Saleha Mohsin、Josh Wingrove、Nancy Cook、Joshua Green

  • トランプ氏が望む利下げ志向の政策スタンスをもたらす人物との評価
  • FRB議長・理事人事は大統領が中銀に影響を与える最も直接的な手段

選考が大詰めを迎えている米連邦準備制度理事会(FRB)の次期議長人事を巡り、トランプ大統領の関係者の間ではハセット国家経済会議(NEC)委員長が最有力候補に浮上している。事情に詳しい複数の関係者が匿名を条件に明らかにした。

  ハセット氏がFRB議長に就任すれば、トランプ氏が信頼を寄せる腹心を独立機関であるFRBに送り込むことになり、利下げ志向の政策スタンスをもたらす人物とみられているという。

  ただ、トランプ氏は人事や政策判断で予想外の決定を下すことで知られており、指名が公表されるまでは最終決定とは言えないと関係者は述べた。

  ホワイトハウスのレビット報道官は声明で「トランプ大統領が何をするかは、実際に行動するまで誰にも分からない。続報をお待ちください」と述べた。

  FRB議長と理事の人事は、大統領が中央銀行に影響を与える最も直接的な手段とされる。トランプ氏は第1期目にパウエル現議長を指名したが、望むペースで利下げを進めなかったことに不満を抱き、後に自身の決定を後悔した。

  ハセット氏は金利を引き下げる必要があるとの見方を含め、経済に関してトランプ氏の考え方とおおむね一致しているとみられている。20日にはFoxニュースの番組で、データは利下げすべきであることを示しているとして、自身がFRB議長なら「今まさに利下げしているだろう」と述べていた。また新型コロナ禍でFRBがインフレ抑制に失敗したとして批判している。

  トランプ氏はこれまで、たびたびFRBを攻撃の的にしてきた。次期FRB議長の選考を主導するベッセント財務長官には、トランプ氏と金融市場の双方から信頼を得られる人物で、かつ大幅な利下げを支持する候補の間で慎重なバランスを取ることが求められる。

  ベッセント氏は25日、米CNBCのインタビューで、トランプ大統領が12月25日より前に指名を発表する可能性があるとの見通しを改めて示した。

  FRB議長候補は現時点で5人に絞り込まれており、ハセット氏のほか、ウォーシュ元FRB理事、ウォラー理事、ボウマン副議長(銀行監督担当)、ブラックロック幹部のリック・リーダー氏が最終候補に残っている。

  ベッセント氏によると、これらの候補者5人の面談は週内に終わる予定。最終候補の一部が近くホワイトハウスのワイルズ首席補佐官、バンス副大統領と面会する見通しだ。

NEC Director Kevin Hassett Interview
ハッセット氏写真家:アル・ドラゴ/ブルームバーグ

原題:Hassett Emerges as Frontrunner in Trump Fed Chair Audition(抜粋)