Edward Bolingbroke

  • 来月利下げ開始を予想、0.5ポイント利下げを正当化も-リーダー氏
  • 9月の結果確定したわけではない-ニュー・センチュリーのサーム氏

12日に発表された米国のインフレ指標が総じて落ち着いた内容となり、米連邦準備制度が近く利下げに踏み切るとの見方が市場で強まっている。一部では大幅利下げの可能性が高まったとの見方もある。

  ここ数週間に投資家は、物価上昇が抑制されれば連邦準備制度が向こう数カ月に利下げに動くとの予想に基づき、スワップやオプション取引のほか米国債の買い持ちを進めてきた。この見方を裏付けたのが、同日発表された7月の米消費者物価指数(CPI)だ。米短期国債利回りは低下し、スワップ市場では9月の利下げ確率が90%に上昇した。

  9月に0.25ポイント超の利下げを見込む動きもこの日に勢いを増し、予想通りとなった場合に利益が得られる担保付翌日物調達金利(SOFR)関連のポジションに、約200万ドル(約2億9600万円)のプレミアムが積み増された。

  ブラックロックのグローバル債券担当最高投資責任者(CIO)、リック・リーダー氏はリポートでCPIについて、「過去数カ月よりやや強めだったが、懸念されていたほどではなかった」とした上で「結果的に9月に利下げが開始されるとわれわれは予想している。0.5ポイントのフェデラルファンド(FF)金利誘導目標引き下げも正当化され得る」と述べた。 

  だが、この日の統計を受け、連邦準備制度の懸念が完全に払拭されたわけではない。財価格が小幅な上昇にとどまったことで関税による物価押し上げ懸念は和らいだが、7月の基調的な米インフレ率は年初以来で最大の伸びとなった。

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  9月16、17両日に開催されるFOMC会合までにはまだ1カ月以上あり、米国債強気派は今後発表される重要なインフレ統計や雇用関連データを乗り越える必要がある。

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  ニュー・センチュリー・アドバイザーズのチーフエコノミスト、ラウディア・サーム氏はブルームバーグテレビジョンで「9月の結果が確定したわけではない。まだこれを結論付けるだけのデータはない」と述べた。

  ただ現時点では連邦準備制度のハト派姿勢に賭ける動きが目立つ。SOFR先物9月限に関連するオプション取引は、9月に0.5ポイントの利下げが織り込まれれば最大4000万ドルの利益が得られる可能性があるとブルームバーグは試算している。

  一方、現物市場では、CPI統計発表を前に投資家が買い持ちポジションを解消したことが、JPモルガンが実施した11日まで1週間の米国債顧客調査で示された。

 

Treasury Options Call/Put Skew | Skew shown by 1-month 25-delta call vs. put spread
Treasury Futures Positioning | How investors stand overall in terms of 10-year future equivalents

原題:Bets on Outsize Fed Cut Gain Steam as Inflation Data Backs Doves(抜粋)

▽ベッセント財務長官、9月FOMCで50bp利下げ検討の必要性に言及<bloomberg日本語版>2025年8月13日 7:32 JST

Enda Curran

  • 「9月に50bpの利下げを決定すべきかどうか真剣に考えるべきだ」
  • 改定された数字が手元にあれば「6月、7月に利下げが決まった可能性」
Treasury Secretary Scott Bessent
Treasury Secretary Scott Bessent Photographer: Bonnie Cash/UPI/Bloomberg

ベッセント米財務長官は12日、米連邦公開市場委員会(FOMC)の金融政策決定について、9月の会合でフェデラルファンド(FF)金利誘導目標(政策金利)を通常より大幅な0.5ポイント引き下げる選択肢にオープンであるべきだとの見解を明らかにした。FOMCは7月29、30日の会合で利下げを見送った。

  ベッセント財務長官はFOXビジネスとのインタビューで、7月のFOMCで政策金利が据え置かれた2日後、7月の雇用統計で5月と6月の就業者数の伸びが大幅に下向き改定された経緯に触れ、「現時点で真剣に考えるべきことは9月に50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げを決定すべきかどうかだ」と語った。

  ベッセント氏は、その時点で改定された数字が手元にあれば、FOMCは「6月、7月に利下げを決めることができたかもしれない」と発言。数時間前に発表された7月の消費者物価指数(CPI)もエコノミストが想定される関税の影響を読み誤ったことを示唆していると述べた。

  7月のCPIはサービス価格の上昇が加速する一方、トランプ政権が貿易相手国・地域に課す高関税にもかかわらず、消費財の価格は緩やかな伸びにとどまった。「財のインフレを誰もが予想していたが、実際には非常に奇妙なサービスインフレが起きた」と財務長官は指摘した。

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  ベッセント氏は、退任したクーグラー前連邦準備制度理事会(FRB)理事の後任に指名されたミラン経済諮問委員会(CEA)委員長の就任が、9月16、17日のFOMC会合に間に合うことに期待を表明した。FRB理事の人事は上院の承認が必要になる。

  ベッセント氏によれば、ミラン氏の就任後の任期は来年1月末までだが、さらに長くとどまるよう求められることもあり得る。「彼は重要な声を担うことになる。FOMCの構成が変わる」と歓迎した。

  一方、2026年5月に任期満了となるパウエルFRB議長の後任人事を巡っては、非常に幅広い選定作業が行われており、トランプ大統領も非常に柔軟だと説明。選定基準としては、金融政策と規制政策に関する見識、連邦準備制度の組織的運営・改革能力を挙げた。連邦準備制度は肥大化しており、それが金融政策の独立性を危うくしているとの認識も明らかにした。

  貿易交渉の進捗(しんちょく)状況については、今後数カ月で多くの協議を終えるという野心的な目標に言及し、「われわれは良い位置にある。全ての主要国・地域と実質的条件で合意に達する」との見通しを示した。

原題:Bessent Hints Fed Should Be Open to a Half-Point Rate Cut (1)(抜粋)