▽トランプ氏、即時停戦から和平協定へ「劇的な方針転換」…プーチン氏の主張をそのまま受け入れか
【アンカレジ(米アラスカ州)=淵上隆悠】ウクライナ情勢を巡り、米国のトランプ大統領がロシアのプーチン大統領との会談後、ロシア寄りの姿勢を強めている。18日にホワイトハウスで行うウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領との会談では、ロシア側の主張を受け入れるよう迫る可能性がある。16日、ウクライナ東部ドネツク州のロシア占領地区で、砲撃を受けた集合住宅=ロイター
トランプ氏は16日未明、米露首脳会談が行われた米アラスカ州からホワイトハウスに戻ると、18日にゼレンスキー氏の訪問を受けるとSNSで明らかにし、「すべて順調に進めば、プーチン氏との会談を調整する。数百万人の命が救われる可能性がある」と訴えた。
トランプ氏は当初、まずは即時停戦を実現し、その後に和平交渉を進めるというウクライナの主張に同調し、必要ならロシアに「厳しい経済制裁」を科す方針を示していた。
しかし、トランプ氏は会談でプーチン氏の強硬姿勢を崩せず、停戦ではなく和平協定の締結を直接目指すという時間稼ぎの戦術を取るロシアに同調する「劇的な方針転換」(米紙ワシントン・ポスト)を見せた。「土地の交換」を巡っても、プーチン氏の「言い値」をそのままゼレンスキー氏に伝え、「取引に応じるべきだ」と促しているとされる。
ウクライナの「安全の保証」に米国が参画するとの見通しについては、米国のスティーブン・ウィトコフ中東担当特使が17日、米CNNの番組で、北大西洋条約機構(NATO)が加盟国の相互防衛義務を定めた「北大西洋条約第5条」に準じた保護を、米国がウクライナに提供することをプーチン氏が認めたと主張した。
ただ、ゼレンスキー氏は17日の記者会見で、「どのように機能するのか、米国と欧州諸国が果たす役割はどのようなものなのか、まだ何も明らかになっていない」と語った。
米ニュースサイト・アクシオスによると、トランプ氏は22日までにプーチン氏とゼレンスキー氏を交えた「3者会談」の開催を目指しているという。ゼレンスキー氏は3者会談の開催を支持しているが、トランプ氏は、ウクライナがロシアの提案を受け入れた後の開催を想定しており、提案受け入れを渋るウクライナに批判の矛先が向かうリスクがある。


