▽【米国市況】ドル全面高で148円90銭台、予想外に指標堅調-株は続落
Rita Nazareth
- 米新築住宅販売が2022年初め以来の高水準、前月比20.5%増
- ドル指数は2週間ぶり高値-米国債下落、オラクル社債発行など重し
24日の米金融市場ではドルが全面高となり、円は対ドルで148円90銭台に下落した。株式市場では主要3指数が続落した。
| 為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| ブルームバーグ・ドル指数 | 1202.33 | 6.66 | 0.56% |
| ドル/円 | ¥148.91 | ¥1.27 | 0.86% |
| ユーロ/ドル | $1.1736 | -$0.0079 | -0.67% |
| 米東部時間 | 16時49分 |
ブルームバーグ・ドル・スポット指数は前日比0.6%上昇し、今月11日以来の高値。この日発表された8月の米新築住宅販売が予想外に急増し、2022年初め以来の高水準となったことが材料視された。
関連記事:米新築住宅販売は20.5%増、22年以来の高水準-値引きなどが奏功 (1)
ラボバンクのストラテジスト、ジェーン・フォーリー氏は「新築住宅販売の強さにより、米経済は緩やかな減速にとどまっているとの見方が強まる可能性がある」と指摘した。
シカゴ連銀のグールズビー総裁は、今後の連邦公開市場委員会(FOMC)会合での追加利下げについて、自身が積極的に支持する可能性は低いかもしれないと述べた。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)がインタビュー内容を伝えた。
円は海外時間に対ドルで下落し、下げ幅を拡大する展開。一時0.9%安の1ドル=148円92銭を付けた。
三菱UFJ信託銀行ニューヨーク支店資金証券室の小野寺孝文ファーストバイスプレジデントは、この日の海外市場でのドル高円安について、強い米住宅指標に加え、四半期末が近づく中でのドル買いや、ドル売りが続いていたことによるショートスクイーズが要因だと指摘。
「注目されていた200日移動平均線の148円55銭付近を大きく突き抜けてきたが、きょうの動きが150円を超えるトレンド転換になるとは思わない」と述べた。
株式
米株式相場は続落。4月に付けた安値から力強い上昇が続いてきたが、勢いには陰りも見られる。労働市場の減速や根強いインフレといったリスクがある中、新たな材料を待つ展開となった。
| 株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| S&P500種株価指数 | 6637.97 | -18.95 | -0.28% |
| ダウ工業株30種平均 | 46121.28 | -171.50 | -0.37% |
| ナスダック総合指数 | 22497.86 | -75.61 | -0.33% |
S&P500種株価指数は今年に入って30回近く、終値ベースでの最高値更新を続けてきていた。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)のサビタ・スブラマニアン氏は同指数について、20の指標のうち19で統計的に割高な水準にあると指摘した。
ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナルのストラテジスト、チャーリー・マケリゴット氏は、今年の株式相場上昇に追随する人が増える中、強気の投資家はポートフォリオを引き続きヘッジすべきだと述べた。
同氏は人工知能(AI)を巡る熱狂を受け、懐疑的だった人たちが高値で株を買っていると指摘。多くの投資家が最大限ないし、それに近いエクスポージャーを取っていることもあり、株式相場の下押しリスクは高まっていると分析した。
パイパー・サンドラーのクレイグ・ジョンソン氏は「タイムアウトがかかった」と発言。「強い上昇傾向はまだ終わっていない。しかし、株式相場が上昇を続ける中で基調のモメンタムは弱まっており、短期的なリスク・リワードは徐々に圧迫されつつある」と述べた。

力強さには欠けたが、株式相場はこの日も最高値圏を維持した。BofAのスブラマニアン氏は、予見性や予測可能性が改善していることを踏まえると、S&P500種のバリュエーションは正当化され得ると指摘した。
ネーションワイドのマーク・ハケット氏は「投資家心理やポジショニングの指標を見る限り、今の上昇相場は投機的な過熱ではなく慎重な楽観に支えられている」と話している。

国債
米国債相場は下落(利回り上昇)。社債発行が全般に増え始めたことが影響した。この日の5年債入札は平均並みで堅調さを維持した。
| 国債 | 直近値 | 前営業日比(bp) | 変化率 |
|---|---|---|---|
| 米30年債利回り | 4.75% | 2.9 | 0.62% |
| 米10年債利回り | 4.14% | 3.9 | 0.94% |
| 米2年債利回り | 3.60% | 1.6 | 0.45% |
| 米東部時間 | 16時50分 |
ソフトウエアメーカーの米オラクルは180億ドル(約2兆6800億円)規模の米投資適格債を発行する。この市場では今年に入り2番目の大きさとなる。米国債相場はこの報道後に一段と下落した。
関連記事:オラクル、社債180億ドルを発行へ-米投資適格で今年2番目の規模 (2)
UBSグローバル・ウェルス・マネジメントのウルリケ・ホフマン・ブチャディ氏は「米金融当局の緩和サイクルは株式や質の高い債券、金にとっておおむね追い風になる」と述べた。
原油
ニューヨーク原油先物相場は続伸。7月以来の大幅高となった。ロシアに対するトランプ米大統領の強硬姿勢が強まる中で買いが膨らみ、重要なテクニカル水準を上回った。
トランプ氏は、北大西洋条約機構(NATO)加盟国は自国の領空を侵犯したロシア軍機を撃墜すべきだとの考えを示した。ウクライナが戦争に勝利する可能性については従来より前向きな姿勢を示した。
原油相場は64.68ドル前後の100日移動平均を上回ったことで上昇に拍車がかかった。
ブリッジトン・リサーチ・グループのデータによれば、価格変動を増幅させる傾向のある商品投資顧問業者(CTA)はショートポジションを解消しつつある。ポジションの比率は、9月23日時点で55%だったのに対し、22日には36%まで低下した。

ロシアでは、パイプライン施設を含むエネルギーインフラへのウクライナによるドローン攻撃が相次ぎ、一部企業に対するディーゼル輸出の制限を検討している。
CIBCプライベート・ウェルス・グループのシニア・エネルギー・トレーダー、レベッカ・バビン氏は「地政学的なニュースが各地でエスカレートする中、ウクライナによるエネルギーインフラへの攻撃が石油製品の流通に影響を及ぼしており、事態が解決しなければ原油輸出にも波及する可能性があるため、原油価格はこの日も上昇を続けている」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物11月限は、前日比1.58ドル(2.5%)高の1バレル=64.99ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント11月限は2.5%上昇し、69.31ドルで引けた。
金
金スポット相場は反落。米金融当局者の一連の発言やロシアを巡る地政学的緊張の高まりを見極めようとする雰囲気が強い中で、金は軟調な展開となった。
スポット価格はニューヨーク時間午後2時28分現在、34.86ドル(0.9%)安の1オンス=3729.15ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物12月限は47.60ドル(1.3%)安の3768.10ドルで引けた。
原題:Dollar Advances to Highest Level in Two Weeks: Inside G-10
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Gold Steadies Near Record as Fed Rates, Russian Tensions Weighed(抜粋)
