▽自民·維新が連立で実質合意-日経平均反発し最高値<bloomberg日本語版>2025年10月20日 11:05 JST
照喜納明美、清原真里
- 維新は「閣外協力」へ、首相補佐官に遠藤国対委員長の起用案と報道
- 臨時国会で衆院定数1割削減法案、消費減税は検討にとどめる−合意書

自民党と日本維新の会は20日、新たな連立政権の樹立で合意した。臨時国会で行われる首相指名選挙で維新は自民の高市早苗総裁に投票する。高市氏が女性初の首相に選出されることが確実な情勢だ。
高市氏と維新の吉村洋文代表、藤田文武共同代表が国会内で会談し、連立政権合意書に署名した。
高市氏は共同記者会見で、「とにかく今、安定した政治が大事だ」と指摘。連立合意は「大変大きな一歩だ。これから日本を前に進めるために精いっぱい働く」と語った。吉村氏も「手を取り合って国難に立ち向かい、前へ進める政治をしていきたい」と述べた。
21日午後1時からの衆院本会議で行われる首相指名選挙で、維新の所属議員全員が高市氏に投票すれば自民と計231議席になり、過半数の233に迫る。自民は無所属議員の一部などにも協力を呼び掛けており、1回の投票で過半数を得る可能性がある。
維新は当面、閣僚を送らない「閣外協力」の形式で連立に参加する予定だが、公明党の連立離脱で危ぶまれていた高市氏の政権基盤は一定程度安定するとみられる。

連立政権合意
連立政権合意では、最大の焦点だった国会議員定数削減に関しては、「1割を目標に衆院定数を削減するため、今年の臨時国会で「議員立法案を提出し、成立を目指す」とした。維新が廃止を求めた企業・団体献金の扱いは協議体を設置して検討し、2027年9月までの高市氏の自民総裁任期中に結論を得るとした。
食料品にかかる消費税率を2年間ゼロ%とする案については「法制化について検討を行う」とするにとどめ、実施期限は明記しなかった。自民が参院選で掲げた一律給付は行わず、電気ガス代の補助をはじめとする物価高対策を行うとした。
維新は自民に対し、首都機能を代替する「副首都」構想、社会保障制度改革なども盛り込んだ12項目の政策要望を提出。両党で詰めの調整を進めていた。
市場の動き
20日の日本市場では日経平均株価が1600円余り上昇し、終値で初めて4万9000円台を付けた。新政権への期待が株式相場を押し上げたとみられる。
一方、債券は先物や中長期債が下落(金利は上昇)。円相場は対ドルで151円台前半まで売られた後、日本銀行の高田創審議委員が利上げの「機が熟した」と講演で述べたのを受け、150円台後半に戻している。
みずほ証券の松尾勇佑シニアマーケットエコノミストは20日付リポートで、高市氏が首相に就く公算が大きく、金融市場は「高市トレード」(金利曲線の傾斜化・株高・円安)的な動きになると予想していた。
首相補佐官
維新は閣僚を送り込まないものの、遠藤敬国対委員長を首相補佐官に起用する案が浮上していると共同通信が報じている。
吉村代表は20日昼、テレビ朝日の番組で、政権への関わり方について「基本的に考えているのは大臣は出さず閣外という形で連立政権を樹立する」と指摘。遠藤氏の首相補佐官起用案については「最終的には首相の判断」と指摘。政策実現を考えると官邸や各省庁との連携で重要なパイプ役が必要であり、遠藤氏は適任だとした。
政治とカネ
他党からは自民、維新の対応に疑問を投げ掛ける声も出ている。
公明党の斉藤鉄夫代表は20日、自民と維新の協議で定数削減が焦点となり、「政治とカネの問題がテーマのはずだったが、関心が移るようになった。すり替えなのではないか」と語った。削減自体には反対しないが、衆院では比例代表と小選挙区両方を対象とすべきだとの考えも示した。日本外国特派員協会での会見で語った。
こうした指摘に対し、藤田氏は記者会見で、自民とは衆院定数の1割削減で合意したが対象を比例代表とは文書に明記していないと説明。企業・団体献金廃止と議員定数削減は「どちらも結党以来掲げており、その軽重はない」と述べた。

▽官房長官に木原稔・前防衛相を起用へ…茂木氏・小泉氏・林氏も入閣で挙党態勢アピール<読売新聞オンライン>2025/10/21 05:00
自民党の高市総裁は、21日に首相に指名された場合の閣僚人事で、官房長官に木原稔・前防衛相(56)、外相に茂木敏充・元幹事長(70)、防衛相に小泉進次郎農相(44)、総務相に林芳正官房長官(64)を起用する方針だ。
木原稔氏
小泉、林、茂木氏は今月4日に投開票された党総裁選を高市氏と争った間柄で、いずれも重要閣僚として処遇することで、挙党態勢の構築に取り組む姿勢をアピールする狙いがある。木原氏は高市氏と保守的な政治信条が近く、高市氏が党政調会長時代から支えてきた。
官房副長官には、党総裁選で高市氏の陣営を取り仕切った尾崎正直衆院議員と佐藤啓参院議員を登用する方向だ。官僚トップとなる事務の官房副長官には露木康浩・前警察庁長官、筆頭格となる政務の首相秘書官には飯田祐二・前経済産業次官を充てる方向で調整している。
首相補佐官には、日本維新の会の遠藤敬国会対策委員長のほか、自民の井上貴博衆院議員(麻生派)を起用する方針だ。
▽小野田紀美氏を経済安保相に起用へ 高市総裁が方針 片山さつき氏と同様、高市氏の推薦人<産経ニュース>2025/10/21 09:42

自民党の高市早苗総裁は21日に発足する新内閣の経済安全保障担当相に小野田紀美参院議員を充てる意向を固めた。高市氏周辺が明らかにした。高市氏は同日召集される第219臨時国会の首相指名選挙で初の女性首相となる第104代首相に選出される見通しだ。
小野田氏は米国出身で、平成28年の参院選岡山県選挙区で初当選した。高市氏に近い保守派の論客として知られ、自民総裁選では高市氏の推薦人を務めた。高市氏は他に片山さつき元地方創生担当相を財務相に起用する方針だ。
▽国民・玉木氏 自維の議員定数削減案「見定めたい」 賛意を一転<毎日新聞>2025/10/20 22:21

国民民主党の玉木雄一郎代表は20日、自民党と日本維新の会の連立政権合意文書に盛り込まれた議員定数の削減案について「両党の考えが出てから、見定めて判断したい」と記者団に語った。これまでは「法案が提出されれば賛成する」などと賛意を示していたが、慎重姿勢に転じた。
自民と維新の合意文書では、「1割を目標に衆院議員定数を削減するため」臨時国会で法案を提出し、成立を目指すと記した。
玉木氏は「比例という言葉もない。しかも『1割を目標に目指す』では何も書いていないのと同じだ。曖昧になっている」と批判。「選挙制度ともある程度セットで議論しなければいけない。他党も納得できるような具体案を両党の責任にで取りまとめていただくということが重要だ」と述べた。【遠藤修平】

