▽日韓首脳会談 両国関係 未来志向・安定的な発展で一致<NHK>2025年8月24日 13時38分

石破総理大臣は韓国のイ・ジェミョン(李在明)大統領と首脳会談を行い、両国の関係を未来志向で安定的に発展させていくことで一致しました。政府は首脳による相互訪問「シャトル外交」を定着させるとともに、経済や人的交流などさまざまな分野で協力を進め、日韓関係をさらに強化したい考えです。

石破総理大臣は23日、就任後初めて日本を訪れた韓国のイ・ジェミョン大統領とおよそ2時間会談し、両国の関係を未来志向で安定的に発展させていくことで一致しました。

また北朝鮮の完全な非核化に向け、日韓両国に加えアメリカを含む3か国で緊密に連携していくことを確認しました。

さらに人口減少や災害対策など共通の課題について解決策を見いだすため、協議の枠組みを立ち上げることで合意しました。

一方、石破総理大臣は、歴史認識については歴代内閣の立場を全体として引き継いでいると説明したほか、東京電力福島第一原発の事故を受けて韓国が続けている日本産水産物などの輸入停止措置をめぐっては科学的根拠に基づいて意思疎通を図りたいと伝えました。

共同記者発表で石破総理大臣は「日韓関係が新たな力を得てさらに発展することを期待している。厳しい時代であるからこそ、両国の政府、国民が手と手を携え、よりよい未来に向かって共に歩みを進めていきたい」と述べました。

首脳会談の結果について日韓両政府は17年ぶりに共同文書を発表し、政府関係者は「懸案が減り、両国の関係が安定してきた証左だ」としています。

政府は首脳による相互訪問「シャトル外交」を定着させるとともに、経済や人的交流などさまざまな分野で協力を進め、日韓関係をさらに強化したい考えです。

長島補佐官 “石破首相とトランプ大統領との会談の経験を共有”

日韓首脳会談に同席した長島総理大臣補佐官は24日午前、記者団に対し、会談の様子を明らかにしました。

長島補佐官は「よい雰囲気だった。イ大統領はこれからアメリカに行くが、石破総理大臣はすでにトランプ大統領と対面で2回会談しているので、石破総理なりの経験談みたいなことをイ大統領と共有することができた」と述べました。

その上で「アメリカが保護主義や孤立主義に陥るかどうか、すごく微妙な時期だけに、インド太平洋や東アジアにつなぎ止めておく意味で、今回のイ大統領の訪米や日韓の協力は大事だ。きのうの首脳会談や夕食会、きょうの議員連盟との会談は1つにつながっていて、流れを加速させる一助になったのではないか」と述べました。

韓国では…

韓国のイ・ジェミョン大統領は石破総理大臣との会談やその後の共同記者発表などで、日本との関係を良好に保ちたいという意向を重ねて強調しました。

このうち共同記者発表では1965年の日韓国交正常化以降、韓国の大統領が2か国間の首脳会談のため日本を最初に訪れたのはみずからが初めてだと説明し「私たちが日本との関係をどれだけ重視しているかを示すものだ」と述べました。

さらに石破総理大臣について「絆と信頼が強く形成された」としたうえで「両国は切っても切れないパートナーだ」とも述べるなど、23日のイ大統領の発言には日本を重視する意向が随所にみられました。

韓国メディアもこうしたイ大統領の発言を速報で詳しく報じたほか、通信社の連合ニュースは石破総理大臣との首脳会談が当初の予定より大幅に長く行われたことを取り上げ「経済や安全保障などの協力のあり方について、集中的に議論したようだ」などと伝えています。

さらに革新系のハンギョレ新聞は「イ大統領が今回、終戦の日がある8月に日本を訪問したことも注目されている。1980年代半ば以降これまでの大統領は一度も8月の訪問を選んだことはなかった」と報じています。

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▽韓国イ大統領 米へ出発 大統領府高官 日韓首脳会談の成果強調<NHK>2025年8月24日 16時03分 

日韓首脳会談から一夜明けて、韓国大統領府の高官は、首脳間の信頼関係やアメリカも含めた3か国の協力の強化につながるものだったと、成果を強調しました。

イ・ジェミョン(李在明)大統領は、次の訪問国のアメリカに向けて、24日午後、羽田空港を出発しました。

韓国大統領府で外交と安全保障政策を統括するウィ・ソンラク(魏聖洛)国家安保室長は、24日午前、都内で記者会見し、23日の日韓首脳会談について「首脳間の個人的な信頼関係が強化された」と振り返りました。

また、イ・ジェミョン大統領がこのあとアメリカを訪問することに触れ「日本とアメリカを相次いで訪問することで、韓日、それに韓米日3か国の協力強化を実現できる」と成果を強調しました。

さらに、ウィ国家安保室長は、少人数の会合で歴史問題についての議論があったとしたうえで、「具体的な懸案というより、問題をどう扱うことで現在や未来の協力を推進できるかという議論だった」と説明しました。

会談のあとの夕食会では、イ大統領の故郷の料理のほか、「カレーが好きな石破総理大臣オリジナルのカレーも提供された」と紹介しました。

首脳会談から一夜明けて、韓国メディアは会談の内容を詳しく報じていて、このうち保守系の大手紙、朝鮮日報は、会談後に共同文書が17年ぶりに発表されたと伝える一方、歴史問題や、東京電力福島第一原発の事故を受けて続けられている日本産水産物の輸入規制については、文書で言及がなかったとして、「両国から反発が出る可能性がある敏感な問題は盛り込まなかったものとみられる」と指摘しています。

また、革新系のハンギョレ新聞は、歴史認識をめぐり、石破総理大臣が歴代内閣の立場を全体として引き継いでいるという内容が共同文書に盛り込まれたことについて、「継承の趣旨の発言は岸田前総理大臣もしており、今回は過去の発言の水準にとどまっている」と伝えています。

イ大統領 25日にトランプ大統領と首脳会談へ

23日から日本を訪問していたイ・ジェミョン大統領は、次の訪問国のアメリカに向けて、24日午後3時半すぎ、羽田空港を出発しました。

イ大統領は、25日にはトランプ大統領と対面では初めてとなる首脳会談を行う予定です。

▽韓国 イ大統領 菅元首相らと会談“経済 文化など交流重ねる”<NHK>2025年8月24日 16時08分