自民党の総裁選は次の総理を選ぶ選挙というよりは、増税派対減税派の仁義なき殴り合いといった方が良さそうだ。公職選挙法が適用されない私的な選挙だが、国会で比較第1党である自民党にしては恥も外聞もかなぐり捨てた死闘の様相を呈している。この戦いの実態は、国民も世界の潮流もかなぐり捨てた権力争いでしかない。5人の候補者が立候補しているが、減税を前面に押し出して主張しているのは高市候補ただ一人。あとの4人は多分財務省の顔色を窺っているのだろう。有力候補の小泉氏は政策どころではない。例の「ステマ問題」の対応に追われてあっという間に影が薄くなった。変わって浮上しそうなのが林候補だ。政策通で英語がペラペラ。米中どちらに近いかといえば中国寄りだ。日中議員連盟の会長も務めていた。その林氏にも黒い影が・・・

ジャーナリストの山口敬之氏は林氏の「党規違反」を指摘する。この人、宮沢洋一氏が会長を務める税制調査会の有力メンバーでもある。しかもすべての税制を実質的に牛耳っているインナーに属している。会長の宮沢氏は野党の減税要求にことごとく「財源は」と切り返すアンチ減税派。「財源ぐらい自分で考えろ」と言いたくなるのだが、林氏もその一員だ。インナー所属の有力議員はまだいる。小泉氏の選対本部長を務める加藤氏もその一人。自民党総裁選には増税派の“確信犯”が何人も顔を揃えているのだ。林氏の推薦人に名を連ねる後藤茂之氏(長野4区)もその一人。後藤氏は自民党の党則で禁止されている林氏推薦の政策レターを、自分の選挙区以外にも配布している事実が発覚している。しかも総裁選の最中にだ。山口氏は「林氏には候補者の資格がない」と語気を強めて批判する。

今回の総裁選に立候補している5人のうち4人は、増税派かもしくはそれに近い人だ。ただ一人高市氏だけが所得控除額の引き上げ、ガソリン暫定税率の撤廃を公約に掲げている。国政選挙で2連敗した自民党の大勢は、国民を無視した増税派で占められている。これが敗北の要因だ。その人たちが水面下で、寄ってたかって高市潰しに奔走している。小泉氏のステマ問題も、林氏の党規違反も願いは同じ、「高市だけは総理にしない」。これは反省なき権力の追求以外のなにものでもない。もう一つこの4人に共通するものがある。それは対米「従属、服従、隷属」マインドである。もちろん4人の中でも温度差はある。DSの親分である財務省に逆らえる人はいない。若干抵抗したのは事実だが、安倍元首相だって逆らえなかった。林氏は総裁になったら「石破首相や岸田前首相を起用する意向だ」と伝えられえている。えっ、なんだそれ。自民党総裁選、いかりや長介さんじゃないが、「ダメだこりゃ」・・・