説明によると、日米両政府は〈1〉トランプ政権による相互関税発動前の従来の税率が「15%未満」の品目は「15%」に〈2〉従来の税率が「15%以上」の品目には相互関税を適用しない――との特例で合意した。【一覧】相互関税の税率の変化

 これに対し、トランプ米大統領が署名した大統領令や6日付の連邦官報文書では、こうした日本の特例には触れられていない。このままではEU以外の他国・地域と同様、従来の関税に15%が上乗せされる可能性がある。たとえば、トランプ関税前は「7・5%」だった日本からの輸出織物は、今月7日から「15%」が適用されるはずが、「22・5%」となる。牛肉はもともと「26・4%」のため、変更はないはずだったが、「41・4%」まで上がる懸念が残る。5日から訪米中の赤沢経済再生相は、8日までの現地滞在中にラトニック商務長官らと会談し、修正を求める考えだ。

 トランプ政権が新たに示した相互関税の税率は、米国時間7日午前0時1分(日本時間午後1時1分)に約70か国・地域への適用が始まる。税率は日本やEU、韓国などは「15%」、英国など3か国・地域は最も低い「10%」、シリアは最も高い「41%」となる。

 分野別関税の税率では、日本の自動車には発動時期は未定だが現在の27・5%から15%に引き下げられることで合意した。一方、トランプ大統領は5日、米CNBCのインタビューで、未決着となっている医薬品と半導体の分野別税率を来週にも表明する方針を明らかにした。医薬品の関税は段階的に引き上げ、最大250%に達する可能性があるとした。

 米国はジェネリック医薬品(後発薬)を中心にインドや中国からの輸入が多く、安全保障上の懸念が指摘される。日本から米国に輸出される医薬品は約4400億円(2023年)に上り、実際に発動されれば自動車産業などに続き打撃となる。

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米関税巡る官報記載に赤沢氏「説明と違う」…「口約束」のツケ表面化、時間切れ「一律上乗せ」懸念

▽米関税巡る官報記載に赤沢氏「説明と違う」…「口約束」のツケ表面化、時間切れ「一律上乗せ」懸念<読売新聞オンライン>2025/08/07 06:47

赤沢経済再生相(7月24日、首相官邸で)
各国・地域に課される相互関税の税率

松本健太朗、秋山洋成

 米国が課す「相互関税」に関する米連邦官報の記載を巡り、日本政府の説明との食い違いが表面化している。関税協議のため訪米中の赤沢経済再生相は、米側に説明と修正を強く迫る構えだが、発動期限の7日が迫り、時間切れの懸念も強まる。(経済部 松本健太朗、ブリュッセル 秋山洋成)赤沢経済再生相(7月24日、首相官邸で)

 赤沢氏は5日夜、ワシントン近郊で「合意前後を含めて米側の閣僚から聞いている説明と違う内容になっている」と記者団に述べた。日本政府の説明によると、もともと関税率が15%未満だった輸出品は一律で15%となり、15%を超える関税が課されていた品目は従来の税率が適用される仕組みで合意した。各国・地域に課される相互関税の税率

 ただ、トランプ大統領が7月31日に署名した大統領令と今月6日に米政府が公示した米連邦官報の「付属文書1」で、特例措置の対象としたのは欧州連合(EU)のみだった。日本については、単に相互関税として15%が上乗せされる記載となっている。

 相互関税は、4月からほぼすべての国・地域を対象に一律分として10%が課されている。例えば、従来7・5%だった織物の税率は現在17・5%になっているが、日本政府の説明に基づくと、今月7日以降は15%になる。

 一方、大統領令や官報の文面に従った場合、従来の7・5%に15%が上乗せされ、22・5%に引き上げられる可能性がある。日本は、2024年度に約22兆円に上った対米輸出の大半の品目に相互関税がかかるとみられ、建設機械から食品まで影響が及ぶ範囲は広い。

 赤沢氏は今回の協議で自動車関税の税率引き下げの履行について、「できるだけ早くということを強力に働きかける」としている。5月に合意した英国の場合、トランプ氏による自動車関税引き下げの大統領令署名などを経て発効するまで2か月近くを要した。

 国会論戦では、野党から「口約束」では合意の実現が危ぶまれるとの懸念が相次いだ。政府は日米双方で合意内容をまとめた共同文書の作成には否定的だったが、あいまいにしてきたツケがここに来て表面化した格好となる。ある政府関係者は「何のための交渉だったんだとなってしまう。しっかり詰めて約束を守らせないとだめだ」と話す。

 米国とEUは首脳合意について共同文書を発表する予定だ。EU高官は5日、「首脳合意について、より詳細な内容を記載する。文書はほぼ完成しており、米国側の返答を待っている状況だ。可能な限り早く公表する」と説明している。

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▽赤沢再生相が5日から訪米、一律関税で米側と認識すり合わせへ<bloomberg日本語版>2025年8月5日 10:49 JST

照喜納明美

  • 関税率15%以上品目に追加関税ないと日本側、米側文書には記述なし
  • 自動車関税引き下げの大統領令発出も促す、9日までの予定

赤沢亮正経済再生担当相は5日から9日、訪米する予定だ。7日に発動予定の一律関税について認識のすりあわせを行い、自動車関税引き下げの米大統領令発出も促す。

  参院予算委員会で明らかにした。既に15%以上の関税率が課されている品目については15%の一律関税が付加されないよう「ピン留めをしていきたい」と述べた。自動車・自動車部品関税の同率への引き下げについても「1日でも早く大統領令が発出されることを促す」と語った。

  米国は、日本からの輸入品に対する一律関税の税率を15%とすることで合意した。日本側は、既存の関税率が15%以上の品目に対しては関税率が上乗せされず、15%未満の品目に対しては15%の関税率が課されるという認識だ。一方で、現地時間7月31日に発出された大統領令にはそうした記述はない。

  赤沢氏は「直ちに米国側に確認を入れた」と述べ、「適用開始される前に対応するつもりだった」という説明を受けたと明らかにした。

  自動車・自動車部品に関しては、4月から適用されている25%の追加関税の引き下げで合意した。実施時期は明確になっていないため、日本政府は米側に速やかに合意を履行するよう求めてきた。

  石破茂首相は4日午前の衆院予算委員会で、自動車関税にトランプ大統領との直接交渉で打開するべきだとの国民民主党の玉木雄一郎代表の主張に対し、「その必要性をよく認識している」と述べている。

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