▽ロシア、ウクライナのエネルギー施設に集中攻撃 全国で送電制限<ロイター日本語版>2025年10月31日午前 1:45 GMT+9

[キーウ 30日 ロイター] – ロシアは29日夜から30日朝にかけてウクライナのエネルギーインフラを標的に集中的に攻撃した。ウクライナ当局によると、攻撃で子どもを含む少なくとも3人が死亡。エネルギーインフラが損傷したため、全国的に電力供給が制限されている。
首都キーウではほぼ一晩中、空襲警報が発令され、住民は地下鉄の駅構内などに避難した。ウクライナのゼレンスキー大統領によると、ロシアは今回の攻撃にミサイル50発と650機を超えるドローン(小型無人機)を投入。「多くは撃墜されたが、着弾したものもあった」とXに投稿した。ウクライナ空軍は、ミサイル31発とドローン592機を撃墜したとしている。
ウクライナ当局によると、中部、西部、南東部のエネルギー施設が被害を受けた。スビリデンコ首相は、冬の厳寒期が近づく中、ロシアはウクライナの民間人と電力供給を標的に攻撃していると非難している。
ウクライナ電力大手DTEKによると、複数の地域でDTEKの火力発電所が攻撃を受けた。DTEKのマクシム・ティムチェンコ最高経営責任者(CEO)は「今回の攻撃でこの冬の電力供給維持に向けた取り組みが大きな打撃を受けた」とし、「過去2カ月の攻撃の激しさを踏まえると、ロシアがウクライナのエネルギーインフラの完全破壊を狙っているのは明らかだ」と述べた。
ロシア国防省は、ウクライナの軍需産業関連施設に対する攻撃を夜間に実施したと表明している。
各地の当局者によると、南東部ザポリージャ市で男性2人が死亡。中部ビンニツァ州では7歳の女児が死亡した。ザポリージャ市では子ども6人を含む17人が負傷。ビンニツァ州でも4人が負傷した。
エネルギーインフラが被害を受けたことで、ウクライナ政府は家庭や産業向けの電力供給を全国的に制限。一部地域では水道と暖房の供給にも支障が出ている。
▽ロシア軍、ドネツク州要衝ポクロフスクに迫る=ウクライナ軍当局<ロイター日本語版>2025年10月30日午前 9:02 GMT+9

[キーウ 29日 ロイター] – ロシア軍が侵攻したウクライナの東部ドネツク州の要衝ポクロフスクに迫り、ウクライナ軍が侵攻を食い止めるのに苦戦していると軍当局者とオープンソース分析筋が29日明らかにした。一方でウクライナ政府は、この侵攻がロシア軍に甚大な犠牲をもたらしていると主張している。
ウクライナ軍の第7軍団の声明によると、ロシア軍は約1万1000人の兵士を投入し、ポクロフスク地域を包囲しようとしている。さらにポクロフスク市内へ既に潜入した部隊は北や北西への進撃を目指していると説明した。
ウクライナのゼレンスキー大統領は29日夜の動画演説で、全長1250キロ(775マイル)の前線の中でポクロフスク周辺は「最も困難な」状態になっていると指摘。その上で「この数週間にこの地域は戦闘行動が最も激しく、ロシア軍の兵力が密集している」と語った。
一方、東部ハリコフ州クピャンスク周辺の状況は「依然として困難だが、わが国の軍の支配力はこの数日間に増している。陣地を守り続けている」と説明した。
ウクライナのオープンソース分析筋「ディープステート」は29日、ロシア軍が歩兵による待ち伏せ攻撃とドローン(無人機)の攻撃によって、ポクロフスクに隣接するミルノグラード市への軍事補給路を断ち切ったと発表した。ロシア軍のポクロフスクへの進軍を阻止するためには、ウクライナ軍は小規模部隊ではなく旅団規模の部隊を投入する必要があるとして、「ポクロフスクの状況は危機的状況の瀬戸際にあり、全てを修復するには手遅れとなるほど悪化の一途をたどっている」と警告した。その後、ロシア軍の小規模部隊がポクロフスクと近隣村落への進軍を試みていると報告し、悪天候を利用してウクライナ軍の防衛網の間隙を縫ったとした。
ロシアのプーチン大統領は29日、ポクロフスクとクピャンスクでウクライナ軍を包囲したと訴えた。
一方、ウクライナ軍はクピャンスクについてのロシア軍の主張を「空想だ」と否定。ポクロフスクも包囲されておらず、軍事補給路は維持されていると反論した。
ロイターは双方の戦況報告の正確性を独自には確認できなかった。
