▽ウクライナ和平協議、前線凍結し停戦後に開始を-ゼレンスキー氏<bloomberg日本語版>2025年10月19日 23:02 JST

Ros Krasny、Alberto Nardelli

  • プーチン氏、戦争終結の条件としてドネツク州全域の割譲を依然要求
  • トランプ氏、ロシアの停戦条件受け入れをゼレンスキー氏に促す-FT

ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアとの和平交渉について、まずは現在の前線を凍結して戦闘を停止した上で開始すべきだとの考えを示した。

  「この戦争を終わらせる必要があることは理解している。戦争終結は今兵士たちがいる場所、つまり前線から始める必要がある」と米NBCとのインタビューで指摘。「この戦争を止め、すぐに外交的な形で和平交渉へ進みたいのであれば、我々は今の場所にとどまる必要がある。プーチンにこれ以上のものを渡してはならない」と語った。 

  インタビューは17日のトランプ大統領との首脳会談後に実施され、19日に放送された。

  米紙ワシントン・ポストは19日、政府高官の話として、ロシアのプーチン大統領が16日に行ったトランプ氏との電話会談で、戦争終結の条件としてドネツク州全域の割譲を要求したと報じた。

  この件について説明を聞いた関係者は、プーチン大統領がドネツク州の割譲を引き続き要求していることを確認した。

  ロシアは2014年に一方的に併合したクリミア半島に加え、ルハンスク、ヘルソン、ザポリージャ3州の大部分を占領している。ワシントン・ポストによると、プーチン氏はドネツク州全域と引き換えに、ザポリージャ州とへルソン州の一部について譲歩する用意があるとトランプ氏に示唆した。

  トランプ氏は19日に放映されたFOXニュースのインタビューで、プーチン氏が過去数年に得た領土を全て手放すことは期待できないとの見方を示した。

   プーチン氏は「彼は何かを取るだろう」とし、「彼らは戦い、一部を勝ち取った」などと語った。インタビューはプーチン氏との電話会談後、ゼレンスキー氏との会談前に収録された。

  一方、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は関係者の話として、トランプ氏が首脳会談の場で、ロシアが要求している停戦条件を受け入れるようゼレンスキー氏に強く促したと報じた。同意しなければ「ウクライナを破壊する」とプーチン氏が述べたと警告したという。

  17日にホワイトハウスで行われた会談では、何度も「激しい口論」になったと、FTは伝えている。

  トランプ大統領はゼレンスキー氏との首脳会談後、ロシアとウクライナに両国に対して「合意を結ぶ」よう促したが、ウクライナへの新たな軍事支援については明確な態度を示さなかった。トランプ氏は今後数週間以内にハンガリーの首都ブダペストでプーチン大統領と会談し、戦争終結に向けた道筋を協議する予定だ。

関連記事:トランプ氏、ロシアとウクライナに合意を要求-トマホーク供与応じず

  ゼレンスキー氏はNBCに対し、要請があればブダペストでの会合に出席する用意があるとし、「その件については話した」と述べた。

  一方で、プーチン氏が「真の交渉」に臨む意思があるかどうかについては懐疑的な見方を表明。「プーチンがこの戦争をただ終わらせる準備ができているとは思わない」と話した。

Zelenskiy Readies List Of Promises To Win Over Trump On Weapons
ゼレンスキーを出迎えるトランプ氏(17日)Source: Sipa USA

原題:Zelenskiy Wants Ukraine War to Be Frozen Before Peace Talks (1)(抜粋)

▽トランプ氏、ウクライナ大統領と会談 トマホーク供与に慎重姿勢<ロイター日本語版>2025年10月18日午前 6:29 GMT+9

トランプ氏、ウクライナ大統領と会談 トマホーク供与など巡り協議へ

[ワシントン 17日 ロイター] – トランプ米大統領は17日、ウクライナのゼレンスキー大統領とホワイトハウスで会談した。トランプ大統領は、ウクライナがロシアとの戦闘で必要としている巡航ミサイル「トマホーク」供与の可能性を否定しなかったものの、ロシアのプーチン大統領との直接会談を控える中、供与に積極的な姿勢を示さなかった。

会談後、ゼレンスキー大統領は記者団に対し「有意義な会談を行い、安全の保証について協議した」とし、「トランプ大統領がこの戦争を終わらせたいと望んでいると信じている」と述べた。

トマホーク供与については、米国が緊張の高まりを望んでいないとして、トマホークについては話したくないと語った。

同時に、トランプ大統領がプーチン氏に「この戦争を止めるよう」圧力をかけることを期待していると述べた。

また、トランプ氏との会談後、欧州の戦略的パートナーと電話会談したと明らかにした。

トランプ大統領は会談の冒頭、記者団に対し、16日にプーチン大統領と行った電話会談について、ゼレンスキー大統領に伝えるとしたほか、ゼレンスキー氏について「彼は多くのことに耐えてきた。われわれも彼とともに耐えてきた」と述べた。

トランプ氏は自らを仲介役として位置付け、ウクライナとロシアの双方は和平合意を求めていると改めて指摘。「ゼレンスキー大統領は(停戦の)実現を望んでいると思うし、プーチン大統領も望んでいると思う。あとは少しだけ折り合いをつければよい」と述べた。また、ハンガリーをプーチン氏との直接会談の開催地に選んだのは、同国のオルバン首相を気に入っているからだと述べた。

これに対し、ゼレンスキー大統領は「われわれは停戦を望んでいるが、プーチン氏は望んでいない」と言明。「ウクライナ国民にとって最も重要なのは安全の保証だ」とし、トランプ氏にはこの戦争を終わらせる「チャンス」があると述べた。

さらに、ウクライナは数多くのドローン(小型無人機)を保有しているが、必要なのはミサイルだとし、「ウクライナはトマホークを必要としている」と強調した。

トランプ氏は「トマホークについて協議する」としつつも、「本来は彼らがトマホークを必要としない状況が望ましい」と述べた。

広告 – スクロール後に記事が続きます

トランプ氏は会談後、自身の交流サイト(SNS)「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、会談は「友好的」だったとし、「プーチン大統領に強く示唆したように、ゼレンスキー氏に対しても、殺人を止めて合意する時だと伝えた!」と述べた。