政権発足直後の積極的な外交攻勢で支持率が跳ね上がった高市総理。存立危機事態の逆風にも関わらず高い支持率を維持している。これに引き替え石破下ろしから高市総理誕生にいたる政局で、主役を演じた国民民主党と玉木代表の存在感が日に日に薄れている。日本維新の会がちょっとした間隙をついて高市自民党と連立(閣外協力)を組んだことが、国民民主の支持率低迷につながっている。思えば、本年度予算をめぐっても高校授業料無償化で賛成に回った維新と、三党合意を無視されて反対に回った国民民主と明暗がくっきり分かれた。こうした経緯を経て公明党が離脱した後の自民党と維新の連立が実現している。この間、玉木代表は立憲民主党から野党統一の総理候補に指名され、自民党からは玉木総理でいいとの評価を得ている。にも関わらず玉木氏は、千載一遇ともいうべきチャンスを自ら拒絶した。

高市総理はいまだに国民民主との連立に期待を寄せているという。「高市首相は、連携相手として国民民主を引き続き重視している。12日の参院予算委員会では、榛葉賀津也幹事長に「互いに関所を乗り越えなければいけない」と呼び掛けた。18日には、玉木代表の事務所を自民の小林政調会長が訪ね、「壁」引き上げなどを巡り「意見を交わした」(JIJI.COM)とある。維新と連立を組んだとはいえ、自維連立政権は依然として衆参両院で少数与党のままだ。高市総理の密かな狙いは安定政権だろう。永田町界隈からはここにきて解散総選挙の早期実施を求める声が俄かに高まってきた。存立危機事態発言など同政権には不安要素も付き纏っている。とはいえ、産経新聞とFNNが22、23両日に実施した世論調査で高市内閣の支持率は75・2%の高水準を維持した。

政党支持率を見ると国民民主の急落が目立っている。同党の支持率は4.0%で自民党(27.6%)、立憲民主党(5.3%)、参政党(4.5%)についで4位。ちなみに維新の支持率は3.8%。このまま解散総選挙が実施されれば、おそらく高市政権並びに自民党が単独で過半数を維持する可能性も否定できない。仮にそうなっても参議院での小数体制は変わらず、引き続き野党各党と自民党との駆け引きは繰り返されるだろう。だが優先権のある衆議院で過半数を確保すれば、政党間の力関係はたちまち自民党が優位になる。それでも国民民主は早期の連立入りに慎重姿勢を崩していないようだ。「政権と一定の距離を保つことで、少数与党に対する影響力を維持する思惑も透ける」(JIJI.COM)との見方もある。政局の風向きは瞬時に変わる。国民の願いを実現するためには、時に理にかなわない決断も必要ではないか・・・。