自民党は昨日、両院議員総会を開いて参院選の敗北を総括した文書を採択した。併せて森山幹事長をはじめ党4役が、敗北の責任をとって辞意を表明した。石破総理は4人の辞意を留保し、「いずれ適正に判断する」と発言した。続投の意思は固いようで、辞意を表明した4人の扱いは宙に浮いたままだ。一方で、総裁選の前倒しを実施する手続きが動き出した。週明けの8日には国会議員と47都道府県連の賛否が明確になる。総括文書をザッと見たが、中身が薄く反省のポイントがズレている。ピンボケだ。メディアが伝える情報を見るたびに、哀れとしか言いようのない雰囲気が漂ってくる。石破総理はもっと早く辞任して然るべきだった。とはいえ、次に誰がなっても自民党の体たらくは変わらないだろう。今の自民党に必要なのは「下野」する勇気だ。

債務超過の倒産会社に生き残る道はあるのか。第三者の管財人を入れて徹底的に党の体質と議員個人の意識を改革する以外に延命の道はない。もちろん上場は廃止される。政党にとって上場廃止とは、政権を担う資格がないことを意味する。それでも長い将来を考えると、いったんここで政権を手放した方がいい。どんぐりが集まっていくら議論してもそこに向かう道筋は、誰一人描けないだろう。自民党にとって資産だったはずの政策や人脈、国際的な評価は今やその多くが債務に転落してしまっている。どうしてこうなったのか。国民政党だった自民党は、政権に胡座をかいているうちにいつの間にか国民を無視し米国に服従する、売国政党に転落してしまったのだ。裏金問題や石破政権の2000万円支給問題など数々の失政の裏には、政権政党としての“矜持”を失った自民党の体質がある。これでは選挙に勝てるわけがない。大敗の原因はカネや政策ではない。体質だ。そこが今の自民党にはまるで見えていない。

どうすればいいのか。自民党は総括文書に書き込んだ「解党的出直し」を実施すれば、再び政権に復帰することは可能だろう。茨の道だがそれしかない。問題は野党をはじめ自民党を水面下で利用しながら支えてきた官僚機構や、政権政党の御用達機関に甘んじてきた主要メディアをどうやって解体するかだ。御用学者も同様だ。真に独立し自立した学者や評論家、ジャーナリストがこれからは必要になる。地方自体や教育関係者も然り。農業生産者だってそうだ。政府の言いなりでは農業の未来は開けない。市場メカニズムをベースにした政策も変更が必要だろう。国民だって例外ではない。自分で考えて自分で判断する以外に生き延びる術はない。グローバリズム依存から、「国民に寄り添う政府」にどうやって転換するのか。日本全体の課題だろう。財政再建一辺倒の自民党政権の終焉は、多様化と利害対立という難しい時代の幕開けを意味している。