▽4年ぶり米露首脳会談、ウクライナ「停戦合意」には至らず…米側が見込む合意の詳細も明かされず

15日、米アラスカ州アンカレジで会談するロシアのプーチン大統領(中央左)とトランプ米大統領(同右)=AP
共同記者会見のポイント

淵上隆悠

「共同記者会見で停戦への言及なく」の動画はこちら

 【アンカレジ(米アラスカ州)=淵上隆悠】米国のトランプ大統領とロシアのプーチン大統領が15日午前(日本時間16日未明)、米アラスカ州アンカレジの米軍エルメンドルフ・リチャードソン統合基地で会談した。焦点だったウクライナ情勢を巡り、停戦に向けた合意には至らなかった。15日、米アラスカ州アンカレジで会談するロシアのプーチン大統領(中央左)とトランプ米大統領(同右)=AP

 会談は約3時間行われた。米露首脳による対面会談は2021年6月以来で、ロシアによるウクライナ侵略が始まった22年2月以降では初めて。

 会談後の記者会見で、プーチン氏は「建設的な雰囲気の中、有益な交渉を行った」と述べた。会談の主要議題であるウクライナ情勢について、「紛争の根本原因を除去しないといけない」と述べ、ウクライナの「非軍事化」や「中立化」を求める主張を繰り返した。米国との経済協力については、貿易や宇宙、北極圏開発の分野で連携できると訴え、関係改善に意欲を示した。共同記者会見のポイント

 一方、トランプ氏も「非常に生産的な会談で、多くの点で合意した」と振り返ったが、具体的な合意点については説明しなかった。ウクライナ情勢を巡り、「合意に至っていない重要な点はいくつかあるが、一定の進展はあった」と述べ、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領や北大西洋条約機構(NATO)側に会談結果を伝える考えを示した。

 会談前、トランプ氏はロシアが占領したウクライナ領土を一部返還することなどを想定した「土地の交換」に繰り返し言及していたが、記者会見では触れなかった。

 両氏とも再会談への意欲を示した。トランプ氏が「おそらくまたすぐに会うだろう」と語りかけると、プーチン氏は英語で「次はモスクワで」と応じた。トランプ氏は「それは面白い。批判されるかもしれないが、可能性はある」と述べるにとどめた。両氏とも記者団の質問には応じなかった。

 記者会見後、トランプ氏は米FOXニュースのインタビューで、ロシアとウクライナの首脳会談が今後調整されるとの見通しを示し、自らも出席に意欲を示した。また、停戦合意の成否はウクライナのゼレンスキー大統領次第だと主張した。この日の会談を踏まえ「ウクライナは合意しなければならないが、ノーと言うかもしれない」と語り、「ロシアは大国だ」として合意に応じるようゼレンスキー氏に求めた。米側が見込む合意の詳細は明かさなかった。

 この日の会談では、当初予定されていた両首脳による1対1の協議が3対3に変更され、米側はルビオ国務長官とスティーブン・ウィトコフ中東担当特使、露側はセルゲイ・ラブロフ外相とユーリー・ウシャコフ大統領補佐官が参加した。経済担当の閣僚らが加わる拡大会合の開催も想定していたが、見送られた。プーチン氏は記者会見後、米アラスカ州を離れ、帰国の途に就いた。

4年ぶり米露首脳会談、ウクライナ「停戦合意」には至らず…米側が見込む合意の詳細も明かされず

2025/08/16 12:26

#ウクライナ情勢保存して後で読む

15日、米アラスカ州アンカレジで会談するロシアのプーチン大統領(中央左)とトランプ米大統領(同右)=AP
共同記者会見のポイント

淵上隆悠

「共同記者会見で停戦への言及なく」の動画はこちら

 【アンカレジ(米アラスカ州)=淵上隆悠】米国のトランプ大統領とロシアのプーチン大統領が15日午前(日本時間16日未明)、米アラスカ州アンカレジの米軍エルメンドルフ・リチャードソン統合基地で会談した。焦点だったウクライナ情勢を巡り、停戦に向けた合意には至らなかった。15日、米アラスカ州アンカレジで会談するロシアのプーチン大統領(中央左)とトランプ米大統領(同右)=AP

 会談は約3時間行われた。米露首脳による対面会談は2021年6月以来で、ロシアによるウクライナ侵略が始まった22年2月以降では初めて。

 会談後の記者会見で、プーチン氏は「建設的な雰囲気の中、有益な交渉を行った」と述べた。会談の主要議題であるウクライナ情勢について、「紛争の根本原因を除去しないといけない」と述べ、ウクライナの「非軍事化」や「中立化」を求める主張を繰り返した。米国との経済協力については、貿易や宇宙、北極圏開発の分野で連携できると訴え、関係改善に意欲を示した。共同記者会見のポイント

 一方、トランプ氏も「非常に生産的な会談で、多くの点で合意した」と振り返ったが、具体的な合意点については説明しなかった。ウクライナ情勢を巡り、「合意に至っていない重要な点はいくつかあるが、一定の進展はあった」と述べ、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領や北大西洋条約機構(NATO)側に会談結果を伝える考えを示した。

 会談前、トランプ氏はロシアが占領したウクライナ領土を一部返還することなどを想定した「土地の交換」に繰り返し言及していたが、記者会見では触れなかった。

 この日の会談では、当初予定されていた両首脳による1対1の協議が3対3に変更され、米側はルビオ国務長官とスティーブン・ウィトコフ中東担当特使、露側はセルゲイ・ラブロフ外相とユーリー・ウシャコフ大統領補佐官が参加した。経済担当の閣僚らが加わる拡大会合の開催も想定していたが、見送られた。プーチン氏は記者会見後、米アラスカ州を離れ、帰国の途に就いた。

 会談は約3時間行われた。米露首脳による対面会談は2021年6月以来で、ロシアによるウクライナ侵略が始まった22年2月以降では初めて。

 会談後の記者会見で、プーチン氏は「建設的な雰囲気の中、有益な交渉を行った」と述べた。会談の主要議題であるウクライナ情勢について、「紛争の根本原因を除去しないといけない」と述べ、ウクライナの「非軍事化」や「中立化」を求める主張を繰り返した。米国との経済協力については、貿易や宇宙、北極圏開発の分野で連携できると訴え、関係改善に意欲を示した。共同記者会見のポイント

 一方、トランプ氏も「非常に生産的な会談で、多くの点で合意した」と振り返ったが、具体的な合意点については説明しなかった。ウクライナ情勢を巡り、「合意に至っていない重要な点はいくつかあるが、一定の進展はあった」と述べ、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領や北大西洋条約機構(NATO)側に会談結果を伝える考えを示した。

 会談前、トランプ氏はロシアが占領したウクライナ領土を一部返還することなどを想定した「土地の交換」に繰り返し言及していたが、記者会見では触れなかった。

 両氏とも再会談への意欲を示した。トランプ氏が「おそらくまたすぐに会うだろう」と語りかけると、プーチン氏は英語で「次はモスクワで」と応じた。トランプ氏は「それは面白い。批判されるかもしれないが、可能性はある」と述べるにとどめた。両氏とも記者団の質問には応じなかった。

 記者会見後、トランプ氏は米FOXニュースのインタビューで、ロシアとウクライナの首脳会談が今後調整されるとの見通しを示し、自らも出席に意欲を示した。また、停戦合意の成否はウクライナのゼレンスキー大統領次第だと主張した。この日の会談を踏まえ「ウクライナは合意しなければならないが、ノーと言うかもしれない」と語り、「ロシアは大国だ」として合意に応じるようゼレンスキー氏に求めた。米側が見込む合意の詳細は明かさなかった。

 この日の会談では、当初予定されていた両首脳による1対1の協議が3対3に変更され、米側はルビオ国務長官とスティーブン・ウィトコフ中東担当特使、露側はセルゲイ・ラブロフ外相とユーリー・ウシャコフ大統領補佐官が参加した。経済担当の閣僚らが加わる拡大会合の開催も想定していたが、見送られた。プーチン氏は記者会見後、米アラスカ州を離れ、帰国の途に就いた。