▽トランプ氏、金利下がらなければベッセント長官を解任と冗談めかす
Annmarie Hordern、Daniel Flatley
- FRBの慎重姿勢に改めて不満、パウエル議長を「無能」と批判
- 「スコットが唯一しくじっているのはFRBだ」-トランプ大統領
トランプ米大統領は、ベッセント財務長官が金利低下の実現に尽力しない場合は解任する考えをにじませた。米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げに慎重な姿勢を崩さないことへの不満を、改めてあらわにした。
トランプ氏の発言は冗談めかした口調ではあったが、生活費の高止まりに直面する有権者から政権に対する圧力は強まっている。米中央銀行であるFRBは、経済全体の借り入れコストに影響する短期金利の設定を担う。
「スコット(ベッセント長官)が唯一しくじっているのはFRBだ」とトランプ氏は19日にワシントンで開かれた米サウジ投資イベントで発言。「金利が高過ぎる。スコット、早く何とかしないとクビにするぞ」と笑いながら語った。
トランプ氏はまた、パウエルFRB議長について「著しく無能だ」とし、「FRB本部の高額な改修工事を巡る対応で訴えられてもおかしくない」と述べ、パウエル氏を解任したいとの考えを改めて示した。その上で、ベッセント長官がその試みを思いとどまらせたと続けた。
トランプ氏は、ベッセント氏から「パウエル氏を解任しないでいただきたい。任期はあと数カ月だ」と諭されたと明かした。さらに聴衆に対し、ベッセント氏は「理性的な助言者だ。彼がいるのは本当に幸運だと言える。よくやっている」と語った。
FRB関係者や市場関係者の間では、パウエル議長を強制的に解任すれば中央銀行の独立性への懸念が高まり、金融市場が混乱する恐れがあるとの警戒が出ている。
トランプ氏はまた、ラトニック商務長官について「ハワード(ラトニック長官)はどちらかといえば解任寄りだと思う。彼なら『あいつを今すぐ追い出せ』と言うだろう」と付け加えた。
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政策金利の決定はFRBの米連邦公開市場委員会(FOMC)が担っており、ベッセント長官には金利に対する直接的な決定権はない。FOMCは今年これまでに2回、政策金利をそれぞれ25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)引き下げたが、トランプ氏はより積極的な利下げペースを求めている。
FRBはトランプ氏の発言についてコメントを控えた。
原題:Trump Quips He’ll Fire Bessent If Interest Rates Are Not Lowered(抜粋)
