トランプ米大統領が国連演説、2期目初

[国連 23日 ロイター] – トランプ米大統領は23日、国連総会で演説し、国連が米主導の和平努力を支援していないと批判した。自身が国際機関の支援なしに複数の世界的紛争を解決したとも言明した。

トランプ氏の国連での一般討論演説は2期目就任後で初となる。

トランプ大統領は「私は7つの戦争を終結させ、関係各国の指導者と交渉したが、国連から合意の締結に協力するとの電話を受けたことは一度もない」と述べた。

「国連の目的は何なのか。国連は非常に大きな可能性を秘めている。しかし、その可能性を十分に発揮していない」とした上で、「非常に強い言葉を使って手紙を書くだけで、その後何のフォローアップもしていないようだ。空虚な言葉ばかりだ。それでは戦争は解決しない。戦争を解決する唯一の方法は行動だ」と言明した。

ただ、演説後に行ったグテレス国連事務総長との会談ではトーンを和らげ、「米国は国連を100%支持している」と述べた。「時に賛同できないこともあるが、私は国連を強く支持する。国連が平和を実現する可能性が非常に大きいと考えているからだ」と述べた。

グテレス氏はトランプ大統領に対し、国連が「公正な平和のために協力できるよう、国連は全面的に米国と協力する用意がある」と語った。

演説では、トランプ氏はパレスチナ自治区ガザでの停戦を実現させなければならないとし、平和を支持する人々は人質の解放を求めて団結すべきだと訴えた。

同時に「あたかも紛争継続を促すかのように、パレスチナ国家を一方的に承認しようとする向きがある」とし、パレスチナ国家承認はイスラム組織ハマスに対する「あまりにも大きい報酬」と反発した。

ウクライナ情勢については、ロシアに対し強力な経済措置を講じる用意があると改めて警告。「ロシアが戦争終結に合意する用意がなければ、米国は極めて強力な関税を課す準備が十分に整っている。そうすれば流血を速やかに止められると確信している」と述べた。

同時に、米国の制裁措置が効果を発揮するためには「ここに集まった欧州諸国全てが、われわれと同じ措置を講じる必要がある」とし、他国の連携を呼びかけた。

トランプ氏は同日、ウクライナのゼレンスキー大統領と会談する。

イランについては、核兵器保有は決して許されないとし、「私の立場は非常にシンプルだ。世界一のテロ支援国が最も危険な兵器を保有することを許してはならない」と述べた。

また、気候変動を世界に対する「史上最大の詐欺」と非難し、地球環境保護に向けた国際的な取り組みに対する懐疑的な見方を改めて強調した。

トランプ氏は「国連やその他多くの機関による予測は、多くの場合誤った理由に基づいている」とし、「愚かな人々によって作られたもので、国の富や成功のチャンスを奪っている」と主張した。

演説の冒頭、テレプロンプター(演説用の原稿を表示する装置)が機能しないハプニングが起きた。トランプ大統領は国連ビルのエスカレーターの故障についても言及し、「国連から2つのことを受け取った。悪いエスカレーターとテレプロンプターだ」と述べ、ジョークを交えながらも、国連に対する個人的な不満を表明した。

▽トランプ氏が国連演説、自賛と他国批判で1時間-気候変動は「詐欺」<bloomberg日本語版>2025年9月24日 2:42 JST

Catherine Lucey、Josh Wingrove、Jennifer A Dlouhy

  • 国連は「空虚な言葉」ばかり、機械故障や20年前の個人的恨みに言及
  • 他国の環境・移民政策を批判、「こうした国々は地獄に向かっている」

トランプ米大統領は国連総会で演説し、国連を「空虚な言葉」ばかりだと強く非難した。さらに気候変動対策を「信用詐欺」国境開放は国の破壊を招くと述べるなど、不平を並べ立てた。

  団結を呼び掛ける声を無視し、トランプ氏は演説の冒頭から自身の外交努力を国連はあまり支援してこなかったと不満を吐露。メラニア夫人が乗った直後に国連のエスカレーターが故障し、自分の演説用プロンプターも壊れたと責め立て、20年前に国連本部の改修計画に入札したものの却下された個人的な恨みも持ち出した。

  「自分は7つの戦争を終わらせ、それぞれの国の指導者と交渉したが、合意をまとめるため支援したいとの電話が国連からかかってきたことは一度もなかった。国連から受け取ったのは2つだけ、壊れたエスカレーターと壊れたプロンプターだ。どうもありがとう」と語った。

Key Speakers During The 80th Session Of The United Nations General Assembly
国連総会で演説するトランプ米大統領(23日)Photographer:David Dee Delgado/Bloomberg

  トランプ氏は演説で自画自賛を繰り返し、他国を名指しで批判しないという国連の不文律に再三違反しつつ、とりとめもなく約1時間続いた。この戦闘的なスタイルは米国人にはおなじみだが、外国首脳の前でも変わらなかった。

  英国とドイツはグリーンエネルギー政策で批判し、ギリシャとスイスは移民を受け入れているとしてやり玉に挙げた。ブラジルは検閲と弾圧を行っていると断じ、「こうした国々は地獄に向かっている」と話した。

  米国の移民取り締まりについては人道的な取り組みだと主張し、米国入国を目指す人々の暴力や死を防いでいるからだと述べた。さらに自らの選挙運動で販売し、「トランプは全てにおいて正しい」と書かれた帽子を宣伝。

  「誇張して言っているわけではないが、これは真実だ。自分は全てにおいて正しかった」と語った。

原題:Trump Blasts UN Over Immigration, Climate in Combative Speech(抜粋)