▽「穏健保守、ビジョン、政策を形にする意思」自民・小林鷹之氏、小泉氏と比べた強みを即答<産経ニュース>2025/9/17 09:50

沢田 大典

小泉進次郎農林水産相(左)と小林鷹之元経済安全保障担当相
小泉進次郎農林水産相(左)と小林鷹之元経済安全保障担当相

自民党の小林鷹之元経済安全保障担当相は、自民総裁選への立候補を正式表明した16日の記者会見で、総裁の座を競う小泉進次郎農林水産相と比べた自身の強みを問われ、「穏健保守」の政治スタンスなど3点を即答した。

小林氏は、記者から「若手候補として被っている小泉氏になくて、小林さんにある差別化ポイント、強みは何か」と問われ、笑顔を見せながら答えた。

小泉氏について「メッセージの発信力など、類まれなる力を持った尊敬する先輩議員の1人だ」と持ち上げた一方で、「あえて差異になる、自負があるとすると、3点ある」と述べた。「1つは政治的なスタンスが、穏健な保守というスタンスに立っているということ。2つ目、世界の真ん中にもう1回日本を立たせる、世界をリードする日本をつくるという国家ビジョンがあること。3点目はビジョンを政策に落とし込んで、とにかく形にしていくだけの意思、こだわり(があること)」と説明した。

その後、「これは小泉氏だけではなく、他のどの議員にも自分は負けないという自負を持っている」と付け加えた。

小泉氏は「保守」か

小林氏は選択的夫婦別姓制度導入に慎重、小泉氏は賛成の立場だが、小林氏は「そこだけをことさらに強調して、小泉氏と何か違うということは、申し上げるつもりはない」と述べるにとどめた。

「穏健保守」発言に関しては、16日夜のBSフジ番組でも話題となった。共演した政治ジャーナリストの田崎史郎氏から「進次郎さんは保守ではないのか」と問われた小林氏は「どう思うか」と逆質問した。田崎氏が「保守だと思っている」と答えると、小林氏は「そうであれば、そこの次元に2人いるということになると思うが、政策が完全に合致しているわけではない。政策でおのずと違いが出てくるので、正々堂々と議論をすることが大切だ」と強調した。

▽自民総裁選、小林鷹之氏と高市早苗氏の一本化は不発 保守票の食い合い回避狙うもすれ違い<産経ニュース>2025/9/17 06:50

5人が争う構図が固まった自民党総裁選は昨年の前回総裁選以来、期待の声があった小林鷹之元経済安全保障担当相と高市早苗前経済安保担当相の「一本化」が不発に終わった。安全保障政策や憲法改正推進、選択的夫婦別姓制度への慎重姿勢などで保守派と評価される両氏による保守票の食い合いを回避するのが一本化論の目的だが、思惑がすれ違った。

小林氏は16日の記者会見で出馬を正式に表明し「穏健な保守」を掲げた。高市氏も今週後半の表明を検討している。

ある自民ベテランは、萩生田光一元政調会長から、小林氏に対して今回は高市氏支援に回るよう求めたが、小林氏は出馬にこだわったと説明されたという。萩生田氏は4月のインターネット番組でも「結節点の役割」を果たそうと考え「(総裁選に)出続けなければいけない呪縛にかからなくていい」と小林氏に伝えた、と明らかにした。

調整は奏功せず、今は特別近い関係にない高市氏と小林氏が直接交渉を重ねた形跡も見当たらない。そもそも、両陣営の議員は「目標が異なる」(党四役経験者)ため、統合は至難との見方があった。

高市氏陣営の中核には平成24年の総裁選で安倍晋三元首相が返り咲く基盤となった保守系議員連盟「創生日本」のメンバーが多い。古屋圭司憲法改正実現本部長、中曽根弘文元外相らがいる。

小林氏陣営は、大野敬太郎衆院議員ら当選5回の同期の中堅を核とする勉強会が基盤だ。保守色を強調するというより世代交代を求める議員が目立つ。仮に小林氏が出馬しないとしても高市氏を支持せず、小泉進次郎農林水産相に流れた議員も多かったとみられる。

小泉氏も今回は選択的夫婦別姓導入の主張を後退させるなど保守色を打ち出す意向で、創生日本の中心メンバーの加藤勝信財務相に陣営トップの役職を依頼した。保守派か否かで対決構図を描きにくい総裁選になった。(田中一世)