暦の上ではきょうから9月。9月の異名をGoogle AIで引いてみると次のような答えが返ってきた。「長月(ながつき)」や「夜長月(よながつき)」と呼ばれるものや、菊の花が咲くことから「菊月(きくづき)」、「菊開月(きくひらきづき)」、稲の収穫時期であることから「稲刈月(いねかりづき)」、「穂長月(ほながつき)」、紅葉が始まることから「紅葉月(もみじづき)」など、多くの風情ある呼び名があります、と。個人的には暑くて長い夏が終わり、朝夕めっきり涼しくなる時期という印象が強い。ほっと一息つきながら本格的な秋の活動に備える時期だろう。小中学生にとっては長い夏休みが終わり、なんとなく寂しくなりそうな時期でもある。そんなイメージもいまは昔の物語りだ。気象予報士によると「今年の9月は8月だ」そうだ。酷暑が続くということだろう。この予報士によると今年の11月にも「猛暑日」があるのだそうだ。なんということだ。

異常気象に負けず劣らず経済も政治も転換点を見出せないまま、長い長い紛争・論争が続いている。そんな中で政治より一足先に転換点を迎えそうなのが米国経済だ。7月の雇用統計が発表された先月1日、5月と6月の新規雇用者数が大幅に下方修正された。これを機に労働市場の減速感が強まり、9月公開市場委員会(FOMC)での利下げ論に現実味が出てきた。その後に発表された経済統計は行ったり来たりだったが、総じてみると労働市場が緩やかに後退するとの見方が支配的だった。企業が新規雇用を控えていることが大きな要因だが、それを誘発している根本的な問題はトランプ関税だ。連邦高裁の控訴審では「トランプ関税は違法」との判断が下されたが、裁判中の関税継続は容認している。要するに先行き不透明感が一向に払拭されない中で、企業が新規雇用に慎重になりつつある実態が薄ぼんやりと浮き彫りになってきたのだ。

この点が5日に発表される8月の雇用統計でどうなるか、市場関係者の注目の的だ。労働市場の後退が続くようだと16日・17日に予定されているFOMCで、政策金利の利下げが実現するだろう。そうなれば株価を中心に活況を呈してきた金融市場が転換点を迎える可能性もある。利下げ自体は株価のプラス要因だが、利下げによってインフレが加速すれば景気後退下のインフレ上昇、いわゆるスタグフレーション入りの可能性が現実味を帯びる。これは株式市場にとってマイナス要因になる。先週(28日)この欄で名目GDPが増えれば株価は上昇するとの説を紹介したが、スタグフレーションになれば名目GDPは伸びなくなる。そうなると一人勝ちだった米国経済がターニングポイントを迎えることになる。ウクライナ戦争やガザの先行きも依然として不透明。自民党内政局は今週中にも一定の結論が出るだろう。でもその先の不透明感は晴れそうにない。日本に限らず国際的に転換点はあるのかないのか、今週の注目点だ。