Daniel Flatley、Jonathan Ferro、Annmarie Hordern

  • 米政策金利、150-175bp低い水準にあるべき-9月から利下げを
  • 「日銀は後手に回っており、利上げするだろう」-植田総裁と話した

ベッセント米財務長官は13日、政策金利は少なくとも今より1.5ポイント低くあるべきだとの考えを示し、これまでで最も明確に米金融政策当局に利下げサイクルに踏み切るよう訴えかけた。

  日本については、インフレ抑制に取り組む必要があるとの認識を示した。米国の財務長官が他国の中央銀行の金融政策について発言するのは異例と言えそうだ。

  ベッセント氏はブルームバーグのテレビインタビューで、「9月の0.5ポイント利下げを皮切りに、そこから一連の利下げを実施できるだろうと考えている」と述べ、「どのモデルで見ても」金利は「おそらく150、175ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低い水準にあるべきだろう」とも語った。

  米連邦公開市場委員会(FOMC)は7月の会合で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を4.25-4.5%で維持した。FOMCは今年に入り、全ての会合で金利を据え置いている。

  ベッセント氏は、米連邦準備制度理事会(FRB)当局者らがFOMC会合の2日後に公表された米雇用統計での改定値を事前に把握していれば、「6月と7月に利下げが可能だったのではないか」と述べた。労働統計局は1日発表の雇用統計で、5月と6月分合わせて雇用者数の伸びを25万8000人下方修正した。

  財務長官は通常、米政策金利について具体的な発言は避けている。ベッセント氏もしばらくは、過去の政策決定についてのみコメントするとしてきた。トランプ米大統領は、利下げを見送るパウエルFRB議長を繰り返し批判するが、パウエル議長や多くの当局者は、トランプ氏の関税引き上げがインフレに及ぼす影響について、さらなる兆候を見極めたいと述べている。

FRB議長候補

  ベッセント氏は、来年5月で任期を満了するパウエルFRB議長の後任探しについても言及。候補として10、11人を検討していることを明らかにした。トランプ氏はその後、候補を3-4人に絞り込んだと語った。

  米CNBCが報じたところによれば、トランプ氏は次期FRB理事候補として、ジェフリーズのチーフ・マーケット・ストラテジスト、デービッド・ザーボス氏、元FRB理事のラリー・リンゼー氏、ブラックロックのグローバル債券担当最高投資責任者(CIO)、リック・リーダー氏も検討している。

  ベッセント氏はまた、空席となったFRB理事の後任としてトランプ氏が指名したミラン大統領経済諮問委員会(CEA)委員長について、任期が終了する来年1月以降に留任することはないとの見方を示した。

  ミラン氏が9月16-17日に開催される次回FOMC会合までに上院で承認されることを期待していると、ベッセント氏は述べた。

「インフレ問題」

  ベッセント氏はまた、米国債利回りは日本やドイツといった外国の金利動向の影響を受けていると指摘した。

  「日本はインフレ問題を抱えており、確実に日本からの波及がある」と発言。日本銀行の植田和男総裁と話したと明らかにしたうえで、「これは総裁の見解ではなく、私見だが、日銀は後手に回っており、利上げするだろう」と語った。

  日本の超長期債利回りはここ数カ月で大幅に上昇。ドイツ債利回りも上昇し、12日には30年債利回りが14年ぶりの高水準を記録した。

  こうした市場動向は米国が30年債の発行を縮小する根拠となり得るかとの問いに対し、ベッセント氏は財務省としての見解は「変化しつつあり、今後の動向を見守りたい」とした。

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原題:Bessent Urges Fed to Lower Rates by 150 Basis Points or More (3) 

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