David Pan

  • 相場循環説で大口投資家が大量売り-コインシェアーズ調査責任者
  • オプション市場ではビットコイン価格8万5000ドルに注目集まる

ここ1カ月余り調整局面が続く暗号資産(仮想通貨)は20日の取引でも下落した。ビットコインは一時4%超下落し、4月以来初めて8万7000ドルを割り込んだ。

  ビットコインは、今年に入って価格を下支えしていたモメンタムが失われ、新規の買い手を欠く展開となっている。10月の急騰局面後のポジション解消に、短期取引勢による売り戻しが重なり、相場は売り圧力や急変動に一段と脆弱(ぜいじゃく)になっている。

  コインシェアーズの調査責任者ジェームズ・バターフィル氏は「暗号資産は、4年周期の相場循環説を信じる大口投資家の大量売りで苦しんでいる。現在はこの循環説の下振れの節目にあたる」とし、「われわれはファンダメンタルズの観点からこの見方を支持していないが、この説が結果的に現実化しており、9月以降の大口投資家の売りは200億ドル(約3兆1500億円)超に達している」と説明した。

  暗号資産市場はレバレッジ取引の清算と個人投資家の需要減退による独自の調整局面にあり、株式市場との乖離(かいり)が10月以降さらに拡大している。

  オプション市場では、8万5000ドルのビットコイン価格水準に注目が集まっている。コインベース傘下の暗号資産オプション取引所デリビットのデータによると、この水準で下方リスクに備えるオプション需要が最も高く、次いで8万2000ドル近辺での需要が強い。

  現在のビットコインの調整局面は10月に発生した大規模な強制清算とも関係している。これにより勢いは失われ、流動性は低下した。また経済情勢の不透明感もウォール街を神経質にさせている。

  ウィンターミュートのOTC(相対)取引責任者ジェイク・オストロフスキス氏は「連邦準備制度理事会(FRB)が現在のデータ空白下でどのように政策判断を下すか不透明感が残っており、それが投資家のリスク選好を抑制している。特にリスク資産市場でその影響が顕著だ」と述べた。

原題:Crypto Market Extends Slide With Bitcoin Dropping Below $87,000(抜粋)