Brody Ford

  • 受注の指標、残存履行義務が前四半期から3倍超-今後さらに増加へ
  • 時価総額9690億ドルに膨張、創業者を世界一の富豪に押し上げ

ソフトウエアメーカー、米オラクルの株価が1992年以来の大幅高となった。同社は6-8月(第1四半期)決算発表で大幅な受注増を明らかにするとともに、クラウドインフラ事業について強気の見通しを示した。人工知能(AI)需要を支える業界レースで同社の立場を固めた。

  10日の米株式市場でオラクルは一時43%上昇。株式時価総額は約9690億ドル(約142兆8700億円)に膨らんだ。この株価急伸で、共同創業者のラリー・エリソン氏はイーロン・マスク氏を抜いて世界一の富豪となった。10日の終値は36%高の328.33ドル。半導体メーカーのエヌビディアやアジアのサプライヤーなど他のAI関連株も上昇している。

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  9日の発表資料によると、受注の指標である残存履行義務(RPO)は第1四半期末時点で4550億ドル。前四半期末時点では1380億ドルだった。

  データベースソフトで知られるオラクルは近年、競争の激しいクラウド市場で実績を積み上げている。今夏にはオープンAIと、4.5ギガワット規模のデータセンター契約を結んだ。これは米国で数百万世帯の消費電力に相当する規模。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは10日、この契約の総額が5年間で3000億ドルに上るだろうと報じた。また、中国の字節跳動(バイトダンス)傘下のTikTokやエヌビディアといった企業をクラウド顧客に持つ。

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  サフラ・カッツ最高経営責任者(CEO)は発表資料で、最近の受注や今後の契約によって、同社のクラウドインフラ事業は今後数年で急拡大すると指摘。この分野の売上高は今年度に77%増の180億ドルに拡大し、2030年5月期までに年間1440億ドルに達する見通しという。これはウォール街の予想を上回る水準だ。

  株価は年初来で9日終値までに45%上昇しており、S&P500種株価指数の上昇率の4倍に達する。

  オラクルの好調を受け、時間外取引でエヌビディアの株価は一時2%高。エヌビディアの日本と韓国のサプライヤー企業の株も買われ、アドバンテストは3.3%高、SKハイニックスは5.6%高で10日の取引を終えた。

  カッツCEOは「オラクルのクラウドインフラ事業にとって驚異的な四半期だった。需要は引き続き高まっている」と語った。同社は6-8月期に3社と計4件の大型契約を締結し、今後数カ月にさらに複数の顧客と契約する見通しという。これによりRPOは5000億ドルを超える見込みだ。

  クラウドインフラ部門の売上高は55%増の33億ドルとなり、アナリスト予想の53%増を上回った。一方、一部項目を除く1株利益は1.47ドルで、予想平均1.48ドルをやや下回った。

原題:Oracle Shares Jump 30% as Bullish Outlook Fuels AI Hopes (1)(抜粋)

原題:Oracle Shares Surge Most Since 1992 on Cloud Contract Wins (2)(抜粋)