Cathy Chan

  • 現在は強気相場の非常に深い段階-グリフィン氏
  • 相場が走った後に一服、状況見直す機会-ソロモン氏

ウォール街の最高経営責任者(CEO)たちは、今後12-24カ月の間に株式市場が10%以上下落する可能性があるとして、投資家に備えを呼びかけた。もっとも、こうした調整はむしろ健全な展開となり得るとの見方も示した。

  投資運用会社キャピタル・グループの社長兼CEOとして約3兆ドル(約461兆円)の運用に携わるマイク・ギトリン氏は、香港金融管理局(HKMA)が4日に開催した金融サミットで「企業業績は堅調だが、課題はバリュエーション(株価水準)だ」と述べた。

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  株価水準が割安、適正、あるいは割高のいずれであるかについて、ギトリン氏は「多くの人は現在の水準を適正から割高の間にあると考えるだろうが、割安から適正の間にあるという人はあまりいないと思う」と話した。クレジットスプレッドについても同様だと付け加えた。

  モルガン・スタンレーのテッド・ピックCEOやゴールドマン・サックス・グループのデービッド・ソロモンCEOも株式市場について同様の見解を示し、今後大幅な売りが発生する可能性があるとした上で、市場の調整局面はサイクルの中で通常の現象だと述べた。

US Stocks Are Trading at Pricey Levels

  ピック氏は、市場はこれまで大きく上昇してきたものの、米国では依然として「政策ミスのリスク」が存在し、地政学的な不確実性も残っていると指摘した。

  「確かに市場は割高に見えるが、実際にはシステマティックリスクは恐らく縮小している」と述べた。「マクロ要因による急落ではなく、10-15%程度の調整が起きる可能性を歓迎すべきだ」とし、これを「健全な展開」と表現した。

  S&P500種株価指数構成銘柄の株価収益率(PER)は、予想収益ベースで23倍と過去5年の平均の20倍を上回っている。同様に、ナスダック100指数の倍率は28倍と、2022年の約19倍から上昇している。

  米経済の減速や政府機関の閉鎖にもかかわらず、世界の株式が今年たびたび最高値を更新したことで、過熱したバリュエーションへの懸念は一段と強まった。

  ヘッジファンド会社シタデルのCEO、ケン・グリフィン氏は、市場は強気相場の頂点と弱気相場の底で最も非合理的になると述べ、現在は「非常に深い強気相場の中にある」と語った。

  ソロモン氏は「テクノロジー関連株のバリュエーションは既に高水準だが、市場全体がそうというわけではない」と述べた。

  株式相場の10-15%の調整は、良好なサイクルの中で、全般的な資本の流れや長期的な資産配分の方向性を変えることなく起こることもよくあると指摘した。

  「相場が走った後に一服するだけだ。人々はこの間に状況を見直すことができる」と語った。

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原題:Wall Street CEOs Warn of Market Pullback From Rich Valuations(抜粋)