▽高市首相、PB「単年度黒字化」目標取り下げ明言…金利上昇につながる「財政規律の緩み」に懸念の声<読売新聞オンライン>2025/11/08 05:00
高市首相が7日の衆院予算委員会で、単年度での基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)の黒字化目標を取り下げると明言した。経済成長により中長期的な財政再建を目指す考えだが、財政規律の緩みを警戒する声も出ている。
衆院予算委員会で答弁に臨む高市首相(7日、国会で)=米山要撮影
PBは借金に頼らず、税収などで社会保障や公共事業など基礎的な政策経費をどれだけ賄えているかを示す。2002年に当時の小泉内閣が「10年代初頭の黒字化」を目標に掲げたが、リーマン・ショックや東日本大震災などを受け、黒字化目標の先送りを繰り返してきた。
ただ、好調な企業業績を受けた税収増などでPBは改善傾向にある。名目国内総生産(GDP)に占める赤字の割合は、20年度に9・1%まで悪化したが、25年度は0・5%となる見通し。内閣府が8月に示した試算では、1%台半ばの実質経済成長率が続く場合、PBは26年度に3・6兆円の黒字になると見込む。
PBの対名目GDP比の推移
しかし、この試算には補正予算による影響を織り込んでいない。今年度の補正予算が大規模になれば、黒字化は難しいとの見方が広がっていた。
高市氏は21年9月の自民党総裁選で、PBの黒字化目標を凍結する方針を示していた。高市氏が政策路線を継承する安倍元首相も22年、PBの25年度黒字化を巡り、期限を区切った目標設定に反発。岸田内閣の経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)への明記が見送られた経緯がある。
高市氏は26年度の黒字化にはこだわらず、今月とりまとめる経済対策では必要な分野への予算を拡充し、「積極財政」をアピールするとみられる。もっとも、日本の債務残高は世界でも最悪の水準だ。
SMBC日興証券の丸山義正氏は「黒字化は遅れれば遅れるほど、実現が難しくなる。財政規律が緩むと市場が受けとれば、金利上昇につながり、企業や家計の投資意欲をそぐ可能性がある」と指摘する。
▽午前3時過ぎに勉強会の高市首相、宿舎のファクスは詰まりやすい<読売新聞オンライン>2025/11/07 20:06
高市首相は7日、衆院予算委員会に備えた勉強会を午前3時頃から首相公邸で行った。歴代首相も早朝から勉強会は行ってきたものの、異例となる開始時間の早さに、首相の睡眠不足やスタッフらの負担を気遣う声が相次いだ。
高市首相(7日午後、首相官邸で)
首相はこの日、東京・赤坂の衆院議員宿舎を午前3時1分に出発した。公邸では首相秘書官と約3時間半にわたり、用意された答弁書に手を入れたという。
予算委では立憲民主党の中島克仁氏が「睡眠時間が足りないから寝てください」と注文を付け、同党の黒岩宇洋氏は、対応を迫られた秘書官や警護官(SP)らの負担増を指摘した。
首相は、宿舎のファクスは紙が詰まりやすいとし、「一読もせずに委員会に臨むわけにもいかず、答弁書ができあがる午前3時に公邸に行った」と釈明。「手伝ってくれた秘書官、SPとドライバーの方には迷惑をかけた」と述べた。議員宿舎から公邸に引っ越す予定を問われ、「今、荷造りのすきがないどころか、睡眠時間もほとんど取れていない状況で仕事をしている」とも語った。
首相周辺は「初の予算委で気合が入っていたからこその対応だ。慣れてきたら変わるはずだ」と解説した。
この日の予算委では、午後の質疑の途中に10分間の休憩が設けられた。初の女性首相となった首相に配慮して政府側が要望したため、予算委理事会で与党が要求して認められた。
▽政府、総合経済対策で「おこめ券」活用方針 自治体への交付金拡充 推奨事業に位置付け<産経ニュース>2025/11/8 10:47

政府が近くまとめる総合経済対策に「おこめ券」の活用を盛り込む方針を固めたことが8日分かった。政府関係者が明らかにした。コメの購入に使える。コメ価格が高止まりする中、一部の自治体は既に、使い道を自由に決められる重点支援地方交付金でおこめ券を配布。政府は交付金を拡充し、こうした活用法を推奨事業として明確に位置付ける。
小売店でのコメ販売価格を巡っては、平均4千円超で高止まりし、物価高の一因となっている。出費が多い子育て世代や年金暮らしで収入が少ない高齢者などの負担感が増している。
おこめ券活用は鈴木憲和農相が提唱。「『本来ならもっとたくさん食べたいのに』という需要に応える環境をつくれるか、しっかり検討したい」と表明していた。
石破前政権は安い備蓄米を放出して価格の引き下げを図ったが、既に在庫が少なくなっており、鈴木氏は備蓄米を価格調整弁として活用することに否定的だ。



