▽戦争終結すれば退任する用意、ゼレンスキー大統領が発言<ロイター日本語版>2025年9月25日午後 9:33 GMT+9
[キーウ 25日 ロイター] – ウクライナのゼレンスキー大統領は、25日に公開されたニュースサイトのアクシオスとのインタビューで、ロシアとの戦争終結後に退任する用意があると語った。
「ロシアとの戦争が終われば(選挙に)向かわない用意がある。選挙が目標ではないからだ」と指摘。「非常に困難な時期に祖国とともにあり祖国を助けたいと強く思っている。私の目標は戦争終結だ」と述べた。
その上で、停戦が実現すれば議会に選挙を要請する意向を示した。
2024年に予定されていた大統領選挙は、ロシア侵攻を受けて敷かれた戒厳令により先送りされている。そのためロシアはゼレンスキー大統領の正当性に繰り返し疑問を呈してきた。
戦時下でゼレンスキー氏は国民から高い支持を得ている。キーウ国際社会学研究所が9月初めに実施した世論調査によると、国民の約59%がゼレンスキー氏を信頼、信頼していないとの回答は34%だった。
▽中国の無人機専門家、ロシア軍需企業に技術支援か 現地で組み立てや説明との情報<ロイター日本語版>2025年9月25日午後 5:39 GMT+9

[25日 ロイター] – 中国のドローン(無人機)の専門家がロシアに足を運び、欧米の制裁対象となっている国営軍需企業で無人機の技術開発に携わっていることが、欧州の安全保障当局者の話や関連書類で分かった。
中国の専門家たちは、ロシア国営軍需企業アルマズ・アンティ傘下のIEMZクポルを昨年第2・四半期から6回以上訪れている。その間、クポルにはロシアの仲介業者を通じて中国製の攻撃・偵察用ドローンが納入されたという。クポルについては、ロイターが昨年9月、中国で現地の専門家の協力を得て新型無人機「ガルピヤ3」を開発したと報じている。
請求書や銀行取引明細などによると、クポルは昨年、中国の四川AEE製攻撃型ドローン十数機を受け取った。
クポルの報告書では、2024年第4・四半期にチェリャビンスクの試験場でドローンの飛行試験を実施したとしている。
また中国の専門家グループがロシア中部の軍事産業都市イジェフスク市にあるクポルの施設を訪れ、無人機を組み立て、クポルのスタッフに使用方法を訓練したとしている。
中国外務省は、無人機を巡るロシアとの協力は承知していないとし、「中国はウクライナ危機の問題に関して常に客観的で公正な立場を維持しており、紛争のいかなる当事者にも殺傷力のある武器を提供することはなく、ドローンの輸出を含むデュアルユース品目を厳しく管理している」と声明で述べた。
ロシアの大統領府、国防省、クポルはコメント要請に応じていない。
▽アングル:トランプ氏の「ウクライナ奪還可能」発言、欧州へ圧力か<ロイター日本語版>2025年9月25日午後 6:28 GMT+9
By Elizabeth Piper, Ludwig Burger, Lili Bayer

[ロンドン/ベルリン/ブリュッセル 24日 ロイター] – ウクライナはロシアから全ての領土を取り戻せるとトランプ米大統領が発言したことが、安堵(あんど)と疑念が入り交じった反応を引き起こしている。米大統領がウクライナ支援に関して、欧州による独自の対応余地を広げようとするつもりではないかとの疑念がくすぶるからだ。
トランプ氏は交流サイト(SNS)に投稿し、大きな方向転換を示した。これまではウクライナに領土問題で譲歩し、ロシアの侵攻を終わらせるべきだと圧力をかけ、先月はアラスカでロシアのプーチン大統領を厚くもてなしていた。
しかし、トランプ氏の発言が米国の政策変更によって実効性を持つようになるかどうかはすぐに分からない。そうしたあいまいな状況のために、欧州は米国の役割が後退する中でウクライナの武器や資金のニーズのより多くを満たす上で負担を引き受ける可能性があるだろう。
英王立防衛安全保障研究所(RUSI)のニール・メルビン国際安全保障部長は「トランプ氏のウクライナの戦争に対する理解が変わったことを示している。人々は勇気づけられていると思う」と話す。「トランプ氏は戦争の背景事情が複雑だと認識し、プーチン氏に明らかにいら立ちを覚えている。これはウクライナと欧州の外交努力の成果だろう」と語る。
しかし、メルビン氏はトランプ氏が依然として戦争に関して戦略的なあいまいさを維持しており、ウクライナを励ましつつも米国の支援を約束していないと指摘。「言い方は変わったが、米国が主導的立場から距離を置こうとしているように思われる。常に欧州に(主役を)押し戻そうとしている」と分析する。
<役割拡大は険しい道>
ドイツのワーデフール外相はトランプ氏の発言を歓迎したが、欧州がさらに力を入れるべき時だと述べた。
同外相はドイツの公共ラジオで「欧州諸国の全てがウクライナに約束したことを実行したわけでなく、われわれはもっと多くを達成できる」と語った。「さらなる財政的・軍事的な選択肢を検討しなければならない」としつつ、欧州が安全保障上の努力を強化するのは容易でないと付け加えた。
匿名を条件に語った2人の当局者もまた、トランプ氏が今後は欧州が支援するべきだと示唆しているのではないかと警告した。
西欧のある当局者は「トランプ氏は別れを告げようとしているように見えるだろう。しかし、明日になると変わるかもしれない。いずれにしても、われわれにとって状況ははっきりしている。何をするべきなのか分かっている」と述べた。
東欧のある高官はトランプ氏の発言について「ウクライナ問題が欧州の課題だというメッセージを送ることで関与を弱めようとし始めている」と推察する。
ポーランドのナブロツキ大統領はトランプ氏のウクライナに対する姿勢について根本的な変化と見ておらず、「公的な変化」であって「心の奥底からの急進的な変化」でないと描写した。
トランプ氏の発言を受けた24日の午前の金融市場は、欧州防衛関連株が上昇した。一方、ウクライナ政府が海外の投資家向けに発行したユーロ建て債などは下落した。
ウクライナ国債に投資するアバディーン・インベストメンツのポートフォリオマネージャー、ビクトル・サボ氏は、トランプ氏の発言について常に懐疑的に見る必要があり、債券スプレッドはウクライナ経済の見通しを巡る楽観的な見方が後退している状況を示していると語った。
<欧州の取り組み>
トランプ氏は1月の大統領復帰前に「再選されれば24時間以内にウクライナ戦争を終わらせることができる」と豪語していた。2月にホワイトハウスで行われたウクライナのゼレンスキー大統領との会談がさんざんな結果に終わった後、欧州の首脳らはトランプ氏を引き込むために一段と努力してきた。
欧州はまた、戦争が2022年2月24日のロシアのウクライナ全面侵攻から始まっており、ロシアだけが責任を負うのだとトランプ氏を説得しようとしている。
英王立国際問題研究所(チャタムハウス)のウクライナフォーラムの研究員ヤロスラバ・バルビエリ氏は「プーチン氏がトランプ氏をずっと翻弄(ほんろう)してきたという事実が、トランプ氏にようやく分かり始めている」と語った。
「トランプ氏はまた責任をロシアや欧州に押し付けることで、自らを有能な和平仲介者としてのイメージを維持するために出口戦略を模索している。ウクライナの戦争をずっと終結させることができなくても自分のせいではないのだ」と説明する。
米国は長年にわたりウクライナ最大の支援国かつ兵器供給国だったが、トランプ氏は大統領に就任以来「欧州がより多くの防衛負担を担うべきだ」と主張。そうした動きは既にある程度進んでいる。
北大西洋条約機構(NATO)に加盟する欧州諸国は防衛支出を増やし、また新制度の下でNATO諸国の資金を活用して米国の備蓄からウクライナに防空兵器を供与した。
それでもメルビン氏はトランプ氏の言い方が再び変わり得ると予想する。
「プーチン氏に電話をたった1本かければ再び態度を変えると思う。だからこそ、欧州はこの8カ月間でトランプ政権の対応に信頼を失ったのであり、今回の発言でも信頼は回復していない」と話した。
