▽自民の両院議員総会 石破首相に同情論と不満が交錯 総裁選前倒し巡る攻防本格化へ<産経ニュース>2025/9/2 21:48

今仲 信博

自民党の両院議員総会で冒頭、発言する石破茂首相(中央)=2日午後、党本部(春名中撮影)
自民党の両院議員総会で冒頭、発言する石破茂首相(中央)=2日午後、党本部(春名中撮影)

2日に開かれた自民党の両院議員総会の出席者からは、石破茂首相(党総裁)に対して同情論と不満の声が入り交じった。総会で首相が進退を巡り具体的な見通しを示さなかったことに責任を問う声が相次ぐなど、党内では首相への退陣圧力は収まりを見せていない。今後は、首相擁護派と倒閣勢力による総裁選前倒しを巡る攻防が本格化する。

総会は冒頭以外は非公開で、約3時間にわたって行われた。首相は「法律案や予算案を成立させるために『石破らしさ』を失ってしまった。何をやりたいのかわからないという厳しい批判になった」と述べた。

木原誠二選対委員長から総括委員会がまとめた報告書の説明後、出席者233人のうち35人が意見を述べた。報告書では、派閥パーティー収入不記載事件を巡る「政治とカネ」問題など参院選の敗因が列挙され、「解党的出直しに取り組む」と位置付けた。

寺田稔元総務相は記者団に、報告書について「敗因分析や今後の党再生のあり方がしっかり書き込まれている」と語った。その上で、総裁選前倒しの是非に関しては「直ちに総裁選をやる方向でなくてもいい」との考えを示した。鈴木憲和衆院議員は「しっかりとした報告書を作っていただいた。これからいろいろなプロセスを経て、党が生まれ変わっていく第一歩になった」と強調した。

一方、今枝宗一郎衆院議員は「自浄作用を発揮するのに一番大事なのは、問題が組織にあればトップが責任を取ることだ」との見解を示し、「残念ながら総括には総裁の責任を明記するという点はなかった」と指摘した。

昨年の総裁選に立候補した「ポスト石破」の面々も総会に出席。総会で、小林鷹之元経済安全保障担当相は「今後の自民の目指すべき姿、課題として責任を取る組織にすることが重要ではないか」と発言した。

次期総裁候補として取り沙汰される高市早苗前経済安保担当相は「各党を代表して執行部が出る政策討論会は、衆院選も参院選も満足できる内容ではなかった」と苦言を呈した。

総会での参院選総括を受け、党総裁選挙管理委員会は総裁選の前倒し実施を巡る是非の意思確認作業に入った。総会後、小林氏は国会内で中堅議員らと、高市氏は自身に近い議員と東京都内でそれぞれ会合を開いた。両氏は総裁選の前倒し実施を見据え、今後の対応を協議したとみられる。(今仲信博)

▽森山氏ら自民四役が辞意 石破首相、続投表明も苦境―総裁選前倒し、8日に是非判明<時事ドットコム>2025年09月02日19時43分

自民党の両院議員総会であいさつする石破茂首相(左)。右は森山裕幹事長=2日午後、東京・永田町の同党本部
自民党の両院議員総会であいさつする石破茂首相(左)。右は森山裕幹事長=2日午後、東京・永田町の同党本部

 自民党の森山裕幹事長は2日の両院議員総会で、参院選の総括を受け「責任を取るべく退任させてほしい」と辞意を表明した。鈴木俊一総務会長、小野寺五典政調会長、木原誠二選対委員長も石破茂首相(党総裁)に辞意を伝えた。首相は当面の続投を表明したが、党四役が一斉に辞任する考えを示したことで、一段と苦境に追い込まれた。

<石破政権>の関連ニュースをもっと読む

 自民は党本部で総会を開き、大敗した参院選の総括文書を報告した。これを踏まえ、首相は「しかるべき時期に責任を判断するが、まず国民がやってもらいたいなと思っておられることに全力を尽くす」と強調した。首相官邸で記者団の質問に答えた。退陣を求める党内の声が高まるのは必至だ。

 自民幹部の任期は9月末まで。森山氏は総会後の記者会見で「選挙の責任者は幹事長である私だ。進退は任命権者の総裁に預けた」と説明した。首相が慰留した場合の対応については言及を避けた。首相は記者団に、森山氏について「余人をもって代え難い」と語った。小野寺氏は記者団に「私は政策の責任者だ。責任を取るべきだ」と述べた。

 党総裁選挙管理委員会は総会後、党所属国会議員と都道府県連に対し、総裁選前倒しの是非を問う手続きを通知した。前倒しを要求する場合、議員は8日午前10時から午後3時の間に、都道府県連には同日午後3時までに書面を提出するよう求めた。

 参院選の総括文書は、総会に先立つ参院選総括委員会で了承された。物価高対策や「政治とカネ」の問題を敗因に挙げ「解党的出直し」を訴えた一方、首相個人の責任には触れなかった。首相は総会の冒頭、「地位に恋々とするものではない。しがみつくつもりも全くない」と語ったが、進退は明言しなかった。

 首相は参院選について「同志を多く失ったことはひとえに私の責任だ。心から深くおわびする」と陳謝。「道筋を示す責任から逃れることなく、しかるべき時にきちんとした決断をするのが果たすべき責務だ」と述べた。森山氏は「今必要なのは一致結束だ」と呼び掛けた。