高市総裁のもとで自民党の新体制がスタートした。役員人事は主要メディアが事前に報道した通りで、サプライズはなかった。早速公明党との連立協議が始まった。同党は高市氏の保守的体質が気に入らないようで、いくつかの懸念を伝えたとされる。自公としては珍しく1回の会談で連立の合意は得られなかった。主要メディアは連立離脱の可能性を強調している。個人的には離脱した方がいいと思っている。自民党解体だけではなくこの際、既得権益に染まった政界の解体も一緒にやったらいい。主要メディアの解体も進むだろう。そんな中で自民党の役員人事を横目で見ながら気になることがある。一番気になっているのはコバホークこと小林鷹之氏の政調会長起用だ。この人の実態は国民派か既得権益派か、政治家としての立ち位置が知りたい。
コバホークの信条を理解しているわけではない。何を今さらといういう人がいるかもしれない。自民党のホープと呼ばれている人が、一体何を目指しているのかよくわからないのだ。多くの国民や主要メディアは政治家を、保守派とリベラル派に色分けする。個人的にはこの分類はもう古臭いと思っている。政治家に必要な分類は一般庶民を中心とした有権者に寄り添う「国民派」か、健全財政など国家運営のシステムに寄り添う「既得権益派」の2つしかない。昨年の総選挙、夏の都知事選や参院選で示された民意は、国民派への支持拡大だった。総裁選はこの延長線上で実施されたわけで、ひとことで言えば国民派の総裁を選ぶための選挙だった。結果は高市氏。振り返ってみれば選択肢は一択しかなかったのだ。だが、国会議員票は高市氏が149票、小泉氏は145票と僅差。高市体制には多くの反対者がいる。税調のインナーを勤めたことがあるコバホークは本当に「国民派」なのか、そこが知りたいのだ。
政調会長就任はチャンスだと思う。早速試されるのは会長の下にぶら下がっている税制調査会長の人事だ。現会長は既得権益の塊のような宮沢洋一氏。宮沢喜一元総理を叔父にもつ広島の名門一家出身だ。庶民の生活など理解できないはずだ。その宮沢氏の首を切れるかどうか。もちろん税調は総理・総裁でも触れない聖域と、これまでの常識は教えている。そんな常識が通用するのは自民党内だけだ。国民に寄り添う政治家だとすればコバホークの選択は一つしかない。それができるか、できないか。政治家の将来はこれで決まるだろう。気がかりな点は山ほどあるが、もう一つだけ。どうして今回公明党はかくも強硬な姿勢をとっているのか。連立離脱はないと思うが、「言うことは言う」とのパフォーマンスか。既得権益派の“ごまめの歯ぎしり”にすぎないが、それを主要メディは、さも重大事かのように喧伝する。日本にまとわりついた閉塞感が拭いきれないのは誰のせいか、国民の多くが分かり始めている。
