米8月の貿易赤字、23.8%減の596億ドル 輸入減で大幅縮小

[ワシントン 19日 ロイター] – 米商務省が19日発表した8月の貿易赤字は、前月比23.8%減の596億ドルだった。輸入減により予想以上に縮小した。こうした傾向が続けば、2025年7─9月期の国内総生産(GDP)成長の追い風となる可能性がある。ロイターがまとめたエコノミスト予想は610億ドルだった。

一方で、消費財の輸入がコロナ禍初期に見られた水準まで落ち込んだほか、コンピューター周辺機器や通信機器を含む資本財の輸入も減少したことは、前四半期の消費者および企業の支出鈍化を示唆している可能性もある。

8月の輸入は5.1%減の3404億ドル。財(モノ)の輸入は6.6%減の2646億ドル。非貨幣用金が93億ドル減少し、工業用品・素材が113億ドル減少したことが主因となった。

消費財の輸入は37億ドル減と、2020年7月以来の低水準となった。資本財の輸入は34億ドル減少。コンピューター付属品が13億ドル、電気通信機器が11億ドル、食品が16億ドル、それぞれ減少した一方、コンピューターは23億ドル増加した。

サービスの輸入は3億ドル増の758億ドル。その他のビジネスサービスや通信・コンピューター・情報サービスが増加した。旅行は増加した一方、輸送サービスは減少した。

一方、輸出は0.1%増の2808億ドルとなった。モノの輸出は0.3%減の1790億ドル。医薬品製剤が12億ドル減となり、消費財が15億ドル減少した。自動車・同部品・エンジンも4億ドル減少。一方、原油は8億ドル増加。資本財も24億ドル増加し、624億ドルと過去最高を記録した。

サービスの輸出は8億ドル増の1018億ドル。旅行サービスのほか、保守・修理サービス、知的財産権使用料が押し上げ要因となった。

モノの貿易赤字は17.5%減の856億ドル。インフレ調整後では16.9%減の837億ドルだった。

8月のモノの対中貿易赤字は小幅に拡大。対カナダ貿易赤字は縮小した一方、対英国貿易黒字は減少した。

ハイ・フリークエンシー・エコノミクスのチーフエコノミスト、カール・ワインバーグ氏は「単月のデータがトレンドを形成するわけではないが、輸入減は関税支持派が予想していた通りだ」と指摘。「しかし、モノの輸入の減少は、8月の関税引き上げを見越した夏の初めの駆け込み需要の反動である可能性もある」と述べた。

同報告書は当初10月7日に発表予定だったものの、過去最長を記録した米政府機関閉鎖のため延期されていた。

A line chart with the title 'US trade balance'
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