Ruth Carson、Winnie Hsu

  • マージンコール発生で投資家が他の資産売り迫られる可能性
  • ビットコインは一時2.8%安、アジアや欧州の株価指数は軒並み下落

暗号資産(仮想通貨)ビットコインが18日、9万ドルを割り込み、世界的な金融市場全体の低迷がさらに悪化した。借入金でレバレッジをかけて取引していた投資家による売り圧力の連鎖が広がるとの懸念が強まっている。

  ビットコインは18日、一時2.8%下落。その後は下げ幅を縮小している。欧州とアジアの主要株価指数は1%を超える下落となり、米国株先物はこの日も下落することを示唆している。

  米金融政策を巡る懸念再燃や、投機が広がった市場での高止まりしたバリュエーションなど、経済の逆風が強まる中、ビットコインは10月前半に付けた過去最高値12万6000ドル超から下げ幅を拡大している。

  ビットコインが前回、9万ドルを割り込んだのは4月。当時はトランプ米大統領の関税計画発表で世界の金融市場が混乱した後、7万4400ドルまで急落していた。

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ビットコイン下落、年初来の上げ全て失う

  フィデリティ・インターナショナルのポートフォリオマネージャー、ジョセフ・チャン氏によると、幅広い資産クラスで見られる最近の下落は、仮想通貨の影響が及んでいる部分もある。一部の市場関係者は、仮想通貨の下落により個人投資家のマージンコール(追加証拠金請求、追い証)が発生し、他の資産を売却せざるを得なくなる可能性があると指摘している。

  こうした動きは、ある市場の価格下落が別の市場の売り圧力を誘発する負の連鎖を生みかねない。

  シドニーのATグローバル・マーケッツのチーフ市場アナリスト、ニック・トゥイデール氏(シドニー在勤)は「自主的、あるいは株式市場の損失補てんのためのポートフォリオ調整で、暗号資産にはさらに下押しリスクが生じる可能性がある」と述べた。

  投資家は既に米国の利下げペースについて神経をとがらせ、今週発表予定のエヌビディアの決算も注視している。そうした中でビットコインが9万ドルを割り込んだことが、アジア時間の朝方に見られた幅広い売りを一気に急落相場へと変えた。

  ヴァンテージ・マーケッツのアナリスト、ヘベ・チェン氏(メルボルン在勤)は「ビットコインの売りは確実に市場のリスク警戒感を高めた。表面下でより深い変化が進行しているとの感覚が補強された」と語った。

  地域のセンチメントをさらに冷やしたのは、日本株の急落だった。財政不安や中国との外交摩擦が重しとなり、日経平均株価は火曜日に3.2%下落して取引を終えた。10年物日本国債利回りは2008年半ば以来の高水準に上昇。国債買いが強まった他の国・地域と対照的な動きとなった。

  暗号資産と株式は今年、イノベーション主導の相場上昇への期待の中、そろって上昇してきた。しかしその期待が、今しぼみつつある。

  ヴァンエックのクロスアセット投資ストラテジスト、アンナ・ウー氏は「モメンタムは自己増殖する仕組みだ」と述べ、米市場のセンチメント悪化がアジア市場に波及したと指摘。「ビットコインを市場センチメントの指標とみなすなら、今は弱気相場レベルの恐怖を示している」と話した。

原題:Fear Spreads Across Markets as Crypto Selloff Raises Alarms (1)

Bitcoin Drops Below $90,000 for the First Time in Seven Months(抜粋)