▽高市首相「大きな成果上げたい」、初外遊でマレーシアへ出発 ASEANで法の支配訴え<産経ニュース>2025/10/25 13:25

高市早苗首相は25日、就任後初の外遊となる東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議出席のため、マレーシアに向けて出発した。安倍晋三元首相の外交方針を継承し、会議や各国首脳との個別会談では、覇権主義的な中国をにらみ「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現を訴える。米中対立のはざまで揺れる東南アジア諸国と信頼関係を築き、日本外交の存在感を高める足掛かりとしたい考えだ。
共同声明発出で調整
高市氏は出発に先立ち羽田空港で記者団に、ASEANに関し「インド洋と太平洋の結節点。日本が主導しているFOIPの要だ」と強調し、「ASEAN首脳との信頼関係を深め、大きな成果を上げたい」と述べた。その上で「地域の平和と繁栄に貢献し、日本の国益を守る。世界の真ん中で咲き誇る日本外交を進める」と語った。
26日午後に予定する日ASEAN首脳会議では、共同声明の発出を調整している。デジタル、グリーン分野での協力促進を確認し、法の支配に基づく国際秩序の重要性を盛り込む方向だ。
東南アジアなどとの脱炭素の連携枠組み「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」首脳会合に臨むほか、議長国マレーシアのアンワル首相やフィリピンのマルコス大統領、オーストラリアのアルバニージー首相との個別会談も行う。
高市氏は、FOIPを提唱した安倍外交への回帰を目指すが、国際情勢はより複雑化し、安全保障環境は厳しさを増している。東南アジアは米国と中国によるせめぎ合いの舞台となっている。
伝統的な友好関係
自国第一主義を掲げるトランプ米政権は、ASEAN諸国に対する高関税措置で中国に圧力をかける。中国製品がASEAN経由で米国に輸入されるのを防ぐ狙いだ。
中国は経済協力でASEANの取り込みを図る一方、南シナ海では軍事拠点を建設するなど活動を活発化させている。
ASEANは日本を「信頼できるパートナー」と位置付ける。外務省関係者は、日本としても中国を念頭に「東南アジアの国々と関係を深めていくことは非常に大事な課題だ」と話す。
高市氏は27日からのトランプ米大統領の来日に備え、同日朝に帰国する。短期間の外遊となるが、伝統的な日本とASEANの友好関係を発展させることができるか、外交手腕が試される。(小沢慶太)
