▽自民総裁選 林官房長官 立候補を正式表明「経験フルに生かす」<NHK>2025年9月18日 20時29分
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林官房長官は18日午後、国会内で記者会見しました。
この中で林氏は「岸田政権の後半からずっと官房長官として支えてきたが、この流れを受け継ぎながら、さらに新しいものを付け加えていければと思っている。ことしで私は国会議員になって30年になる。得られた経験をフルに生かしきって、日本のために働きたい」と述べました。
その上で「誰もが夢と希望と誇りを持てる日本の未来を創造する」として、「林プラン」と名付けた政策を発表しました。
政策では、1%程度の実質賃金上昇の定着や、第2次ベビーブーム世代が後期高齢者になる2040年代に向け、持続可能な社会保障や強じんな経済を構築するための工程表の作成と推進、それに2度の国政選挙の敗北を受けた党改革に向けて「ゼロからの再建」を打ち出しました。
物価高対策では、賃上げの定着に加え、税と社会保険料を合わせた負担を考慮しながら、主に低・中所得世帯に支援を行う「日本版ユニバーサル・クレジット」の創設を掲げ、自民党が参議院選挙の公約に盛り込んだ現金給付については「臨機応変に対応していく」として、見直しを示唆しました。
野党との連携のあり方については「自分たちの政策を実現するため誰とどういう形ですべきか、その時、その時で考えていくべきだ」と述べ、政策ごとの連携を重視する姿勢を示しました。
また、消費税については、社会保障の財政需要が減る状況にないとして、税率の引き下げに慎重な考えを示しました。
このほか、中央省庁の体制の見直しや、中選挙区制度の復活を排除せず、与野党で衆議院の選挙制度改革の議論を行うこと、それに保守政党の立ち位置を打ち出すため、党の綱領の改定などに意欲を示しました。
林氏の総裁選挙への挑戦は2012年と去年に続いて3回目です。
《林氏のプロフィール》
林芳正氏は衆議院山口3区選出の64歳。
旧岸田派出身で、総裁選挙には2012年と去年に続いて3回目の挑戦です。
東京大学を卒業後、商社での勤務や大蔵大臣を務めた父・義郎氏の秘書官などを経て、1995年の参議院選挙で初当選しました。
参議院選挙には5回連続で当選し、この間、防衛大臣や農林水産大臣、文部科学大臣などを歴任しました。
そして、4年前の衆議院選挙で参議院議員を辞職し、山口3区から立候補して初当選しました。
岸田内閣で外相 官房長官務める
岸田内閣では外務大臣としてロシアによるウクライナ侵攻をめぐる対応やG7広島サミットの開催などに尽力したあと、おととし12月、派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で辞任した松野前官房長官の後任の官房長官に就任しました。
去年の総裁選挙では官房長官を務めながら選挙戦を戦い、所属していた旧岸田派の議員を中心に支持を集めましたが、1回目の投票で9人中4位となり、決選投票に進めず敗れました。
その後、石破内閣でも引き続き官房長官に起用され、アメリカのトランプ政権の関税措置をめぐる一連の対応などに中心となって取り組んできました。
安定した答弁に定評
林氏は安定した答弁に定評があり、経済・財政政策や外交・安全保障政策、農林水産行政など幅広い政策に通じていることでも知られています。
去年の総裁選挙では「人にやさしい政治、『仁』の政治」をキーワードに掲げました。
《総裁選で訴える予定の主な政策》
林官房長官が総裁選挙で訴える予定の主な政策です。
【野党との連携】
自民党の政策を実現するためにその時その時で考えていくとして、政策ごとの連携を重視する姿勢を示しています。どの党と連携するかは今回の総裁選挙で議論すべきではないとしています。
【経済政策】
(実質賃金1%増)
実質賃金が1%程度上昇する経済状況を定着させるとしています。中小企業や小規模事業者を対象に大胆な負担軽減策を講じ、賃金が上がる状況をつくるとしています。
(物価高対策)
賃上げの定着に加え、税と社会保険料を合わせた負担を考慮しながら主に低・中所得世帯に支援を行う「日本版ユニバーサル・クレジット」を創設するとしています。
参議院選挙の公約に盛り込んだ現金給付については「臨機応変に対応していく」として見直しを示唆しています。
(成長戦略)
GXやDXの推進、コンテンツ産業やスタートアップ企業の支援、創薬力の強化に取り組むとしています。
(消費税)
消費税は社会保障の貴重な財源であり、社会保障の財政需要が減る状況にはないとして、税率の引き下げに慎重な考えを示しています。
【外交・安全保障】
日米同盟の抑止力、対処力を強化するとしているほか、東シナ海などにおける国益の保持に取り組むとしています。防衛費をめぐっては、アメリカとも綿密に調整しながら必要な防衛力の水準、質を議論していくとしています。
地球温暖化など地球的な課題における国際社会の議論をリードするとしています。
【社会保障制度】
第2次ベビーブーム世代が後期高齢者になる2040年代に向け、持続可能な社会保障や強じんな経済を構築するための工程表を作成し推進するとしています。
医療や介護、福祉に携わる人の大幅な処遇改善をはかるとしています。
女性や高齢者を含めより働きたい人を後押しする雇用環境をつくるとしています。
生涯を通じた歯科検診「国民皆歯科検診」に向けた具体的な取り組みを進めるとしています。
【コメ政策】
需要に応じたコメの生産によって安定供給を確立するとしています。
【地方創生】
都市部と地方の税収格差の是正に取り組むとしています。「関係人口」を増やすとともに、居住地以外に継続的に関わる地域を登録する「ふるさと住民登録制度」を推進するとしています。人口が減少する地域における行政サービスの維持に向けて郵便局のネットワークを活用した地域振興に取り組み、郵政民営化法を改正するとしています。
【防災】
水害や土砂災害への対策、インフラの老朽化対策などを推進するとしています。
防災庁を設置するとしています。
【教育】
公教育の機能を強化し、コミュニケーション能力や創造力の向上を図るとしています。
【党改革】
2度の国政選挙の敗北を受け「ゼロからの再建」に取り組むとしています。大胆な組織改革を行い広報体制を強化するほか、国民の声を聴くためのプラットフォームをつくるなどとしています。
保守層の支持離れを踏まえ、保守政党の立ち位置を明確にする必要があるとして、党の綱領の改定などに取り組みたいとしています。
【選挙制度】
導入から30年が経過した衆議院の小選挙区制度の検証を行ったうえで、中選挙区制度の復活を排除せず与野党で選挙制度改革の議論を行うとしています。
【省庁再編】
現在の1府12省庁の中央省庁体制の見直しに着手するとしています。
