4日に行われた石破総理と野田立憲民主党代表による衆議院予算委員会における質疑応答は、両党の連立に向けた準備運動のような雰囲気を醸し出していた。衆議院の議事録が公開されるのはだいぶ先。当日、予算委委員会の質疑をテレビ中継で見ていたわけではない。主要メディアのニュースを見て気になったのでYouTubで質疑の模様を確認した。それによると野田氏の質問は先の参院選挙の受け止め方からはじまる。「総理は先般の参議院選挙の結果、どう受け止めてらっしゃるんですか、私は石破政権に対して国民はノーという意思表示をしたと思います」。さすが野党第一党の代表だ。参院選で示された民意をストレートに総理に突きつける。追求は続く。「続投するということは民意を無視したと言う風にしか見えない」。だが、厳しさが際立ったのは冒頭のこのシーンだけ。全体的には連立に向けた準備のような印象だった。
参院選の次は企業団体献金の廃止問題。野田氏は「比較第1党と第2党が真剣に協議して結論を得る。毎日でも議論して結論を得て、他党に賛同を呼びかける、そう言う覚悟を決めなければいけないのではないか」とたたみかける。これに対して総理は「そのようにさせていただきたいと思います」、どっちが総理かわからないようなへりくだり方だ。次はガソリン暫定税率の廃止。自民党も廃止に合意している。野田氏は「リッター25.1円、40 Lにすれば1000円安くなる。これは有効な物価対策だ」と主張。石破氏も廃止を前提に、「問題は財源」といつもの主張。「野党も財源をどうするのか、そこも共有しながら野党の皆さんも(財源に)責任を持つんだということを代表と私の信頼関係において確認させていただきたいと思います」。この二人には、はたから見てもわからないが、どうやら強い信頼関係があるようだ。そして「課題に死に物狂いで立ち向かう」と声を揃えて確認し合っていた。
トランプ関税の質疑を長々と続けたあと、野田氏は給付も減税もという立場から、民が提案している給付付き所得控除を提起する。総理は「問題意識は共通してると思っています。国家財政にすごく強い責任感を持っておられるということも私はよく承知しております」と野田氏にあんにエールを送る。こんなところに増税コンビとの風評がたつ根拠があるのだろう。最後の最後は80周年談話に関連したやり取り。石破氏は「私どもの世代があるいは我が国が今後の世界に向けて何を発出するかということは、私自身の思いとして強いものがございます」と胸の内を明かす。これに対して野田氏は「党内的には色々あるでしょう。続投するならやり遂げたいと思うことを、やり遂げるべきだと私は思います」。いつの間にか「続投は民意を無視すること」としていた人が、「続投支持」に大変身。これって、ひょっとすると連立への下準備?下衆の勘繰りに過ぎないが、民意は一体どこに消えたのだろう。
