▽10月米利下げ観測強まる、金利先物市場 FOMC決定受け<ロイター日本語版>2025年9月18日午前 5:37 GMT+9

[ニューヨーク 17日 ロイター] – 17日の米短期金利先物市場で、連邦準備理事会(FRB)による6会合ぶりの利下げを受け、10月の連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利下げ観測が強まった。
市場が織り込む利下げの確率は86%と、FOMC前の71.6%から上昇。据え置きの確率は約13─14%。
FRBは16─17日に開いたFOMCで、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25%ポイント引き下げ、4.00─4.25%とした。 もっと見る
また、合わせて公表した金利見通しでは、年内のあと2回の会合(10月と12月)でそれぞれ0.25%ポイントの利下げが決定されるとの予想が示された。
▽訂正-米FOMC声明全文(前回声明との比較)<ロイター日本語版>2025年9月18日午前 6:08 GMT+9
[17日 ロイター] – 最近の指標は今年上半期の経済活動の成長が緩やかになったことを示している。雇用の伸びは鈍化し、失業率はやや上昇したが、低水準を維持している。インフレ率は上昇し、依然やや高止まりしている。
委員会は雇用最大化と長期的な2%のインフレ率の達成を目指す。経済の見通しを巡る不確実性は依然として高水準にある。委員会は2つの使命の両面に対するリスクを注視しており、雇用に対する下振れリスクが高まったと判断する。
目標を支援するため、リスクのバランスの変化を考慮し、委員会はフェデラルファンド(FF)金利の目標誘導レンジを0.25%ポイント引き下げ、4.00─4.25%にすることを決定した。FF金利の目標誘導レンジに対する追加調整を検討するに当たり、委員会は今後もたらされるデータ、変化する見通し、リスクのバランスを慎重に評価する。委員会は保有する米国債およびエージェンシーローン担保証券の削減を続ける。委員会は雇用最大化を支援し、インフレ率を2%の目標に戻すことに強く取り組む。
金融政策の適切な姿勢を評価するに当たり、委員会は今後もたらされる経済見通しに関する情報の意味を引き続き監視する。もしも委員会の目標の達成を妨げる可能性があるリスクが生じた場合、委員会は金融政策の姿勢を適切に調整する準備がある。委員会の評価は、労働市場の状況、インフレ圧力、インフレ期待、金融と世界の動向を含む幅広い情報を考慮する。
政策決定の投票で賛成したのは、ジェローム・パウエル委員長、ジョン・ウィリアムズ副委員長、マイケル・バー、ミシェル・ボウマン、スーザン・コリンズ、リサ・クック、オースタン・グールズビー、フィリップ・ジェファーソン、アルベルト・ムサレム、ジェフリー・シュミッド、クリストファー・ウォラーの各委員。反対票を投じたのはスティーブン・ミラン委員で、今回の会合でFF金利の目標誘導レンジを0.50%ポイント引き下げることが望ましいと考えた。
●前回声明文との比較
| 前回声明 | 今回声明 | 相違点 |
| 最近の指標は経済活動の成長が緩やかになったことを示している。(訂正) | 最近の指標は今年上半期に経済活動の成長が緩やかになったことを示している。 | 表現はほぼ同じだが、時期(上半期)を明示(訂正) |
| 失業率は低水準を維持し、労働市場の状況は引き続き堅調だ。 | 雇用の伸びは鈍化し、失業率は上昇したものの、依然として低水準にある。 | 労働市場の状況が「堅調」から「鈍化・上昇」へと変化 |
| インフレ率は依然やや高止まりしている。 | インフレ率は上昇し、依然やや高止まりしている。 | インフレが「高止まり」に加えて「上昇」という状況を追加 |
| 委員会は2つの使命の両面に対するリスクを注視している。 | 委員会は2つの使命の両面に対するリスクを注視し、雇用に対する下振れリスクが高まったと判断している。 | 雇用の下振れリスクに関する判断を追加 |
| 目標達成を支援するため | 目標達成を支援し、リスクバランスの変化を踏まえ | リスクバランスの変化への言及を追加 |
| フェデラルファンド(FF)金利の目標誘導レンジを4.25─4.50%に維持することを決定した。 | フェデラルファンド(FF)金利の目標誘導レンジを1/4ポイント引き下げ、4.00-4.25%とすることを決定した。 | 金利を維持から引き下げへと政策変更 |
| クーグラー委員は欠席(訂正) | (クーグラー委員の名前が削除) | 投票者の変更 |
| ボウマン委員とウォラー委員が利下げを主張し反対票(訂正) |
▽情報BOX:パウエル米FRB議長の会見要旨<ロイター日本語版>2025年9月18日午前 5:34 GMT+9

[17日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)は16─17日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25%ポイント引き下げ、4.00─4.25%とすると決定した。
パウエルFRB議長がFOMC後に行った会見の内容は以下の通り。
*インフレはこのところ上昇し、引き続き幾分高止まり
*GDPの伸び鈍化は主に消費支出の減速を反映
*移民の減少と労働参加率の低下を反映し、雇用の伸びは著しく鈍化した
*労働力需要は弱まっている
*インフレは2022年半ばの高水準から緩和も、幾分高止まり
*モノのインフレは加速、サービスのディスインフレは継続
*来年以降、大半のインフレ期待指標は2%目標と一致する見通し
*政策変更は進展、経済への影響は不透明
*関税がインフレに及ぼす全体的な影響はまだ分からない
*関税による持続的なインフレへのリスクを管理・評価する必要がある
*リスクのバランスは変化した
*適宜に対応できる態勢整っている
*FOMCは2つの責務の達成に向け結束
質疑応答:
<政策決定>
*今日の決定の焦点は労働市場へのリスクだった
*今回の利下げ、リスク管理のための利下げと考えられる
*0.25%ポイント利下げが大きな効果を生むかどうかは分からない
*現状を把握し、適切な行動を取る。われわれは今日、それを実行した
*今回の会合、50ベーシスポイント(bp)利下げに対する広範な支持なし
*金利巡り急速に行動する必要なし
*これまで待つことは適切だった
*この1年間の政策は引き締め的だった
*リスクバランスの変化、(政策が)中立的な方向にシフトする必要性を示唆
*最大雇用の責務に対するリスクが高まったことを認識する時
*インフレの2%回帰に全力で取り組む必要。同時にFRBの二大目標に対するリスクを比較検討する必要がある
*われわれの政策はインフレへの対応に偏っていた
*会合ごとに決定し、デ―タを見極めていく
*当局者19人中10人が年内2回もしくはそれ以上の利下げを想定、その他は2回以下
*われわれは長期的な視点に立ち、米国民のために最善を尽くし寄与していく。政治的配慮に基づいて決定を下すような状況になるとは思わない
*FOMCメンバーのほぼ全員がこの日の利下げを支持
*FRB、目標達成に向けあらゆる手段講じる
<労働市場>
*労働市場はもはや堅調とは言えない
*前回の会合以降、労働市場のリスクに対する見方は大きく変化した
*労働市場は冷え込みつつあり、政策にそれを考慮する時期が来ていることを示唆
*関税導入の可能性、労働市場の減速の一因
*労働市場の変化は主に移民に絡む変化による。ただ、全てが移民によるものではない。
*労働力需要は明らかに減速。供給よりも幾分急激な減少となっている。
*労働市場は軟化しており、これ以上減速させる必要はない
*米労働省労働統計局(BLS)から得られるデータは引き続き、われわれの仕事の遂行に十分
*失業率はなお低水準
<インフレ動向>
*今年のインフレ上昇の大半、モノのインフレ上昇による
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*インフレ上振れリスク、4月より低下
<中銀の独立性>
*FRBの独立性に強くコミット
*市場参加者、FRBの独立性に対するリスクを織り込んでいない
<関税の影響>
*関税による物価上昇、今年および来年も続くと予想
*関税による物価上昇で今年のインフレ率は上昇するが、一時的な上昇にとどまると予想
*インフレが持続的となる可能性は弱まった
*関税の消費者への転嫁が一部存在する非常に明白な証拠である
<経済情勢>
*消費支出は高所得者に偏っている可能性もあるが、それでもなお支出は増加している
*経済はさほど悪い状況ではない
*経済活動が持ちこたえていることは喜ばしく、消費も持ちこたえている。
*ミシガン大学の調査で見られる例外を除けば、長期的なインフレ期待は良好だ
*銀行、家計は良好な状態
*金融システムの構造的脆弱性が高まっているとは考えていない
<クック理事や自身の去就巡り>
*クック理事解任を巡る裁判についてコメントするのは不適切
*FRBにとどまるかどうかの計画について、新たに述べることなし
