▽公明の連立離脱で高市氏「私の責任だ」 自民党両院議員懇談会 「総総分離」論も<産経ニュース>2025/10/15 00:33

自民党の両院議員総会であいさつする高市早苗総裁(中央)=14日午後、党本部(相川直輝撮影)
自民党の両院議員総会であいさつする高市早苗総裁(中央)=14日午後、党本部(相川直輝撮影)

自民党の高市早苗総裁は14日の党両院議員懇談会で、公明党の連立政権離脱に至る経緯を説明した上で「私の責任だ」と陳謝した。非公開で実施した懇談会では約20人が発言し、多くは国民民主党などとの連携を模索する執行部の動きを支える姿勢を示した。高市氏の責任論には発展しなかった。首相指名選挙で高市氏の勝利が不確実であるため、石破茂首相が首相の職を続け、総裁は高市氏という「総総分離」を主張する議員もいた。

高市氏は懇談会後、東京都内で講演し、「総裁にはなったが、首相になれないかもしれない女といわれている、かわいそうな高市早苗だ」と自虐気味に語った。「首相指名選挙の瞬間まで、ぎりぎりまであらゆる手を尽くす。絶対になってやると思っている首相になれたら、とにかく日本経済を強くする」と強調した。

懇談会で飛び出した「総総分離」論は、石破首相が辞任しなければ首相指名選挙は行われず、政権交代は起きないという理屈だ。当面続投する間、自民は野党との連立・連携交渉に注力できることになる。大岡敏孝衆院議員は懇談会で「高市氏が(確実に)首相に指名される態勢を整えてから石破首相が内閣総辞職し、高市首相誕生という段取りで進めていけばよいのでは」と述べた。

鈴木俊一幹事長は記者団に、「総総分離」に言及したのは2人だったとの認識を示した。別の出席議員は「4、5人が主張し、拍手は少なかった」と述べた。鈴木氏は記者団に「執行部としては原則、堂々と首相指名選挙をやる」と総総分離論を否定した。

船田元(はじめ)・元経済企画庁長官は、連立交渉が行き詰まった場合の打開策として「総裁選のやり直し」を提案したが、他の出席議員から批判的なやじが飛んだ。

公明は、企業・団体献金の受け皿を政党本部と都道府県連に限定する公明案に自民が慎重である点を連立離脱の理由に挙げている。懇談会では「政治資金規正法改正の公明案を丸のみしてでも連立の再協議をすべきだ」との意見も出た。

自民内では、選挙区で公明から推薦を受けられなければ当選が厳しくなるとの不安の声がある。高市氏は「地方では自公が連携しているところが多くある」と語り、地方での連携継続を呼びかけたという。高市氏は首相指名選挙に向け「合意できる政党」との協力を目指すが、具体的な政党名には言及しなかった。

青山繁晴参院議員は「年収の壁」引き上げなどを念頭に「自民が減税に踏み切れば、国民民主党が政策的に親和性は高い」と発言した。青山氏によると、日本維新の会を挙げた出席議員はいなかったという。

一方、鈴木宗男参院議員は懇談会で公明の連立離脱に関し「連立を組む公明がいる中、他の党に声をかけるのは信義違反だ」と執行部を批判した。高市氏が総裁選翌日の5日、国民民主の玉木雄一郎代表と極秘会談したと報じられたことが念頭にあるとみられる。

公明も14日の党中央幹事会で、斉藤鉄夫代表らが連立離脱について説明。地方議員の選挙協力などに関しては問題視しない方針を申し合わせた。斉藤氏はTBS番組で、首相指名選挙について「あらゆる可能性は否定しない」と語り、野党候補への投票もありうるとの考えを示した。

(田中一世、林利昭)

▽自民、国民に連立視野に連携打診 立維国は15日にも党首会談 首相指名へ駆け引き激化<産経ニュース>2025/10/14 19:49

会談に臨む自民党の鈴木俊一幹事長(右)と国民民主党の榛葉賀津也幹事長=14日午後、国会内(春名中撮影)
会談に臨む自民党の鈴木俊一幹事長(右)と国民民主党の榛葉賀津也幹事長=14日午後、国会内(春名中撮影)

自民党の鈴木俊一幹事長は14日、国民民主党の榛葉賀津也幹事長と国会内で会談し、臨時国会で行う首相指名選挙での協力を含め連立も視野に入れた連携を打診した。立憲民主、日本維新の会、国民民主3党幹事長も国会内で会談し、立民は首相候補の野党一本化を呼び掛けた。15日にも3党首会談を開催する方向で調整に入った。自民と公明党の連立解消で首相指名を巡る情勢は混沌(こんとん)としており、与野党の駆け引きが激化している。

首相指名選挙では、立民、維新、国民民主の衆院会派がまとまれば計210議席となり、自民会派の196を上回る。

自民の高市早苗総裁は党両院議員懇談会で、首相指名選挙に向けて「合意できる政党と一緒に歩めるよう努力する。多くの国会議員の力をお借りしたい」と述べ、挙党態勢の構築を要請した。15日にも立維国3党と個別に党首会談を開催する方向で調整に入った。

自国幹事長会談で榛葉氏は、「年収の壁」引き上げとガソリン税の暫定税率廃止の年内実施を求めた。鈴木氏は「年内実施に向けスピード感を持って対応したい」と応じた。「政治とカネ」の問題に関する両党間の協議体設置も提案した。

鈴木氏は会談後、国民民主とは憲法やエネルギーなど基本政策が一致しているとして「力を合わせて政治の安定を取り戻していきたい」と記者団に語った。「維新とも基本政策は一致している」とも話し、連携を呼びかける考えを示した。

榛葉氏は記者団に「数合わせではなく政策実現には協力する」と述べ、連立には否定的な見解を示した。公明の西田実仁幹事長とも会談した。

立民の安住淳、維新の中司宏両幹事長と榛葉氏による会談では、維国が立民に対し、安全保障関連法に憲法違反の部分があるとの主張や「原発ゼロ」を掲げるエネルギー政策の見直しを求めた。

立民は14日の常任幹事会で、首相指名選挙の対応を野田佳彦代表に一任した。

▽首相指名の野党「一本化」、立民と国民の「歩み寄り」焦点…維新の動向も不確定要因に<読売新聞オンライン>2025/10/15 05:00 

国民民主の玉木代表

山崎崇史、薦田大和

 首相指名選挙での野党候補の一本化に向け、立憲民主党と日本維新の会、国民民主党の3党による党首会談が15日に行われる方向となった。国民民主の玉木代表を有力な選択肢とする立民は安全保障やエネルギーなど国民民主と隔たりがある基本政策での修正にも応じる構えで、両党がどこまで歩み寄れるかが焦点だ。

(山崎崇史、薦田大和)国民民主の玉木代表

 

立民、維新、国民民主3党の主なやり取り

「政権を共にするのであれば、基本政策の一致が不可欠だ」

 玉木氏は14日の記者会見でこう強調した。立民が「違憲部分の廃止」を訴える安全保障関連法や「原発ゼロ」を掲げるエネルギー政策を挙げ、「一致させておかないと(首相に指名されても)政権がガタガタする」と語った。

 そもそも、立民と国民民主両党の合流協議が5年前に不調に終わったのは、玉木氏や国民民主の支持母体である産業別労働組合が立民の綱領「原発ゼロ社会の実現」に反発したためだ。玉木氏は、安保政策についても「国民民主は現実的に改めた。立民は民主党からずっと引きずったままだ」と批判する。

 慎重な国民民主に対し、立民の安住幹事長は基本政策で柔軟な対応が可能だとのアピールを続けている。

 安住氏は14日の記者会見で安保法制を巡り「これまで(自衛隊の)違法性が認められる行為はない。政権運営の障害にならない」との認識を示した。その上で、「建前やきれいごとでは政権は作れない」と述べ、玉木氏に政権交代のための大局的な判断を促した。12日の民放番組では、原発政策に関し「再稼働を否定しておらず、条件を満たせば容認する」と説明した。

 ただ、党内の左派グループは「コンセンサスは得られていない発言だ」(ベテラン)と反発しており、限られた時間で基本政策の大幅な修正を図るのは容易でないとの見方もある。

 維新も不確定要因だ。表向きは立民と国民民主両党の動向を注視する立場で、中司幹事長は記者会見で「(両党に)一致点があれば初めて真剣に話を聞く」と説明した。14日には自民と維新の国会対策委員長が会談しており、維新内では「政策実現ができる方との連携を選べばいい」との声が出ている。維新が抜ければ、野党の主要3党で自民を上回る戦略は瓦解する。

▽国民民主「数合わせではない」 自民の政権協力要請に回答留保<毎日新聞>2025/10/14 16:02

会談に臨む自民党の鈴木俊一幹事長(右)と国民民主党の榛葉賀津也幹事長=国会内で2025年10月14日午後1時半、平田明浩撮影
会談に臨む自民党の鈴木俊一幹事長(右)と国民民主党の榛葉賀津也幹事長=国会内で2025年10月14日午後1時半、平田明浩撮影

 自民党の鈴木俊一幹事長は14日、国会内で国民民主党の榛葉賀津也幹事長と会談した。榛葉氏は会談後、公明党が連立からの離脱を決定したことを受けて鈴木氏から「政治の安定のため、新たな枠組みに協力いただきたい」と求められたことを明らかにした。連立を視野に入れた発言とみられるが、榛葉氏は「枠組みありき、数合わせではない。政策実現には協力する」として回答を留保した。

 鈴木氏は会談後、石破茂首相の後任を選ぶ首相指名選挙で自民の高市早苗総裁が選出されるよう「協力していただきたいという思いだ」と述べた。国民民主との連立については「先方の判断にかかっている。連立という枠組みで政治を進めた方が安定感が強いと思う」と意欲を示した。

 会談で鈴木氏は「基本理念が一致できる政党に協力を賜りたい」とした上で、国民民主とは憲法改正問題やエネルギー政策などで「ほぼ違いはない。連携をお願いしたい」と求めた。

 榛葉氏は①ガソリン税の暫定税率廃止などに関する自民、公明、国民民主の3党合意が現在も有効であると確認すること②暫定税率廃止などを年内に実現すること③企業・団体献金の規制強化案を前向きに検討すること――の3点を求めた。

 鈴木氏は3党合意について「公党間の約束は生きている」と明言し、「スピード感を持ってやりたい」と応じ、榛葉氏も「高く評価したい」とした。一方、企業・団体献金の規制強化案について鈴木氏は「しかるべき協議体を設けて努力したい」と述べたが、榛葉氏は「釈然としない」と語った。【高橋祐貴、安部志帆子】