▽自民総裁選 小林元経済安保相 立候補を正式表明「世代交代を」<NHK>2025年9月16日 18時23分
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自民党の小林元経済安全保障担当大臣は16日午後、国会内で記者会見しました。
この中で小林氏は「去年の総裁選挙に敗れてから全国各地に足を運び、悲鳴にも似た怒りの声、自民党に対する声が日に日に膨らんでいくのを感じてきた」と述べました。
その上で「『解党的出直し』とはいうが、今もなお古い姿が見え隠れする。自民党を再起動させる原動力になるのは若い力で、世代交代が必要だ。新しい世代がもっと前面に出て自民党を、日本を引っ張っていく。その先頭に立つ覚悟だ」と述べました。
そして小林氏は、経済政策として、若者や働く世代を支援するため、期限や所得制限を設けて所得税の減税を行う考えを示し、一定の割合を控除する「定率減税」を実行すると訴えました。
その上で、控除のあり方や税率構造の見直しを含めた新たな所得税制の検討も進め、1年程度で結論を得たいという考えを示しました。
一方、消費税については「簡単に減税を打ち出せるものではないが、経済の先行きが不透明になったときに内需喚起の観点から選択肢の1つに載せることはありえる」と述べました。
野党との連携については、政策ごとの協力と連立の枠組みの拡大を同時並行で進めるとした上で「政策の連携の先に連立が見えてくる。数合わせでの連立は本末転倒であり、政策で相応に一致できるかが大切だ」と述べました。
このほか、防衛費の予算措置はGDPの2%では到底足りないとして国家安全保障戦略を早期に改定し必要な額を積むとしたほか、AIや宇宙などの産業への大胆な投資や、経済安全保障の強化、外国人政策の厳格化などにも取り組む考えを示しました。
小林氏の総裁選挙への挑戦は去年に続き2回目です。
《小林氏のプロフィール》
小林鷹之氏は衆議院千葉2区選出の当選5回で、50歳。
旧二階派出身で、総裁選挙には去年に続いて2回目の挑戦です。
総裁に長文の手紙 立候補を直談判
東京大学を卒業したあと、1999年に当時の大蔵省に入省し、アメリカ・ワシントンの日本大使館に出向していた際、日本の存在感の低下に危機感を覚え、政治の世界に飛び込むことを決意しました。
当時、野党だった自民党の谷垣総裁に長文の手紙を書き、立候補を直談判したといいます。
2012年の衆議院選挙で初当選し、4年前に岸田内閣が発足した際に当選3回で経済安全保障担当大臣として初入閣しました。
「いつかは国のかじ取りを担いたい」と総理大臣を目指すことを公言していた小林氏は、中堅・若手議員からの支持も受けて、去年、初めて総裁選挙に立候補しましたが、1回目の投票で9人中5位となりました。
石破政権では主要な役職には就かず、みずからを座長とする政策勉強会を立ち上げるなどして支援を受けた議員らとのつながりを維持してきました。
モットーは「世界をリードする日本をつくる」
保守的な政治信条を持つことで知られますが、小林氏自身は、異なる意見に対しても寛容な「穏健な保守」の立場をとっているとしています。
モットーは「世界をリードする日本をつくる」。
経済と安全保障を両輪に国力を上げるため、イノベーションと教育が重要だと訴えています。
《総裁選で訴える予定の主な政策》
小林元経済安全保障担当大臣が総裁選挙で訴える予定の主な政策です。
【野党との連携】
政策ごとの協力と連立の枠組みの拡大を同時並行で進めるとしています。このうち野党との連立については「政策の連携の先に連立が見えてくる」と指摘し、憲法や皇位継承、安全保障やエネルギー政策などの基本政策で相応に一致できるかが大切だとしています。
【経済政策】
(定率減税)
若者や働く世代を支援するため期限や所得制限を設けて所得税の減税を行うとしています。具体的には一定の割合を控除する「定率減税」をまず実行した上で、恒久的な措置として控除や税率構造の見直しを含めた新たな所得税制の検討を進め、1年程度で結論を得たいとしています。
(戦略産業などへの投資)
日本を「テクノロジー大国」に押し上げるとして、AIや量子、宇宙などの戦略産業に携わる企業や研究者を支援するために大胆な投資を行うとしています。
(地方活性化)
地方は「伸びしろ」が大きいとして、国や自治体、産業界が連携して戦略分野に思い切った投資を行い、雇用を創出するとしています。
(消費税)
消費税率の引き下げは簡単ではないとする一方、内外の経済の先行きが不透明になったときに内需喚起の観点から選択肢の1つにはなりえるとしています。
【外交・安全保障】
日米同盟を基軸として深化させる一方、自立性を向上させるとしています。アメリカ・トランプ政権の関税措置については、交渉内容を履行する体制を確保するとしています。
防衛費の予算措置はGDPの2%では到底足りないとして国家安全保障戦略を速やかに改定し必要な額を積むとしています。
経済安全保障をめぐり、データセキュリティーやサプライチェーンなどの強化に向けて経済安全保障法を改正するとしています。
【社会保障制度】
現役世代の社会保険料の負担を軽減する必要があるとしています。持続可能な社会保障制度や国民皆保険制度のあり方を含め、保険の適用範囲の見直しなどについて「社会保障国民会議」を設置して議論を進めていくとしています。少子化対策をめぐっては、経済の好循環により子育て世代の雇用の安定と手取りの増加に取り組むとしています。
【コメ政策】
需要に応じた供給は後押ししなければならないとしています。生産農家の所得向上に必ず取り組むとしているほか、小麦や大豆、トウモロコシを含めた食料の自給率を引き上げていくとしています。
【外国人政策】
外国勢力による偽情報や情報干渉は食い止めなければならないとして刑事罰などを盛り込んだ「外国干渉防止法」を創設するとしています。
外資による企業や土地の買収規制を強化するとしています。
外国人労働者をめぐっては、節度を持って受け入れることが必要だとして、外国人にできるだけ頼らない環境づくりや、出入国管理の厳格化などに取り組むとしています。
【ガソリン税の暫定税率廃止】
可能な限り速やかに廃止するとしています。
【「副首都」の実現】
東京一極集中の是正は必要だとする一方、日本維新の会が掲げる「副首都」構想については詳細を承知していないとしています。
【憲法改正】
任期中の憲法改正の発議を目指すとしています。具体的には緊急事態条項と自衛隊の明記を優先するとしていて、改正に前向きな政党との合意形成に努めるとしています。
【党改革】
「政治は国民のもの」という立党の原点に立ち返り、国民との車座対話やオンラインのタウンミーティングを行っていくとしています。またオープンでスピード感のある意思決定を行っていく必要があるとして、民間なみの組織改革を進め、来年の党大会での承認を目指すとしています。
【中堅若手の登用】
自民党を再起動させる原動力になるのは若い力だとして、世代交代を進めていくとしています。政権運営はベテランから若手まで適材適所のチームで行うとしています。
【靖国神社参拝】
総理・総裁になった時点で適切に判断するとしています。
