自民党総裁選が長い〜政治空白を経て明日投開票日を迎える。主要メディアは「小泉、高市の戦い。林が追う」と事前の状況を記事の見出しに立てている。党所属の国会議員を対象としたアンケート調査や、有力政治家への聞き取り。地方支局を使った情報収集などを加味して、総合的に勘案した結果の予想だろう。昨年の総選挙、今年に入ってからの都議会議員選挙、さらには先ごろ行われった参院選挙では、全ての予想ははずれた。だが、今回は自民党の国会議員と、党員・党友が投票する選挙。主要メディアにとっては手の内を知り尽くした政権政党と、これを支持する90万人程度の有権者が参加せる選挙である。情勢は手に取るようにわかっているのだろう。個人的には小泉、高市の決選投票の末に今回もまた党内主要勢力に押された小泉氏が勝利すると見ている。

小泉陣営の不正がいくつも表面化している。これが選挙の結果に影響するとすれば、小泉に変わって林が勝利するだろう。だが、いずれのケースになったとしても自民党の再生はない。理由は簡単だ。「解党的出直し選挙」と銘打って入るものの、今回もまた「表紙を変えるだけの選挙」に過ぎないからだ。自民党という政党はどんなに批判されても、本質的に「反省」することはない。目先をちょっと変え、国民世論を“たぶらかし”ながら自民党並びにその追随者が求めている利権と権益を守ろうとする。言葉を変えれば「既得権益」の擁護。候補者のすべてに課されているこれが自民党員としての義務なのだろう。国民の期待に応えるとか、国民に寄り添う気持ちなど、これっぽっちもない。五人の候補者のうち高市だけは「多少なりとも国民」を意識しているに過ぎない。

既得権益者に支持されているウエイトを高い順番位あげれば、小泉、林、茂木、小林、高市という順番になる。たぶん党員・党友の支持はこの逆だろう。日本を実質的に牛耳っている官僚群を含め、主要メディアなど自民党の追随者たちはすべからくこの部類に入る。直近の40年を振り返ってみれば明らかだ。1985年のプラザ合意から日本の凋落が始まった。円高不況で政府・日銀は政策金利を低めに誘導した。結果は80年代後半のバブルだ。この間日銀は金利の“高め誘導”を目指すが、米国に従属する自民党の指導者や財務省によって完全に封じ込められる。バブル崩壊後は慌てて金融機関への公的資金投入を目指すが、世論の批判を恐れた当時の指導者は決断できない。結果的に日本経済は奈落の底に突き落とされる。挙げ句の果てにデフレ下の消費税率引き上げだ。自民党に政権を担う資格はあるのだろうか。注目すべきは50代前の有権者だ。すでに自民党離れを始めている。おそらくこれが日本の唯一の希望だろう。