▽米コアCPI、予想通りの上昇-来週のFOMC控え利下げ期待変わらず

Mark Niquette

  • 8月のコアCPIは前月比0.3%上昇、前年同月比3.1%上昇-予想と一致
  • 根強いインフレを示唆、家賃やホテル宿泊費含む住居費は大幅上昇
Shoppers at a store in the Brooklyn borough of New York.
Shoppers at a store in the Brooklyn borough of New York. Photographer: Michael Nagle/Bloomberg

米国では基調的なインフレ率が8月に予想通りの上昇となった。来週の連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利が引き下げられるとの期待が維持された。

キーポイント
・食品とエネルギーを除いたコア消費者物価指数(CPI)は前月比0.3%上昇-市場予想も0.3%上昇、
 ・前年同月比では3.1%上昇-予想3.1%上昇
・総合CPIは前月比0.4%上昇-予想0.3%上昇
 ・今年2番目に高い上昇率(1月に0.5%上昇)
 ・前年同月比では2.9%上昇-予想2.9%上昇
・米労働省傘下の労働統計局(BLS)が11日に発表した

  食品とエネルギー商品を除いた財の価格は上昇ペースが加速した。これには新車と中古車、衣料品、家電製品が含まれる。サービス分野では航空運賃が約3年ぶりの大幅上昇となった。

  BMOキャピタル・マーケッツの米国担当チーフエコノミスト、スコット・アンダーソン氏は「少なくとも金融緩和再開をFOMCに思いとどまらせるような材料は、この統計には見当たらない」と述べた。「しかしインフレを巡るテーマはまだ終わっていないと考えている」と続けた。

関連記事:【米CPI】利下げの門、最後のかんぬきが外された-市場関係者の見方

  統計ではインフレが長引いていることが示唆された。トランプ米大統領の関税政策が一部品目の価格に影響している一方、サービス価格の上昇再開はより長期的な圧力がインフレ全般にかかっていることを反映している可能性がある。

  統計発表後に取引を開始した株式市場では、S&P500種株価指数が堅調に推移。米国債相場も上昇した。次回FOMCが開催される16-17日までに、9月のミシガン大学消費者マインド指数速報や8月の米小売売上高が発表される。市場は9月の利下げに加えて、年内あと2回の利下げを見込んでいる。

  ここ数年のインフレを押し上げてきた住居費は、今年最大の0.4%上昇。家賃が上昇したほか、ホテル宿泊費は昨年11月以来の大幅上昇だった。住居費はサービス分野最大のカテゴリー。

  連邦準備制度理事会(FRB)が注目する住宅とエネルギーを除くサービス価格は、伸びが減速。医療ケアや娯楽、レンタカーの低下が影響した。FRB当局者は全般的なインフレ軌道を判断する上でこうした指標が重要だと強調しつつ、別の指標である個人消費支出(PCE)価格指数に基づいてインフレを算出している。

  ブルームバーグ・エコノミクスのアナ・ウォン、クリス・G・コリンズ両エコノミストは「景気の軟化に対するFRBの懸念は行き過ぎている可能性が、CPIで示唆された。経済が低迷している状況では通常、航空運賃やホテル宿泊費は加速しないものだ。インフレの数値は今後数カ月かけて上昇を続けると予想する。特にFRBが利下げ局面をスタートさせれば、その傾向は顕著になるだろう」と分析した。

関連記事:米雇用統計やCPIなどの「課題」、労働省監察総監室が調査に乗り出す (1)

  FRBは賃金の伸びにも注目している。経済の主な原動力である個人消費の見通しを占う材料になるためだ。11日に発表された別の統計では、インフレ調整後の実質平均時給は前年比0.7%上昇。約1年ぶりの弱い伸びだった。

  統計の詳細は表をご覧ください。

原題:US Core CPI Rises as Expected, Keeping Fed on Track for Rate Cut(抜粋)