今朝ニュースを見ていて目に止まったのが次の記事。Bloombergが配信したもので、タイトルは「トランプ大統領、半年ごとの企業決算報告を提案-時間とコスト節減で」とある。どういうことか。Bloombergを引用する。「トランプ氏は15日、ソーシャルメディアに「証券取引委員会(SEC)の承認が条件になるが、企業はもはや四半期ごとの『決算報告』を強制されるべきではなく、『6カ月ごと』の報告にすべきだ」と投稿。「それによりコストが節減され、経営陣は適切な会社運営に専念できるようになる」と続けた。そして、トランプ氏は米国の決算報告プロセスを中国と比較し、「中国の制度の方が企業にとって効率的かつ費用対効果が高い」と示唆した。強権国家・中国の方が米国より優れているというのはちょっと気になる発言だが、四半期決算の廃止は概ね賛成できる。

決算というのは投資家にとっては貴重な情報。粉飾決算が重罪に該当するというのは、投資家だけでなく公平・公正・適時な情報開示が必要な市場経済にとっては当たり前のことだ。発表までの時間が短くなれば、投資家は企業の現在価値を判断しやすくなる。半面、適時開示の短縮化は経営陣にとってはコストがかかるうえに、経営判断の短期化を招きかねない。現在のように不透明要因が多くなると経営者はどうしても、長期的な経営判断より短期的な収益の改善を優先しがちになる。こうなると長期的な視点が疎かになるばかりか、日常生活を含めて経済のテンポがどんどん早くなる印象がある。四半期決算の廃止について専門家の間には「株式市場の不確実性を高め、バリュエーションを押し下げかねない」との懸念もある。市場関係者の間には「経営者に有利で投資家に不利」との見方もあるようだ。本当にどうなのか。

決算発表の長期化は企業から見れば、短期的な利益よりも長期的な経営戦略に重点を移しやすくなる。トランプ氏は独裁国家を目指しているわけではないと思うが、決算という面では中国の方が優れていると見ている。中国がいいかどうかは別にして、個人的にも現在の主流である四半期決算の重視は行き過ぎだろとみる。市場機能重視のグローバリズムの浸透と共に、西側陣営ではこの傾向が強まった。グローバリズムを是正するためにも決算は半年に1回で十分だろう。ただし条件がある。企業業績にとって負の情報に該当するリスク情報を適時・適切に、かつタイムリーに発表する経営姿勢が絶対条件になる。リスク情報の適時開示を疎かにした半年決算への移行は、“画竜点睛を欠く”。トランプ氏は第1期目にも同じ発言をしている。だから単なる思いつきとは言わないが、だいじな論点を無視している。