Carter Johnson

  • 回答者の3分の2、来年は円が最も高いリターン上げると予想
  • 割安感があるとの見方、日本当局による円買い介入への期待も

世界の投資家は円が来年には主要通貨の中で最も堅調なパフォーマンスを示すと予想していることが、バンク・オブ・アメリカ(BofA)の調査で明らかになった。円は今年、対ドルで最悪のリターンを記録するなど波乱の1年となったが、来年は反発するとの見方が広がっている。

  同調査では、約170人のファンドマネジャーのうち約3分の1が、来年は円が最も高いリターンを上げると回答。金(ゴールド)とドルがそれに続いた。一方、ポンドを選んだ回答者はわずか3%にとどまった。

  今年のさえない値動きを踏まえると、今回の調査で円が注目を集めたのは特筆すべきだ。円は対ドルでわずか1%の上昇にとどまり、主要10通貨の中で最も低いパフォーマンスとなっている。

  一方、金は年内に史上最高値を相次いで更新。中央銀行の買い需要に加え、地政学的リスクや通商不安を背景に個人投資家による安全逃避の買いが膨らんだ。ブルームバーグのドル指数は年初来で約7%下落。トランプ米大統領の政策を巡る不透明感が重しとなり、2017年以来最悪の年となる見通しだ。

円に楽観的

  円低迷の要因としては、日本銀行の利上げ見通しが不透明なことや、先月就任した高市早苗首相の存在が挙げられる。高市氏は金融緩和を支持する立場で、政府は現在、予想を上回る規模の経済対策を準備している。

  もっとも、2026年の円に関して楽観的な見方が広がる背景には、現在の円が割安とみなされていることがありそうだ。こうした割安感は、日本資産への投資が長期にわたり低調な状態にあることの表れでもある。BofAの同調査によると、投資家は日本株について差し引きベースで4%のアンダーウエートを維持しており、この傾向は1年以上続いている。

  リスク許容度の高い投資家の中には、今後数カ月内に日本当局が円買い介入に踏み切る可能性に期待する向きもある。昨年、円相場が1ドル=160円の節目を突破した際にも介入が実施された。

  ING銀行の外国為替ストラテジスト、フランチェスコ・ペソレ氏は「投機筋は引き続きドルを対円で買い、日本の財務省の許容度を試そうとしている。同当局の口先介入は、市場への影響力が次第に弱まっているようだ」と18日付リポートで指摘。「防衛ラインは160円近辺にある可能性が高く、今後数日間はさらに円安圧力が強まる展開もあり得る」と述べた。

  調査は11月7ー13日に、運用資産総額4750億ドル(約74兆円)を抱える投資家172人を対象に実施された。

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原題:Yen, Gold Top Investors’ Currency Picks for 2026 in BofA Survey(抜粋)