生成AIで一躍世界のトップ企業に躍り出たOpenAI。同社が提供しているChatGPTはすでに我々の生活に欠かせないツールになっている。そのOpenAIが米国内に5カ所のデータセンターを建設するという記事を読んだ。別に驚くほどの記事ではないが、総建設費が約4000億ドル(約59兆円)達するとあって、これにはちょっとびっくりした。同社と並んでA I業界をリードしているのがNVIDIAだ。コンピューターをはじめあらゆるデジタルデバイスに不可欠な半導体のトップーカー。同社が主導するPhysical AIがすでに実装化されているという記事を今朝読んだ。しばらく目を離していたAI業界が猛烈な勢いで進展している。この業界は常に指数関数的に拡大するが、Physical AIの進歩は考えるロボットの誕生に道を開く。世界に冠たるロボット大国日本は大丈夫か、生来の心配性が頭の中で蠢きはじめた。
驚くべき進歩がすでに始まっている。PRESIDENT Onlineに掲載された田中昭道氏の原稿を読んで、AI業界のあまりにも急激な進歩について、かつてないほどいほどの驚きを感じた。生成AIがIT業界の話題の中心に躍り出たのはつい最近のことだ。その生成AIを凌ぐPhysical AIの実装が始まっており、ロボット業界は鎬を削って人間に変わるロボットの生産競争に明け暮れているというのだ。今年の1月21日、トランプ大統領が正式に就任した翌日、孫正義氏などソフトバンクグG、OpenAI、Oracleのトップ3人がホワイトハウスでトランプ氏と並んで記者会見を行った。総額5000億ドル(約75兆円)にのぼる対米投資を発表したのだ。目的は生成AIの需要拡大に備えると言うもの。AIはいずれAGI((Artificial General Intelligence=汎用AI)に発展する。その時の膨大な需要に備えると言うのだ。AIで鎬を削る米国と中国。この時の記者会見はAIでの米中覇権戦争の始まりだった気がする。
田中氏の原稿によるとNVIDIAは、Physical AIを実現する「Jetson AGX Thor」をすでに実践投入している。これは「クラウド中心のAIから、自律型AIへのパラダイムシフトを意味する」と言う。「ヒューマノイド(人型ロボット)、倉庫物流ロボット、医療ロボット、自律建機――あらゆる現場でThorを搭載したロボットが知能を発揮する時代が始まった」と言うのだ。もっと身近な例をあげれば、ファミリーレストランで配膳する猫型ロボットを連想すればいい。そのロボットの頭脳を担うのがPhysical AI。AGIだ。要するに自分で考え、自分で問題解決する人型ロボットの頭脳と考えればいい。日本はロボット大国だ。その頭脳をNVIDIAは独り占めしようとしている。かつてビデオやウォークマンで世界をリードした日本だが、スティーブ・ジョブズの“頭脳”に敗れた。歴史は再び繰り返すのか・・・。
