Rheaa Rao、Andre Janse Van Vuuren
- 株はテクノロジー銘柄中心に買われる-S&P500種は1.5%高
- 円再び下落、片山財務相の発言を受けて介入リスクへの警戒続く
24日の米国株は続伸。テクノロジー銘柄を中心に買い進まれた。多くの経済データの発表が今週予定される中、市場では米連邦公開市場委員会(FOMC)が12月に利下げを実施するとの楽観が強まっている。
| 株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| S&P500種株価指数 | 6705.12 | 102.13 | 1.55% |
| ダウ工業株30種平均 | 46448.27 | 202.86 | 0.44% |
| ナスダック総合指数 | 22872.01 | 598.93 | 2.69% |
S&P500種株価指数は1.5%上昇し、6週ぶりの大幅高となった。テクノロジー銘柄中心のナスダック100指数は2.6%上げた。
米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事は、12月のFOMC会合での利下げを支持すると発言。これが市場の楽観を後押しした。サンフランシスコ連銀のデーリー総裁も、別のインタビューで12月の利下げを支持した。またニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は21日、近いうちに再び利下げを行う余地があるとの見解を示していた。市場の次の焦点は12月のFOMC会合だが、米政府機関の一時閉鎖による経済指標の発表遅延で、投資家は古いデータに基づいた判断を余儀なくされている。
BNPパリバの米国担当チーフエコノミスト、ジェームズ・エゲルホフ氏はブルームバーグテレビジョンのインタビューで、データは発表の遅れにより不明瞭になっており、経済の現状を巡り異なる解釈の余地が生じていると述べた。
「通常より混乱したプロセスになっている」とエゲルホフ氏。その上で、「パウエル議長は利下げ継続を考えているだろう。利下げに向けた支持もある。データが多少の支えとなり、労働市場の緩やかな悪化を防ぐため最後の利下げに動くと考えられる」と語った。
短期金融市場は、12月の米利下げ確率を約70%として織り込んでいる。ここ数週間は、FRB当局者間での見解の相違やデータ不足もあり、利下げ確率に変動が見られていた。
先週は、人工知能(AI)関連銘柄への過大評価に対する懸念や明瞭さを欠く米金融政策見通しを受けて、振れの大きい相場展開となっていた。UBS証券のトレーディング部門は、特に12月の米利下げ期待が再浮上しつつあることを受け、米株の売りは一巡した可能性があるとみている。
サスケハナ・インターナショナル・グループのデリバティブ戦略共同責任者クリス・マーフィー氏は「株式市場がいったんリセットされたことと、12月利下げの可能性の高まりが相まって株価を押し上げ、年末のメルトアップ(相場の急上昇)の可能性が再び浮上している」と分析した。
ただヤルデニ・リサーチの創業者エド・ヤルデニ氏は、AI関連株で利益確定売りが進んでいるとして、S&P500種が自身の年末目標である7000に到達するのは来年になるとの見方を示した。同氏の目標は、ウォール街のストラテジストの中でも特に強気な水準の一つとなっている。

25日に発表される9月の米小売売上高は、物価高を背景に伸びが鈍化すると予想されている。
このほか今週は、9月の生産者物価指数(PPI)や耐久財受注なども発表される。また26日には新規失業保険申請件数が公表される。雇用統計が欠落する中でFOMCは代替指標に注目しており、失業保険統計も重要度が増す見通しだ。
インタラクティブ・インベスターのマーケッツ責任者、リチャード・ハンター氏は「景気の弱さを示す兆候が増えており、今週の小売売上高統計には注目が集まるだろう。ただこれもやや古いデータになる」と指摘。その上で、「このところ慎重だったセンチメントが少なくとも一時的には払拭されるとの期待が一部で広がりそうだ」と付け加えた。

米国債
米国債市場では長期ゾーンがアウトパフォーム。イールドカーブはフラット化した。12月利下げを支持するとのウォラー理事、デーリー・サンフランシスコ連銀の発言が伝わり、市場の見方を後押しした。
堅調な結果となった2年債入札の後も、この動きは維持された。25日に5年債、26日に7年債の入札が予定されており、これもフラット化の流れを支える要因となった。
| 国債 | 直近値 | 前営業日比(bp) | 変化率 |
|---|---|---|---|
| 米30年債利回り | 4.67% | -3.9 | -0.84% |
| 米10年債利回り | 4.03% | -3.5 | -0.85% |
| 米2年債利回り | 3.50% | -1.1 | -0.30% |
| 米東部時間 | 16時37分 |
ナットアライアンス・セキュリティーズのアンドルー・ブレナー氏は「雇用統計の発表がFOMC会合後になるにもかかわらず、FRB高官がなお12月の利下げを望んでいるという事実が、投資家に安心感を与えた」と述べた。
為替
外国為替市場ではドルがほぼ変わらず。月末の資金フローが支えとなった。円は再び売られ、ドルに対するパフォーマンスは主要10通貨中で最悪となった。日中間の政治的緊張や日本の大型経済対策を背景に、市場では為替介入への警戒感が高まっている。
| 為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| ブルームバーグ・ドル指数 | 1226.93 | 0.48 | 0.04% |
| ドル/円 | ¥156.90 | ¥0.49 | 0.31% |
| ユーロ/ドル | $1.1521 | $0.0008 | 0.07% |
| 米東部時間 | 16時37分 |
ブルームバーグ・ドル・スポット指数は0.1%未満の上昇。11月に入りこれまで0.5%上昇している。
バークレイズのシェリル・ドン、エリック・マルティネス両氏はリポートで「11月はマクロ環境の不確実性が再燃し、リスク選好の急速な見直しが進んだ月となった」と指摘。米株相場が4月以来の月間下落となり、総じてリスク回避の動きが広がっていることから、世界の資産運用者はポートフォリオのリバランスを進める中で月末にかけてドル買いに動かざるを得なくなると記した。
円はドルに対し軟調に推移。一時0.5%安の157円19銭まで下げた。先週は1.2%下落していた。小泉進次郎防衛相は23日、台湾に近い沖縄県・与那国島の陸上自衛隊駐屯地を視察し、同島へのミサイル配備計画が順調に進んでいると述べた。台湾を巡っては日中政府間で緊張が高まっている。

片山財務相が先週、為替介入も辞さない構えを示したことを受け、市場は当局による介入の可能性を注視している。
原油
ニューヨーク原油先物相場は4営業日ぶりに反発。株式相場の上昇を背景に買いが入った。既に供給が潤沢にある中、ウクライナとロシアの和平合意の可能性をめぐる思惑も意識された。
関連記事:ロシア停戦の米提案、ウクライナ寄りに条件変更で進展-当局者

BOKファイナンシャルのトレーディング担当シニアバイスプレジデント、デニス・キスラー氏は「原油相場は株式相場と連動しており、ウクライナとロシアの協議に関する続報を待っている」と指摘。感謝祭にかけて不安定な値動きとショートカバーがいくらか続くとの見通しを示した。
原油は年初来で下落。このまま11月を終えると月間で4カ月連続の下落と、2023年以来の長期連続安となる。下落の背景には、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成するOPECプラスを含む世界的な産油量の増加がある。国際エネルギー機関(IEA)は、2026年には過去最大の供給過剰に陥ると予測している。
市場では、ウクライナとの和平合意が実現し、ロシアへの制裁が解除されるかに注目が集まっている。そうなれば原油のさらなる供給増につながる可能性がある。
A/Sグローバル・リスク・マネジメントのチーフアナリスト、アルネ・ローマン・ラスムッセン氏は「27日の感謝祭を前に、原油市場は神経質な展開が予想される」と述べた。「週末にかけて和平合意、あるいは停戦の実現が近づいていることを示す材料が複数見られ、それが今週さらに価格を下押しするだろう」と語った。
ウクライナのゼレンスキー大統領は協議が「重大な局面」に差し掛かったと説明し、領土と主権を巡る議論は困難なものになるだろうとの認識を示した。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物1月限は、前営業日比78セント(1.3%)高の1バレル=58.84ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント1月限は1.3%上昇の63.37ドル。
金
金相場は上昇。労働市場の弱さを示す兆しを受け、FRBが来月利下げに踏み切るとの観測が強まり、金買いが優勢になった。
ウォラーFRB理事が来月の利下げを支持する考えを示し、市場の楽観論に拍車をかけた。21日には、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁も、近く利下げを実施する可能性があるとの見解を示した。
スワップ市場では、連邦公開市場委員会(FOMC)が12月9-10日の次回会合で利下げを実施する確率は70%と見込まれている。ただ、9月と10月に続き、3会合連続で追加利下げを行うべきかについてFOMC内部では意見が大きく分かれているようだ。
利息を生まない金は通常、金利低下局面で恩恵を受けやすい。

ペッパーストーン・グループのストラテジスト、アフマド・アシリ氏は、利下げの道筋は「予測が難しく、判断も微妙だ。そのため金価格は当面、現在の水準付近でもみ合う展開が続くだろう」と述べた。「金が早急に大きく動く兆しは見られず、むしろボラティリティーが低下する中で、上下どちらにも振れやすい状況になっている」と語った。
金スポット相場はニューヨーク時間午後1時55分現在、前営業日比54.56ドル(1.3%)高の1オンス=4119.70ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物12月限は14.80ドル(0.4%)上げて4130.80ドルで引けた。
原題:S&P 500 Posts Best Day in Six Weeks; Bitcoin Rises: Markets Wrap(抜粋)
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