▽イスラエルとハマス、合意違反と非難応酬 ラファ再開は19日か<ロイター日本語版>2025年10月17日午前 5:13 GMT+9

[カイロ/テルアビブ/ミラノ 16日 ロイター] – イスラエル軍は16日、パレスチナ自治区ガザとエジプトの境界にあるラファの検問所をパレスチナ人の通行に開放する方向でエジプトと調整を進めていると表明した。ただ、停戦合意違反を巡り、イスラム組織ハマスと非難の応酬となる中、具体的な日程は示さなかった。
こうした中、イタリアのANSA通信は16日、イスラエルのギデオン・サール外相が、ラファ検問所の再開は19日になる見通しだと述べたと報じた。サール氏はナポリで開催中の地中海地域に関する会議で、「われわれは必要な準備をすべて整えている」と語ったという。検問所が人道支援物資の通過のために開かれるのか、一般市民の通行のためなのかについては明言しなかった。
関係者の情報として、ラファ検問所は16日に一般市民の通行を認められるとの観測が伝えられていた。
イスラエル政府報道官は、イスラエル側は合意を順守しており、義務を履行し続けるとし、返還されていない人質19人の遺体を引き渡すようハマスに要求した。
イスラエル軍の援助調整機関COGATは、ロイターに、人道支援物資は引き続きイスラエルとの境界にあるケレムシャロームなどの検問所を通じてガザに搬入されていると説明。「人道支援がラファ検問所を通過することはない。この点について合意された事実は、いかなる段階でも存在しなかった」と強調した。
ハマスの幹部は16日、イスラエルが10日以降の銃撃で少なくとも24人を殺害し、停戦を無視していると非難。違反行為のリストを仲介者に提出したと述べた。「占領国は、現地で昼夜、違反行為をして合意を台無しにしようとしていると」とした。
この発言に対しイスラエル軍はコメントしていない。イスラエル軍は以前、パレスチナ人数人が停戦拠点に近づくなという警告を無視したため、「脅威を排除するために発砲した」と説明している。
トランプ米大統領主導のガザ和平合意は第1段階に踏み出したが、死亡した人質の返還を巡り早くもイスラエルとイスラム組織ハマスは非難の応酬を繰り広げている。イスラエルは、ハマスに対し、死亡した人質28人全員の遺体を引き渡す義務を果たすよう要求。ハマスは10人の遺体を引き渡したと主張したが、イスラエルはそのうち1体は人質のものではないとしている。
ハマス側は、攻撃で瓦礫の山となったガザ地区でさらなる遺体の引き渡しを行うには、イスラエルが封鎖する区域に重機や掘削機を持ち込む必要があると主張する。
パレスチナ自治政府のムスタファ首相は16日、国際機関やパートナーと協力してガザの安全保障、物流、財政、統治の課題に取り組むと述べた。
エジプトで今後開催されるガザ復興に関する会議では、援助資金がどのように調整され、誰が受け取り、どのように分配されるのかを明確にする必要があると指摘した。
ガザの保健当局は16日、イスラエルが紛争中に殺害されたパレスチナ人30人の遺体を返還したと明らかにした。これにより13日以降に引き渡された遺体は120体となった。
