Ian King
- OpenAIが6ギガワット規模のAMD製GPUを今後数年にわたり導入
- AMD時価総額は3306億ドルに拡大-コカ・コーラやGEを上回る
アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)とOpenAIは6日、人工知能(AI)インフラ構築に関する大規模な契約を締結した。AIコンピューティングの分野でエヌビディアに挑む機会を得た形だ。
契約の発表を受け、AMD株は24%高の203.71ドルで6日の取引を終えた。時価総額は634億ドル(約9兆5300億円)増の3306億ドルに拡大。コカ・コーラやゼネラル・エレクトリック(GE)、シェブロンを上回った。
発表によると、OpenAIは、今後数年にわたり合計6ギガワット規模のAMD製画像処理半導体(GPU)を導入する最終契約を締結した。
AMDはオープンAIに対し、一定の成果目標の達成に応じて権利が確定する最大1億6000万株分の新株予約権を付与した。この目標にはAMD株価の上昇も含まれており、将来的な権利行使の一部には、1株当たり600ドルとなることに連動する条件もある。AMD株は、3日の終値時点で164.67ドルだった。
今回の取引はAMDに対し、数百億ドル規模の新たな収益機会やAI技術分野での評価向上のチャンスをもたらす。一方で、バブル懸念がくすぶるAI市場に同社の業績が一層結びつくリスクもある。
AMDのリサ・スー最高経営責任者(CEO)はブルームバーグテレビジョンのインタビューで、「これは間違いなく、われわれがこれまで発表した中で最大の導入規模だ」とコメント。「今まさに大規模な拡張に着手する段階だ。われわれや株主、われわれのチームにとって重要な契約だ」と語った。
OpenAIは大規模データセンターを構築し、計算能力の拡充を進めている。テック業界は、膨大な電力を消費するAIツールへの急激な需要が今後も衰えないとみて、かつてない規模の賭けに出ている。
エヌビディアは9月、最大1000億ドルを投じ、OpenAIのために少なくとも10ギガワットの電力供給能力を持つAIインフラと新たなデータセンターを構築すると発表した。これはニューヨーク市のピーク時の電力需要に匹敵する規模だ。
OpenAIがより高度なAIシステムの構築・運用に必要となる半導体やデータセンターの膨大な費用をどのように賄うのか、現時点では明らかになっていない。サム・アルトマンCEOは2カ月ほど前に、AIサービスに必要だと自身が考えるコンピューティング資源を確保するために、「兆単位」のインフラ投資を行う意向を示唆。この実現に向け、「新しいタイプの」金融手法の開発に同社として取り組んでいるとアルトマン氏は説明したが、詳細には触れなかった。
AMDは、OpenAIや大規模データセンターを運営する他の企業がAI能力拡張に数十億ドルを投じる中、アクセラレーター・チップ市場でエヌビディアに大きく後れを取っている。この分野でのAMDの今年の売上高は65億5000万ドルに達する見込みだ。同社は、今回のOpenAIとの提携が来年からの有力な収益源となり、2027年にはさらに勢いが加速すると予想している。

AMDの経営陣は、今回の提携が、AMDの技術の採用拡大の足がかりにもなる見通しで、この分野での売上高を将来的に1000億ドル超に押し上げる可能性があるとしている。ただし、その達成時期については明らかにしていない。

原題:AMD Inks Chip Deal With OpenAI That Triggers Explosive Rally (1)、AMD Shares Soar on OpenAI Deal Worth Tens of Billions of Dollars (抜粋)
