▽自民総裁選 高市前経済安保相 立候補を正式表明「国力を強く」<NHK>2025年9月19日 20時38分 

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高市 前経済安全保障担当大臣は19日午後、国会内で記者会見し「日本は大きな危機に直面しており、それを乗り切るために必要なのは今の暮らしや未来への不安を夢と希望に変える政治だ。再び、自民党総裁選挙に立候補する」と述べました。

その上で「『ジャパン・イズ・バック』ともう1度高らかに言わなければならない。『日本をもう1度、世界のてっぺんへ』という高い志と燃えるような思いを胸にこの場に立っている。日本の国力を強くしなければならない」と述べました。

高市氏は去年の総裁選挙でも掲げた「日本列島を、強く豊かに。」をスローガンに、主要政策として大胆な「危機管理投資」と「成長投資」による強い経済の実現、防衛力と外交力の強化、憲法改正をはじめ次世代への責任を果たすなど5項目を打ち出しています。

このうち、物価高対策では所得に応じて給付や所得税の控除を行う「給付付き税額控除」の制度設計の着手やガソリン税の暫定税率の廃止年収の壁の引き上げ自治体向けの重点支援交付金の拡充などを盛り込んでいます。

このほか、経済安全保障の強化に向け、海外からの対日投資を審査する委員会の創設や外国人問題の司令塔の設置、外交・安全保障ではスパイ防止法の制定などを掲げています。

記者会見で高市氏は、野党との連携のあり方をめぐり「自公連立政権が基本だ。その上で、基本政策が合致する野党と連立政権を組むことまで考えていきたい」と述べました。

また、財政健全化の必要性について「1度も否定したことはない。責任ある積極財政と賢い支出で日本経済を成長させる」と述べました。

さらに、財務省に対し税収を増やすための計画を作成するよう求める考えを示しました。

一方、終戦の日などにあわせて行っている靖国神社への参拝については「国策に殉じられた方の慰霊や平和の祈念のあり方はしっかりと考えていかなければならない。国のために命をささげられた方は大切な存在で、感謝の気持ちは決して変わらない」と述べ、総理大臣に就任した場合に参拝を続けるかは明言を避けました。

高市氏の総裁選挙への挑戦は、2021年と去年に続いて3回目です。

《高市氏のプロフィール》

高市早苗氏は、衆議院奈良2区選出の当選10回で64歳。

総裁選挙には、2021年と去年に続いて3回目の挑戦です。

神戸大学を卒業したあと、松下政経塾で学び、テレビ番組のキャスターなどを経て、1993年の衆議院選挙に無所属で立候補し、初当選しました。

旧新進党などに所属したあと、1996年に自民党に入党。

その後、2003年の衆議院選挙で議席を失いましたが、2年後の選挙で郵政民営化に反対した相手候補の「刺客」として立候補し、勝利しました。

第2次安倍内閣で女性初の政務調査会長に
保守的な政治信条で知られ、初当選が同期の安倍元総理大臣と近く、第1次安倍内閣で沖縄・北方担当大臣として初入閣し、第2次安倍内閣では女性初の党の政務調査会長に起用されました。

その後、総務大臣を歴代最長の在任期間となる1438日にわたり務めました。

岸田内閣では経済安全保障担当大臣として重要な情報へのアクセスを限定する「セキュリティークリアランス」制度の創設などに取り組みました。

去年の総裁選 最多の党員票を獲得
去年の総裁選挙では、1回目の投票で9人の候補者の中で最も多い党員票を獲得し、全体でもトップとなりましたが、決選投票で石破総理大臣に逆転されて敗れました。

石破政権では主要な役職には就かず、YouTubeで政策を発信してきたほか、全国各地で講演会を開催するなどの活動を続けてきました。

《総裁選で訴える予定の主な政策》

高市 前経済安全保障担当大臣が総裁選挙で訴える予定の主な政策です。

【野党との連携】
自民・公明両党による連立政権が基本だとした上で、基本政策が合致する野党とは連立を組むことも考えたいとしています。

【経済政策】
(物価高対策)
所得に応じて給付や所得税の控除を行う「給付付き税額控除」の制度設計に着手するとしています。
自治体向けの重点支援交付金を拡充し、地域の実情に応じた支援を速やかに実施するとしています。
一方で、参議院選挙の公約に盛り込んだ現金給付は「国民の支持が得られなかった政策だ」としています。

(積極財政)
責任ある積極財政と賢い支出で日本経済を成長させるとした上で、財務省に対し、税収を増やすための計画を作成するよう求めています。
財政健全化の必要性は「一度も否定したことはない」とする一方、「大切なことは経済成長で財政健全化は目的ではない」としています。

【ガソリン税の暫定税率廃止】
軽油の暫定税率とともに廃止し、地方財源も確保するとしています。

【年収の壁】
引き上げは大賛成だとして働く意欲を阻害しない制度に変えていくとしています。

【外交・安全保障】
防衛費は日本の領土と国民を守り抜くために必要な費用を積み上げていくとしています。
宇宙やサイバーなど新たな態様にも対応できる国防体制を構築するとしています。
インテリジェンスに関係する省庁の司令塔として「国家情報局」の設置を目指すとしています。
スパイ防止法の制定にも着手するとしています。
経済安全保障の強化に向けて海外からの投資を厳格に審査する「対日外国投資委員会」を創設するとしています。
またAIや宇宙などの成長分野に積極的に投資するとしています。
中国は大切な隣国で、外交関係を良好にしていかなければならないとしています。
一方、「国家情報法」などのわかりにくい法律もあるとして対話を重ねていくことが重要だとしています。

【社会保障制度】
生涯を通じた歯科検診「国民皆歯科検診」の促進など「攻めの予防医療」を徹底し、医療費の適正化と健康寿命の延伸を実現するとしています。
女性の健康をサポートするための政策を進めるとしています。
労働時間の規制は緩和を検討するとしています。

【エネルギー政策】
安全性などを改善した次世代革新炉と高レベルの放射性廃棄物が出ない核融合炉の早期の実装を目指すとしています。
エネルギー自給率を引き上げ100%を目指すとしています。

【農業政策】
コメは精緻な需要の予測に基づいて生産を行うべきだとしています。
また備蓄米は必要な量はしっかりと確保する必要があるとしています。
農政の憲法といわれる「食料・農業・農村基本法」が去年改正されたことを踏まえ、食料安全保障の確立に向けて今年度からの5年間に集中投資を行うとしています。
全国の農林水産物や食品の輸出を促進するとしています。

【外国人政策】
外国人問題の司令塔を設置し、不法滞在者への対策や土地取得の規制強化などを検討するとしています。

【国土強靭化】
各地のリスクを点検し事前防災に必要なハード・ソフトの整備を行うとしています。
下水道に加え上水道の老朽化対策を進めていくとしています。
首都の危機管理機能のバックアップ体制を構築するとしています。

【党改革】
政治資金の透明化を徹底するとしています。
全国の党員の声を集めて政策に生かしていける仕組みづくりに取り組むとしています。

【皇位継承】
男系の皇統を守るため皇室典範を改正するとしています。

【靖国神社参拝】
総理大臣に就任した場合に参拝を続けるか明言していません。